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トヨタ『bZ4X』の走りは? テスラが3台も成約!? BMW、三菱も…レスポンス読者が体感した「EV・PHEV試乗会」

自動車ニュース

有明ガーデン(東京都江東区)にて開催した「レスポンス読者限定EV・PHEV試乗会」。目玉の1台となったトヨタ『bZ4X』全 52 枚写真をすべて見る

5月14日に有明ガーデン(東京都江東区)にて開催した「レスポンス読者限定EV・PHEV試乗会」。話題のトヨタ『bZ4X』をはじめ、最新のEV・PHEVを体感できる本イベントは、当日午前中が雨予報だったにも関わらず多くの人で賑わった。

当日は各メーカーのスタッフが試乗車に同乗し、来場者に車両の魅力を伝えた。実際にEVの購入を検討している人もまだ様子見という人も、来場者からはさまざまな反応があった。本記事では試乗会の様子をレポートする。

トヨタが本格投入する初のEV『bZ4X』

市販モデルの発表間もないトヨタ『bZ4X』は、今回のイベントのトピックと言える一台だ。ディーラーの展示・試乗が本格的に行われる前ということもあり、ほかのクルマを試乗した参加者も展示車を仔細に観察していた。

発表から2日間で500台を受注したというが、ディーラー試乗が始まればさらに弾みがつくのではないか、というのは展示担当者の話。事実、「現車を目にしてみたら、サイズ感が思っていたより手頃だった」という声が少なくなかったので、店頭に並べば反響は増すのではないだろうか。

加速やレスポンスのよさ、静かさはもちろん、乗り心地のよさを挙げる感想も聞かれ、bZ4Xに試乗した参加者からは高評価が寄せられた。トヨタが本格投入する初のEVということで、性能には懐疑的だった参加者にとってはうれしい誤算だったようだが、徹底した低重心設計の効果が体感できた結果だといえるだろう。

一方で、注文が見られたのはブレーキである。他社EVオーナーからはフィールの違いを指摘する声も聞かれたが、興味深かったのは「ワンペダルモードではない場合、スロットルオフでの減速が足りなかった」という、MT車オーナーの指摘だ。スバル『ソルテラ』には装備されている回生ブレーキのレベルを調整するパドルがあれば、そこは多少なりとも改善されるかもしれない。

もうひとつ、会場でしばしば聞かれたのが、購入方法への疑問だ。bZ4Xに適用されるKINTOに限らず、リースという形態が一般ユーザーにはまだまだ馴染みがないことが、来場者の声からは感じられた。こちらも、店頭での商談件数が増えるに伴い、理解が深まっていくことが予想される。

ともあれ、登場直後のbZ4Xを間近にできたことへの反応は、全般的にはポジティブだった。

イベント中に成約が続出したテスラ『モデル3』

今回、編集部がもっとも驚かされたのはテスラだ。というのは、クルマそのものの性能ではなく、イベント開催中になんと3台もの『モデル3』の成約に至った、という事実にである。実際には、もともと購入を検討して来場されたようではあったが、それにしても半日足らずで3台を販売したのだから、「テスラお見事」というほかない。

会場でも、モデル3への注目度は高かった。ほかの試乗・展示車より発売時期が早いにもかかわらず、人だかりは劣るところがなく、来場者アンケートでも購入を検討する車種にモデル3の名が多く挙がっていた。

もっとも、これにはディーラー数が他メーカーより少ないという事情も関係しているようだ。来場者アンケートには、普段なかなか試乗できる機会がないことを挙げる意見が散見された。

それと同時に、他車と比較しての高評価も見受けられた。先進性や、EVらしさの明確さ、独自の充電施設の充実ぶりなど、テスラブランドの特性を的確に捉えた指摘が多く、読者の皆さんの観察眼に感服させられることしきりだ。

EVの先駆者であるとともに、既存メーカーとは異なる個性を持つテスラの中でも、サイズ・価格ともに手頃なモデル3は、いち早くEVを購入しようというユーザーの関心を強く引きつけるクルマだということが、今回のイベントを通じての実感だ。電動モデルを検討している方々には、是非とも試乗の機会を見つけていただきたい。

エンジンを搭載することへの安心感『アウトランダーPHEV』

意外、と言っては失礼だが、三菱『アウトランダーPHEV』に注目する来場者は多かった。ほかが目新しいバッテリーEVばかりの中、普及しているハイブリッドの発展形とも言えるプラグインハイブリッド(PHEV)が思いがけない健闘を見せたという印象だ。

