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【シトロエン C5 X 新型試乗】バブル時代を謳歌した女性にはどう映るのか…岩貞るみこ

自動車試乗記

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「バブル時代を謳歌した女性にはどう映るのか」

今回のワンポイント確認は「シトロエンのフラッグシップは、バブル時代を謳歌した女性にはどう映るのか」である。

フラッグシップ=旗艦。司令官が乗る旗を掲げた船のことで、ブランドに於いては全体をけん引していく物や店などにつけられる。シトロエンに於いては『C5 X』である。全長4805mmののびやかなボディ。顔つきは独特で、どこがヘッドライトなのか一瞬、探してしまう自由なデザイン性が心を躍らせる。

興味深いのは、ドイツや日本の旗艦機種は、コンサバに4ドアセダンを貫いているのに対し、後ろのガラスごと開くハッチバックタイプだということだ。この時点ですでに、ほかと比べることをよしとせず、ユーザー一人ひとりに対して感性に訴える真っ向勝負の道を選んでいる。もうこれだけで、女性が、過去に男性が長いことかけて築いてきた評価基準にこだわることなく選ぶには十分である。

沼にはまりそうなほどうっとりする乗り心地

C5 Xのよさとして筆頭に挙げられるのは、沼にはまりそうなほどうっとりする乗り心地である。走らせているときに、ある種の浮遊感が身を包む。

ずっと昔から、シトロエンのふわりとした乗り心地にはファンが多い。ハイドロニューマチック・サスペンションが生み出す業だ。今回はそれを受け継いだプログレッシブ・ハイドローリック・クッションと命名されたサスペンションが採用されており、ほかのクルマたちとなにが違うって、路面の凹凸やうねりの吸収と開放の仕方がまるで違う。ゆったりと水の上を走っているような、それでいて路面の情報は的確に伝わってくる信頼感。高速道路をふわりふわりと走らせていると、特別なおもてなしを受けているような満たされた気分になってくる。

これぞシトロエンの真骨頂。オートルート(フランスの高速道路)を走破し、石畳の旧道を進み、あちこちにあるラウンドアバウトを素早く、かつ、しなやかに駆け抜けるために必要な技術といえる。

インテリアの大人な雰囲気も、女ゴコロを昂らせるし、ちょっと小さく感じるステアリングも、ほどよい緊張感をもたらしてくれる。

結論。

「シトロエンのフラッグシップは、バブル時代を謳歌した女性にはどう映るのか」は、相変わらず存在する男性の価値観を、それってなんだっけ?と、優しくいなしながら、ふわふわと心地よく目的にまで連れて行ってくれる魔法の絨毯に映ったのだった。

5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

《text:岩貞るみこ》

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