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これがないとスピーカーは鳴らせない!? 「キーワードから読み解くカーオーディオ」Part1「スピーカー編」その2

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「パッシブクロスオーバーネットワーク」を同梱した市販「2ウェイスピーカー」の一例(DLS・M6.2)。全 4 枚写真をすべて見る

カーオーディオに興味を持って調べてみると、専門用語が多々登場する。結果、ビギナーを困惑させがちだ。当連載はその払拭を目指し、分かりにくい語句や知っておくべきワードの意味を説明している。今回は、市販スピーカーに付属しているとあるパーツにフォーカスする。

◆市販スピーカーの多くに付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク」とは?

今回取り上げる用語は「パッシブクロスオーバーネットワーク」だ。スピーカー交換をしようとして市販品を購入すると、かなりの高確率で当パーツが同梱されている。今回はこれについて解説していく。

さて、「パッシブクロスオーバーネットワーク」とは何なのかというと……。これは、「音楽信号の帯域分割を行う装置」だ。

前回説明したように、カー用のスピーカーカーの多くは「2ウェイ」もしくは「3ウェイ」だ。で、例えば「2ウェイ」なら、高音を再生する専門スピーカーである「ツイーター」と中低音を再生する「ミッドウーファー」の2つを用いて、全帯域の音を再生する。というのも、スピーカーは振動板の口径が小さくなるほど高音再生が得意になり、大きくなるほど低音再生が得意になる。なので口径の異なる2つのスピーカーユニットを用意して、それぞれに得意な仕事だけに専念させて効率的に音楽再生を行おうとするわけだ。

なので、「ツイーター」には高音信号だけを、「ミッドウーファー」には中低音の信号だけを送り込みたい。ゆえに信号の帯域分割をする装置が必要となるのだ。

◆「ツイーター」に対しては、「パッシブ」が絶対的に必要!

ただし、リーズナブルなスピーカーや取り付け性にこだわるモデルでは、「パッシブクロスオーバーネットワーク」が簡素化されることがある。しかしながら一部の例外を除いて基本的には、簡易的なタイプであっても何らかは用意されることとなる。

なぜなら、これを用いないと「ツイーター」が破損してしまうからだ。「ツイーター」には低い音の信号を入力するのは御法度だ。なので「ツイーター」の手前には必ず、中低音をカットするためのパーツ、つまりは「パッシブクロスオーバーネットワーク」が仕込まれる。

一方「ミッドウーファー」は高音信号が送り込まれても破損することはないので、高音をカットするためのパーツが省かれることがあるのだ。

とはいっても音のことを考えるならば、「ミッドウーファー」に高音信号は送り込まない方が良い。理由は主には3つある。1つ目は「ミッドウーファーの負担を減らしたいから」だ。破損しないとはいえ、「ミッドウーファー」は高音再生が得意ではない。しかし信号が送り込まれれば再生しないわけにはいかない。結果、仕事量が増え得意なはずの中低音の再生クオリティにも少なからず悪影響が出てしまう。

◆「ミッドウーファー」に高音信号を入れると、濁った高音が再生される!?

理由の2つ目は、「濁った高音を再生してしまうから」だ。「ミッドウーファー」は高音再生は得意ではないものの信号が入力されればそれを取り敢えずは再生する。しかし苦手ゆえに高音のクオリティは低い。であるならば、「ミッドウーファー」からは高音が鳴らないようにした方がサウンドがすっきりする。

理由の3つ目は、「高音がダブって聴こえてしまうから」だ。カーオーディオでは「ツイーター」と「ミッドウーファー」とが離れた場所に取り付けられるケースが多く、高音が2箇所から聴こえてくるとその音がズレて聴こえてサウンドの一体感が出にくくなる。

というわけで、スピーカーユニットを2つ使うのであれば、きっちりと信号の帯域分割をした方が高音質再生には有利だ。

ところで、高級なスピーカーでは敢えて「パッシブクロスオーバーネットワーク」が付属されないことも少なくない。なぜなら、ハイエンドカーオーディオシステムでは「プロセッサー」が使われることが多く、その場合は信号の帯域分割も「プロセッサー」にて行われるので、「パッシブクロスオーバーネットワーク」は不要になる。ゆえに高級スピーカーではそれが見越されて「パッシブレス」タイプのモデルが用意されるケースも目立つ。

今回は以上だ。次回以降もスピーカーに関連したキーワード解説を継続する。お楽しみに。


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《text:太田祥三》

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