会場で多く耳にしたのが、エンジンを搭載するPHEVであることへの安心感だ。いずれ電動車へ乗り換えるときが来るにしても、現時点では充電施設の数や能力に不安があり、とくに長距離走行を考えるとEV購入には踏み切れない、という声がしばしば聞かれた。

さらに、集合住宅では充電設備の導入が難しい、という事情を抱えている方も少なくなかった。電動車購入を検討しているという来場者の相当数が、現実的な選択肢としてPHEVを挙げていたのは、充電インフラの整備が不十分な状況を考えると、当然の帰結かもしれない。

とはいえ、決して消去法的な考えばかりでアウトランダーPHEVが人気を集めていたわけではない。試乗された方の中にはEVオーナーもいたが、エンジンとモーターの切り替えが分からないほど静かだったとの感想も。走りのなめらかさ、しっとりとした乗り心地といった走りの面だけでなく、3列シートを備える点や、国産車ながら輸入車のような高級感あるインテリアなどを高く評価する参加者も。

また、展示会場を通りがかった一般来場者には、愛犬を連れて散歩する近隣住民の方も多く、室内スペースに余裕のある大型SUVのアウトランダーは魅力的に感じられたようだ。愛犬家の参加者は、駐停車時にエアコンを使っても電力に余裕があることを電動車の魅力に挙げており、エンジンで充電を補えるPHEVはその点でも心強いのではないだろうか。

BMW製EVの高い完成度は推して知るべし

今回、BMWは参加メーカー中最多となる3台を用意。試乗車は『iX』と『i4』、展示車は『iX3』だった。

まずはiX。今回の試乗車の中でもっとも高価なモデルだったこともあり、高級感や快適さ、先進性などに好評価が集まった。そのサイズゆえに、広さや重厚感に言及する意見も目立ったが、なかにはひとこと「スゴイ!」との感想も。メルセデスベンツのEQモデルと比較しているという声も聞かれた。いっぽうで、ガソリン車から乗り換えても違和感がない、という参加者が少なくなかったのはやや意外だったが、それもBMWらしい完成度の高さの表れといえそうだ。

同じことは、i4にも言える。参加者からは「内燃エンジン(ICE)の高級車と変わらない洗練性や乗り味、自然さを感じた」というものと、「モーターならではのスムーズさや静かさ、パワフルさが印象に残った」という声の両方が聞かれ、その両方の利点を同時に挙げる参加者もいた。電動車特有のブレーキフィールを指摘する回答はあったが、i4に試乗してEVに興味を持った、という感想もあった。

BMWのスタッフは、「まだまだ様子見のユーザーが多い」という感触を得たという。他社以上にエンジンへのこだわりを強く打ち出してきたメーカーだけに、そのファンに電動化への抵抗が根強いのはやむを得ないだろう。でありながら、試乗したら違和感がなかった、という感想が数多かったのだから、BMW製EVの高い完成度は推して知るべしだ。

iXのようなEV専用車と、i4やiX3のようなICE版が併売されているEVを揃え、さらには同グループのMINIも含めてPHEVのラインナップが充実しているBMW。輸入車での電動化を考えるなら、有力な選択肢といえそうだ。

スーパーカー的な雰囲気で注目を集めた『e-tron GT』

今回、試乗の場は設けられなかったものの、来場者の熱い視線を集めていたのがアウディの展示車、『e-tron GT』だ。SUVタイプや手頃なサイズの4ドアが居並ぶ中で、醸し出すスーパーカー的な雰囲気は異彩を放ち、まるでここだけがモーターショーのブースになったかのような趣さえあった。

ひときわスポーティで、しかもひときわ高価なモデル。街なかでも、販売店の店頭でもあまり目にすることがないだけに、配布されるリーフレットを手に取る人数も多かった印象だ。

しかも、シートに座ってじっくり観察できるめったにない機会とあって、順番待ちの列ができることもしばしば。子どもや若い男性が目立ったが、熱心に説明を聞く若い女性の姿もあり、趣味性の高いクルマ好きには間違いなく刺さっていたといえる。

かえすがえすも、試乗車がなかったことが残念でならないe-tron GT。476psのハイパワーは、一般道では片鱗しか感じられないだろうが、ロング&ワイドでありながらオールホイールステアリングがもたらす取り回しのよさは、市街地で体感して欲しかったところ。またの機会があることを切に願うばかりだ。

《text:関耕一郎》

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