青森県のingraph(イングラフ)が製作したデモカーに影響されてシステムアップを思い立った根本さん。メルセデスベンツ『GLC』にはイートン・コアS3を中心としてスピーカーシステムを投入し、中低音の充実や中域の広がり感を狙い通りの引き出すことに成功した。
◆ドアを大容量のエンクロ化することでイートン・コアのポテンシャルを引き出す
ベテランオーナーの根本さんが愛車・メルセデスのサウンドの中核を担うユニットとして選んだのはイートン・コアS3だった。高忠実度再生を追求する中で見つけ出したひとつの回答がこのスピーカーだった。もちろんインストールにも徹底してこだわっている。
その象徴がドアへのミッドバスの取り付けスタイルだ。ドアパネルを見ると純正ラインに合わせて美しく加工されているのでそれとは気づきにくいが、ドアの多くの部分をワンオフしてエンクロージャーを設置。容量的には13Lを確保することで中低域の厚み、正確なスピーカーの動きを確保することに成功している。
根本さんが重視する低音域の再生には欠かせないミッドバスの充実。まずはユニット性能を高め、それに似つかわしいレベルの高い取り付けで狙い通りのサウンドを引き出すことに成功した。
◆2セットのミッドレンジを配置して中域の広がりと音の厚みを表現する
さらにスピーカー構成の充実度もド級だ。イートン・コアS3による3ウェイシステムを中心に据え、加えてミッドレンジであるコア80を追加して4ウェイ化する。さらにトレードインタイプのウーファーユニットを足もと奥のエンジンバルク位置に設置することで、先に紹介したドアのミッドバスと合わせてフロント5ウェイ構成を完成させているのだ。
特に見どころとなったのはAピラー、ドアミラー裏、さらにはドア上部を使ってインストールされたツイーター&ミッドレンジだ。ミッドレンジをAピラーにインストールするのに加えて、もうワンペアのミッドレンジ(コア80)をドアの上部にインストールすることで中域の広がり・厚みを表現することに成功。豊かな音場を感じさせるサウンドを作り上げているのだ。
ドアのエンクロージャー化による中低域の充実に対して中高域をバランスさせる意味でも中域の強化は欠かせない要因だったようだ。適材適所に狙いに沿ったシステム拡張を施しているのもベテランらしい超ハイレベルなインストールとなった。
◆音楽プレイヤーやDSPなども厳選しシステム全体を高音質ユニットで揃える
充実のシステムを完成させた根本さんのメルセデス。フロント5ウェイやラゲッジへの10台ものモノラルパワーアンプの投入など、目的のためには既成概念を覆したオリジナルのシステムを組む姿勢を貫いてきた。そんなシステムの音源として選んだのは定評のあるDAPであるA&KのSP300。普段使いからオーディオコンペまでをオールマイティに活躍する高音質ソースとなった。
DSPとして採用したリゾルトのM-DSPの小振りなコントローラーはセンターコンソールに設置。ドライバーが手を伸ばせば自然に操作できる位置を厳選してスマートに取り付け。小振りで目立たないコントローラーなのでコクピットのイメージも崩していない。
フロントスピーカーの厳選やフロント5ウェイにも及ぶマルチウェイ・スピーカーシステムの構築、さらにはドライブするパワーアンプのセレクトなど、システム組み&インストールにこだわって作り上げたメルセデス。その後も進化を続け、取材後にはリメイクも果たしている。根本さんの高音質への追求は今後も続いていく。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》