カーオーディオでは、サウンドチューニング機能を搭載したメカである「プロセッサー」が活躍する。当コーナーでは、その設定方法を説明している。本命のセッティングはプロに任せた方が確実だが、自分でもやってみると楽しめる。興味があればぜひともトライを。
さて現在は、「イコライザー」の使い方を解説している。なおこれまでにも何度か説明したとおり、「イコライザー」はふたとおりの使い方ができる。1つは「音の味付けを変える」というもので、もう1つは「周波数特性の乱れを整える」というものだ。
で、どちらの使い方をするにせよ、「イコライザー」のどのバンドをどういじると音(聴こえ方)がどのように変わるのかを、分かっていないと上手に操れない。そしてそれを分かるためには、とにもかくにも「イコライザー」をあれこれ触ってみるしかない。経験則を積み上げるしかないのだ。
とはいえ、予備知識があると経験則を積み上げやすくなる。なので今回から2回にわたっては、その指針を示そうと思う。あくまでもざっくりとした概論を紹介するにとどめるが、これを参考に自分で触ってみて、音がどう変わるのかを確認してみよう。
では、低域側から説明していく。まずは30Hzあたりから60Hzあたりまでの帯域を上げ下げすると、「深さ」に影響が出る。なのでブーストすると重量感が高まり臨場感が増す。
次いで60Hzくらいから100Hzくらいまでの帯域を上げ下げすると、「重さ」に影響が出る。なのでこのあたりのバンドをブーストすると、バスドラムやベースといった低音楽器の重みや安定感が増す。逆にカットする方向で操作すると軽くなる。また、こもり感が取れることもある。
続いて100Hzあたりから200Hzあたりの帯域を上げ下げすると、「太さ」に影響が出る。なのでこのあたりのバンドをブーストすると低音にふくらみが出て、逆にカットするとこもり感が取れてすっきりすることがある。
なお、ここまでの帯域は総じて、ブーストすると重みが増し、カットすると軽くなる方向で音が変わる。また、クラシック音楽のようにホールで録音されている音源の場合には、ホールの空調ノイズが取れることもある。
今回はここまでとさせていただく。次回は、中音域から高音域の「イコライザー」による音の変化傾向を説明していく。お楽しみに。
《text:太田祥三》