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ブリヂストンの2つの「ALENZA」ここまではっきり性格が違うとは!? SUVの本質を引き出す「プレミアムな味わい」を体感

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いまや、日本でも“多様な使い方ができるクルマ”として、広い世代の人気を得ているSUVだが、SUV専用設計タイヤはどうして必要なのか? また、最近はSUVに対してプレミアムを求める声が高まっているのだが「単なる高級化ではない」といった声も聞く。

それはいったいどういうことなのか?そうした疑問に対する答えを見出すために、まずは「SUVとは何か?」というところから話を始めてみたい。

アメリカを原点に世界に波及したSUVというカテゴリー

SUVの原点は、アメリカにある。70~80年代には商用車として存在したが、90年代半ば頃になるとニューヨークやフロリダなどで、従来はオフロード向けであるジープ『チェロキー』や、ピックアップのラダーフレーム(井形形状車体)を共有するGMシボレー『タホ』『サバーバン』などを日常使いするトレンドが、企業のエグゼクティブの間で広がった。

それを受けて、2000年代に入ると、BMW『X5』、ポルシェ『カイエン』、メルセデスベンツ『ML』や、日系プレミアムブランドのレクサス、インフィニティ、アキュラも相次いで中・大型SUVを投入する。このようなアメリカ発のSUVブームが欧州や、当時はまだ新興国であった中国にも伝播しSUV市場は一気に拡大。ついには、ベントレー『ベンティガ』の成功をきっかけに超高級車でのSUVが続々登場し、フェラーリ『プロサングエ』が誕生するに至っている。

一方、日本では2000年代以降に顕著になった、ミニバンと軽自動車の市場拡大に加えて、2010年代からセダン・クーペからのSUVシフトが明確になった。こうした中、価格の高い上級SUVだけではなく、幅広い価格帯のSUVユーザーから、オンロードでの利用シーンを重視する価値観が日本で広がってきていると言えるだろう。そしてこの価値観に応えたのが、ブリヂストンの「ALENZA」に代表されるSUV専用設計タイヤなのだ。

2種類の「ALENZA」は見た目だけでも大きく違う

SUVといってもボディサイズ、駆動方式、エンジンやモーターの出力など、モデルによって特長は異なる。その上でセダンやクーペと比較する観点では、SUVは重量が増して背が高いためタイヤへの負担が大きくなる傾向がある。見方を変えるとSUVではタイヤの存在感が大きく、ユーザーにとって“タイヤの差”を実感しやすいと言えるだろう。

こうしたSUVの特徴を念頭に、ブリヂストンのSUV専用設計のプレミアムタイヤ ALENZA「LX100」と「001」を乗り比べてみた。使用したクルマは、2023年4月発売のホンダ『ZR-V』の四輪駆動車だ。2.0リッターエンジンとツーモーターを組み合せたホンダ独自のハイブリッド機構(e:HEV)を要し、快適さとアーバンな高級感を合わせ持つ最新SUVである。

まず、ホイールに組まれていない状態で「LX100」と「001」の各所を両手で触りながら、細部を見比べてみた。全体的には「LX100」は「001」に比べて少しふっくらしたような雰囲気があるが、「001」はカッチリとした出で立ちで、ドレッドパターンもスポーティ性をイメージさせる。

「LX100」の形状はかなり特徴的だ。特にタイヤのショルダー部がいわば“なで肩”であり、かつタイヤのイン側とアウト側のショルダー部の表面の形状が全く異なっている。その形状はイン側を三次元的な大胆なデザインとして「3Dノイズカットデザイン」と呼ぶ。また、トレッド部のデザインもイン側とアウト側で左右非対称となり、イン側寄りには消耗時での高周波ノイズを抑制する「シークレットグルーブ」を組込み、アウト側寄りには連続した二段階デザインの「ダブルブランチ側消音器」とした「3Dノイズ抑制グルーブ」が施されている。 

上質な動きは“しなやかさと滑らかさ”を合わせ持つ「LX100」

そんな外観の印象を踏まえて、まずは「LX100」から味わってみる。先に試乗車が現場へ到着したときに見た大きな段差を乗り越える「LX100」の動きが、”実にしなやかで滑らか”であることが外から見てはっきり分かった。なにより段差越えでタイヤの外部に発する音がとても静かなのだ。こうした実車装着時の動きを目視した時点で、車内での乗り味の良さは十分に予想できた。

走り出してすぐに感じたのは、ハンドルを握る両手に伝わる“クルマ全体の動きの滑らかさ”だ。ハンドルを握りこぶしひとつ分程度、ほんの少し切った状態でクルマがよく反応することを実感できる。これはタイヤのショルダー部が“なで肩”であり、そこからトレッド部、サイドウォール部へと力が上手く力が加わっている証拠だ。そうした路面、タイヤ、サスペンション、ボディ、そしてハンドルへとフィードバックされる感覚が常に途切れない。その感覚が実にやさしく心地よい。

