世界的オイルメーカーとして知られる「カストロール」。東京オートサロン2025では昨年のラリージャパンに出場したGRヤリス・ラリー2を展示した。このGRヤリスはイギリスラリー選手権にカストロールカラーリングで参戦し王者に輝いた。 このマシンが展示されていた理由は、昨年のラリージャパンに出場したからでもあるが、実はこのクルマには再精製ベースオイルを使ったエンジンオイルが使われているからだ。
実はヨーロッパではすでに当たり前、肝となるのは再精製ベースオイルをどのように製造するのか
カストロールが現在取り組んでいるのは再精製ベースオイルRRBO(Re-Refined base oil)である。こちらは使用済みオイルを原料として生成されたベースオイルのこと。原料は使用済みのオイルでそこから不純物を除去し、精製のプロセスを経て、高品質なベースを売りとして再生されている。その再生されたオイルをベースに再度必要な成分を配合し、オイルが作られている。
廃油がベースオイルというと大丈夫なのかと思われるが、既に数年前からヨーロッパではこの再精製ベースオイルを使ったエンジンオイルをカストロールが販売中。ヨーロッパで売っているオイルの30%から40%には既にこの再精製ベースオイルが使われているという。
一方では原油をベースにしたベースオイル作るよりも、再精製ベースオイルの方がコストが安いといったこともあり、再精製ベースオイルをベースにしたオイルが増えている。
日本ではまだ廃油を再精製する技術のある会社の工場がなく、事実上はまだ再精製をすることができない。だが、地球環境を守るために持続型、また循環型な社会が求められている。その中でエンジンオイルを再生して使う事は重要なファクターの1つである。
日本ではまだ行われていないが、再生をするにあたって、日本の廃油は非常にクオリティーが高い。諸外国の廃油に比べれば、はるかに不純物などが少ないので、ベースオイルの再精製に日本は向いていると言われる。
集められた廃油は汚れを除去して分離。そこから化学反応起こして再生成され、きれいなベースオイルとして再生されるのだ。
まだ日本ではエンジンオイルを排出することによる環境負荷への意識が高い人が多いとは言えないが、将来的には再精製オイルを使うことでの循環型経済を作っていく事はとても重要になるだろう。
モータースポーツですでにその性能は実証済!今後の環境問題次第で、国内導入が望まれるかも…?
再精製オイルはすでにモータースポーツの世界でも使われていて、フォーミュラEでも採用済み。フォーミュラEはご存知の通りバッテリーとモーターで走行しているが、ミッションには再精製ベースオイルを使ったミッションフルードが使われている。
すぐに日本国内で再精製ベースオイルを使ったオイルが出回るわけではないが、遠くない未来にはそういったベースオイルも増えてくるわけである。自動車が多く走っている日本でも、こういった再精製ベースオイルを活用することで、環境にもきっと貢献するはず。カストロールの今後の展開に、心から期待したいと思う。
カストロールの製品情報はこちら《text:加茂新》