鮮烈なレッドのイメージカラーを使ったインテリアのデザインが美しい佐々木さんのBMW420i。コンペでも戦えるサウンドをテーマにしてハイレベルなインストール&調整を実践。そんなユーザーの思いを百戦錬磨の岩手県・サウンドフリークスが応える。
アウターバッフルを中心に大胆加工を施し
フロントドアのデザインを再構築した力作
BMW420iの内装に対して、鮮烈なレッドのカラーリングを配したカスタムインストールを施した佐々木さん。同時にハイエンドなユニット群を投入することで、イベントやコンテスで勝てるサウンドを作り上げてきた。
サウンドの根幹となるフロントスピーカーに選んだのはブラックのグラフィックGLシリーズ。ミッドバスのGL6はドアにアウターバッフルでインストール。ドア加工はスマートだがかなり手の込んだものとなっている。ドアの下半分は新たにデザインされたもの。スピーカーの取り付け部は最小限の出幅で設計され、バッフル形状もスクエアでインテリアにフィットする独特な処理とした。
また前方のバッフル部から後方に向けてシャープに刻まれているプレスライン、さらには立体感を伴ったパネル処理も見どころだ。アウターバッフルを純正ドアと違和感なくマッチさせるために広い範囲でデザイン処理を施した。ポケットは潔く排してサウンド重視の設計。一方ドア上半分はイメージカラーのレッドのレザーで処理される。カラーリング&デザイン処理で映える仕上がりとした。
ツイーター、ミッドレンジの取り付けにも
それぞれにこだわりと工夫が込められている
中高域用のスピーカー群の取り付けも見どころ。高音質を徹底してこだわったオーナーだけに、音響特性を最大限に引き出す取り付けが基本。ミッドレンジのグラフィックGL3はAピラーにビルトイン取り付けされる。ピラーの幅に対して外径の大きさが際立つユニットながら、大きくラウンドさせてアウトラインをデザインすることで限られたスペースにスマートに納めている。ピラーの下部エリアにミッドレンジを設置するスタイルも独特のムードだ。そのデザイン性にはオーナーも満足度が高いという。
一方、ツイーターであるグラフィックGL1はドアミラー裏にインストールされている。こちらはマウントをワンオフしてドア上部にしっかり角度を付けて取り付けるスタイル。ミッドレンジとのコンビネーションを最良にするためのスピーカーロケーションが完成した。
サブウーファーはブラックスのマトリックスML10をチョイス。セカンドシート後方にバッフル面を設けてトランク内にエンクロージャーを設置する構造。十分なボックス容量を確保することで伸びやかな低音を再生している。セカンドシートのシートバックを倒せばイメージカラーの赤で彩られたバッフルが現れる。デザイン性に加えて徹底して音にこだわったインストールも込められた。
進化するシステムを感じさせるラゲッジ処理
コクピットの加工などでも見どころ満載の一台
ラゲッジにはパワーアンプ、DSPなどを収めるオーディラックを組む。ただし、これまでもシステム変更を繰り返してきたベテランオーナーの佐々木さん、ユニットのサイズやデザインに合わせてリメイクするのではなく、今聴きたいユニットを取り入れてインストールするスタイルを貫いている。現在はパワーアンプにRSオーディオのA40(ミッドバスとサブウーファー用)とカロッツエリアのPRS-A900(ツイーター、ミッドレンジ用)をインストールする。
コクピットまわりの取り付けで注目したいのはダイレクターのビルトイン加工だろう。センタークラスターの下部スペースを利用してパネルをワンオフ。ここにダイレクターをビルトインしている。ダッシュ形状に合わせて周囲をラウンドさせる加工でインテリアと調和の取れたフォルムとしている点も見どころだ。
「オーディオは音が変化していくのが面白い」「イベントで入賞したときの楽しさが一番の醍醐味」と語る佐々木さん。コンペ指向も強く勝てるサウンドを常に追求するクルマをショップと二人三脚で作り上げてきた。しかし同時に自分が好みの方向性で音の進化を楽しむというスタンスも崩さず、オーディオとは適度な距離感で付き合って行っているのも大人の趣味ならでは。
今後も自分のフィーリングに合うその時々のサウンドを取り入れて、音の進化を楽しんでいく予定だ。大人のオーディオ趣味のあり方のひとつを見たような気がする。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》