フロントサブウーファーにするなど、システムや取り付け面に徹底してこだわった坂本さんのトヨタ『プリウス』。フロントスピーカーに選んだのはアマネ。福井県のcustom & car Audio PARADAと共にトランスを心地良く聴かせるサウンドを完成させた。
◆フロント2ウェイを2チャンネルアンプ
2台でドライブする充実のシステムデザイン
サブウーファーをセンターコンソール前方に置いたり、パワーアンプやDSPなどをすべてフロントシート下に集中させるなど、独特のインストールスタイルを貫き、フロント完結型のオーディオシステムを完成させた坂本さんのプリウス。
今回の後編ではサウンドの根幹となるフロントスピーカーまわりを中心に紹介して行くこととしよう。フロントスピーカーに選んだのはアマネの2ウェイモデル。センターコンソール内に納めたザプコの2チャンネルパワーアンプであるZ-150.2APを2台使ってドライブする充実のシステムデザインを組んだ。
ツイーターの取り付けはAピラーを加工してビルトインする定番のスタイル。高域をストレス無くリスナーに届けることでヌケの良い高域特性を引き出している。同時に明確でクリアな定位を表現するのもこのクルマの美点となっている。
◆腹に響く低音を見事に車内で再現
ドアのミッドバスの中低域再生を充実
アマネのミッドバスはドアにアウターバッフルでインストールされている。ドア前方に広い面積を確保したバッフル面を設けて設置されるミッドバスは中低域をスムーズに再生する能力に長けている。バッフル面のフィニッシュには人工スエードを使い、デザイン的にもプリウスの内装にフィットしているのも見どころだ。
ツイーター同様、ザプコのZ-150.2APを使ってドライブされるミッドバスは厚みのある中低域サウンドをしっかり表現する。前編で紹介したセンターコンソール前方に設置したサブウーファーとのサウンドのつながりもレベルが高く、テーマにしていた“腹に響く低音”“クラブサウンド”を見事に車内で再現している。
トランスを中心に聴く坂本さん、主に“4つ打ち”と呼ばれるダンスミュージックにありがちな定間隔に続くバスドラムの音が印象的なサウンドが好みだとか。それだけに中低域~低域サウンドのスピード感、クリアで歯切れの良さを重視したサウンド作りとしているのはうなづけるところだろう。
◆パワーアンプやDSPなどをすべて前席の
シート下に設置して配線を最短距離に設定
フロントシートの下をのぞき込むとヘリックスのDSPであるDSP MINI、キッカーのモノラルパワーアンプであるKXA1200.1、さらにオーディソンのブルートゥースモジュールであるB-CONがインストールされている。前編で紹介したセンターコンソール内へのザプコのパワーアンプのインストールも含めて、すべてのユニットは車両前方に集中してインストールされているのがわかる。そのためDAP→DSP→パワーアンプ→スピーカーの信号経路は最短距離で結ばれ、伝送ロスを極限まで排除しているのがわかるだろう。
坂本さんは近年はDSP調整も自らが手がけることも多く、好みのサウンドを自分自身の手で作り上げている。自分の好きな曲を最適なサウンドで再生する、そんなオーダーメイドのサウンドを作るにはDIYによる調整は近道になるのだという。
好みのサウンドを明確にしたシステムデザインやサウンド調整、さらにはフロントへのユニットの集中など、オーナーの思想がストレートに反映されたインストールが込められたプリウス。自分だけのシステムで好みのサウンドを楽しむというスタンスを徹底したオーナーならではの個性的なシステム&サウンドが完成した。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》