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[システム構築学大全]Part10 スピーカーはそのままで音がさらに良くなる「外部パワーアンプシステム」とは?

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「バイアンプ接続」に対応する「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオにはさまざまな楽しみ方が存在しているが、それを「システム構築」という観点から分類し、それぞれの実践方法を解説している当特集。今回は、「メインユニット+外部パワーアンプ」によって実行する「バイアンプシステム」について説明する。

◆「メインユニット+外部パワーアンプ」にて構築するスペシャルシステムがある!

前々回から「メインユニット+外部パワーアンプ」システムについて説明しているが、今回はその最後としてそれにて行うスペシャルなシステムを紹介したい。それが「バイアンプシステム」だ。

なお以前の記事にて「メインユニット」の内蔵パワーアンプで行う「バイアンプシステム」を紹介したが、まずはここで再び「バイアンプシステム」とは何なのかを確認しておこう。

「バイアンプシステム」とは、パワーアンプの出力の4ch分を使ってフロント2ウェイスピーカーを鳴らすシステムのことを指す。で、これを実行するには1つ、重要な条件がある。それは、スピーカーに付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」が「バイアンプ接続」に対応していること、だ。

対応「パッシブ」と通常の「パッシブ」とでは以下の点が異なる。通常の「パッシブ」には入力端子が1系統しか備わっていないが、対応「パッシブ」はそれが2系統装備されている。1つがツイーター用の入力端子でもう1つがミッドウーファー用の入力端子だ。

で、通常は1つの入力端子にフルレンジ(超高音から超低音まで)の音楽信号が入力され、それが「パッシブ」内で高音と中低音とに分割される。対して「バイアンプ接続」に対応した「パッシブ」では、そもそも信号が2系統入力されるので「パッシブ」内で信号の帯域分割は行われない。そのかわり、ツイーター用として入力された信号に対しては「ローカット」が、ミッドウーファー用として入力された信号に対しては「ハイカット」が行われる。

◆「バイアンプシステム」では、スピーカーをよりトルクフルに動かせる!

さて、このような接続法となる「バイアンプシステム」ではどのような利点が得られるのかというと、答はズバリ「スピーカーの駆動力が上がること」だ。フロント2ウェイスピーカーを鳴らすのに通常はパワーアンプの計2ch分の出力が使われるのだが、「バイアンプシステム」では計4ch分の出力を使ってフロントスピーカーが鳴らされることとなるからだ。

ところで「メインユニット+外部パワーアンプ」にて「バイアンプシステム」を組もうとする場合、実践方法は実はふたとおりある。

まず1つ目は、「メインユニットの出力を2ch分しか使わない、というものだ。「外部パワーアンプ」は4chタイプでなければならないが、それには必ずしも4ch分の信号を入力しなくてもOKだ。「メインユニット」のプリアウトを接続する場合でもスピーカー出力を接続する場合でも、2ch分の信号を「外部パワーアンプ」内で、または入力する手前で4ch分に分岐して接続しても良いのだ。

こうすると「4ch外部パワーアンプ」にてフロントスピーカーを「バイアンプシステム」にて鳴らし、同時にリアスピーカーも「メインユニット」の内蔵パワーアンプにて鳴らせる。「内蔵パワーアンプ」で「バイアンプシステム」を組む場合にはリアスピーカーは鳴らせなくなるが、「外部パワーアンプ」を使う場合には必ずしもそうはならない。

◆「メインユニット」が高性能な場合には、別のやり方も選択可能に!

ただし、「メインユニット」に「タイムアライメント機能」が搭載されている場合には、別のやり方をした方が良い。

別のやり方とは以下のとおりだ。「メインユニット」のフロント出力を「外部パワーアンプ」のAchとBchに接続しリア出力をCchとDchに接続する。そして「外部パワーアンプ」のAchとBchの出力を左右の「パッシブ」のミッドウーファー用の入力端子に接続し、CchとDchの出力を左右の「パッシブ」のツイーター用の入力端子に接続する。

このようにするとフロントスピーカー用の「タイムアライメント機能」をミッドウーファー用として、リアスピーカー用の「タイムアライメント」をツイーター用として使えるようになる。結果、フロントの4スピーカーの個別制御が可能となりより緻密にサウンドチューニングを行えるようになる。

かくして「メインユニット+外部パワーアンプ」にて「バイアンプシステム」を組む場合、より楽しみ方の幅が広がる。しかも使用する「パワーアンプ」の性能が「内蔵パワーアンプ」と比べて高性能なので、「バイアンプシステム」だからこその利点もより顕著に現れる。

ところで、交換したスピーカーの「パッシブ」が「バイアンプ接続」に対応していない場合には、それをカスタムメイドするのもアリだ。部品代に1万円程度も注入すればそこそこの「パッシブ」を作れるはずだ(カーオーディオ・プロショップに依頼すれば作ってもらえる場合が多い)。参考にしてほしい。

さて次回は、カロッツェリアの『サイバーナビ』にて行う「外部パワーアンプシステム」について解説する。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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