カーオーディオでは、サウンドチューニング機能を使いこなすことにより聴こえ方を変えられる。なお、チューニング機能を搭載するメカのことは「プロセッサー」と呼ばれている。当連載では、そのメカの操作方法をレクチャーしている。
さて、前回からは「イコライザー」についての解説を開始し、まずはこれが「周波数特性の乱れを正す」ための機能だと説明した。ただしこの役割を果たすには、ある程度高度な仕様になっている必要がある。
その理由は以下のとおりだ。人間の可聴帯域は20Hzから20kHzと言われている(高域側は加齢と共に狭まっていく)のだが、その範囲は音域で言うと約10オクターブ分に相当する。というわけでかなり幅広いのだが、ライト仕様の「イコライザー」は調整できるバンド数が「5」とか「7」しかない。仮に「5」だったとすると、各バンドは2オクターブ刻みで設定されていることとなる。そうであると、周波数特性の乱れを正そうとしても、乱れが発生している周波数帯にピンポイントでアプローチできない。
ゆえに、バンド数が「5」とか「7」しかない「イコライザー」では、周波数特性の乱れを正すという役割は担い難い。ではそのようなライト仕様の「イコライザー」では、どのような使い方をすれば良いのかというと…。
答はズバリ、「サウンドに味付けを加える」という使い方だ。実は「イコライザー」は、そのような役割も担う。これを操作することでサウンドの雰囲気を変えられるのだ。ライトな仕様の「イコライザー」も、その役割を十二分に果たせる。
では、それをどう実践すれば良いのかというと、それは「プリセットデータを発展させる」というものだ。ライトな仕様の「イコライザー」には大抵、例えば「ロック」とか「ボーカル」といったサウンドの味付けを変えるための「イコライザー・カーブ」があらかじめ設定されている場合が多い。その設定をベースにしてそこから微調整を加えていくと、一層好みのサウンドへと変貌させられる。または、どこをどのように操作するとどんな感じに音が変わるのかを体感できる。そしてその経験則を積み上げていくと、「イコライザー」操作が上手くなるのだ。
今回はここまでとさせていただく。次回は、その操作方法をさらに詳しく説明していく。お楽しみに。
《text:太田祥三》