だから30~40km/hで走行していてもクルマ全体の動きの先読みがしやすく心に余裕が生まれるので、運転がとても楽だと感じるのだ。そして外から見て感じたように、走行中の車内もとても静かだ。ブリヂストンの従来品(DUELER H/L850)比で、新品時の車内ノイズはなんと22%も減少*。また、一般的に摩耗した状態では静音効果が徐々に下がるが「LX100」は60%摩耗時でも従来品比9%減*を実現している。こうして「LX100」を優しいタッチで静かだと表現するとタイヤが全体的にふんわり柔らかいというイメージを持つかもしれないが、実感としては柔軟性に富んでいるのに芯がしっかりしている感じだ。これを人間の感覚にあてはめようと言葉を探すと、それは「滑らか」となる。

*詳しくはALENZA公式サイトをご参照くださいませ。

走路が首都高速に変わり走行速度域が多少上がっても、滑らかさや静かさは維持されるのは当然のことだ。さらに車線変更をしたり、クルマに横方向の力が大きく加わるジャンクションを通過する際、クルマ全体が大きくロールしても滑らかさと先読みがしやく、かつ踏ん張りが効くので安心感がありとても快適だ。高層ビルが立ち並ぶ街並みの中、ドライバーである筆者自身、さらに共に乗車している人たちが心地よくなり、アーバンなプレミアム感に満ちていくのが分かった。

オンロード/静粛性重視の「ALENZA LX100」の詳細はこちら

スポーティ性と柔軟性を合わせ持つ「001」も個性をしっかり発揮する

ランチブレイクを挟み、まったく同じ車両をALENZA「001」に履き替えて走った。走り始めてすぐ「ここまではっきりLX100との性質の違いが分かるのか!」と驚いた。例えるならば、電子制御でのモード変更をした感じだ。

近年はSUVにも電子制御システムで、ノーマル、コンフォート、スポーティ、オフロード・スノーなど、エンジンやトランスミッションの制御プログラムや、パワーステアリング、さらにサスペンションのデータ設定モードの変更ができるモデルが増えている。言うならば、「LX100=コンフォートモード」であり、「001=スポーツモード」といった表現が当てはまるだろう。それほどまでにドライバーにとってのクルマの印象が変わった。

「001」は、その外観が示すようにスポーティな味わいである。乗り心地としては、「LX100」よりカッチリしたイメージがあるが、路面の凹凸に対する「001」の受け応えには柔軟性を伴い実に滑らかだ。また、ハンドルに感じるタイヤのタッチ感では、直進安定性を重視していることがはっきりと分かる。クルマ全体の動きとしては結果的に滑らかなのだが、ハンドルへのフィードバックは、ドライバーがより積極的にクルマをコントロールしようという意識が芽生えるイメージだ。

また、ブレーキング時にクルマの姿勢がしっかりと安定している印象がある。これはブロック端の角を丸めていることで、エッジの巻き込みを抑制する「チャンファリング」の効果だ。走りの全体としてスッキリしている感じなのは、転がり抵抗が従来品(DUELER H/L850)比で19%も低減*していることを体感できている証拠だろう。今回のように市街地と高速道路の走行をしていると、ワインディング路で「001」が本領を発揮することは容易に想像できる。となれば、今度のゴルフや家族と一緒のデイキャンプが楽しみだ。そんな気持ちが人生の豊かさにつながる。

*詳しくはALENZA公式サイトをご参照くださいませ。オンロード/運動性重視の「ALENZA 001」の詳細はこちら

こうして「LX100」と「001」、2つのALENZAを乗り比べて分かったことは、SUVのプレミアムには様々な感じ方や表現方法があり、それをALENZAを通じてユーザー自らが選ぶ楽しさがあるということだ。SUVのプレミアムとは、ゴージャスとか贅沢といった方向性を示すだけではなく、SUVとしての機動性が高まることで生まれる「人の心や身体とSUVとの一体感」の総称ではないか。滑らかさと心地よさを感じられる特別なタイヤ、どちらのALENZAを選ぶのかを思案するのも自分にとってのプレミアムを考える良き時間になることだろう。ぜひこの感覚を味わってみて欲しい。

ブリヂストン『ALENZA』公式webサイトはこちら

桃田健史|ジャーナリスト
世界各地で、自動車、エネルギー、IT関連の取材を行う。日米欧での新車開発や自動車部品開発にも携わってきた。デジタル庁など官公庁関連の有識者会議の委員を務める。直近では、欧州でのCO2関連規制、日本での車体課税のあり方、また電動キックボードの安全性などについてテレビの報道番組などで解説する機会が増えている。

《text:桃田健史》

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