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失敗しない“初めての”スピーカーの選び方とは? 「プロ直伝! カーオーディオ製品の“チョイスのコツ”、教えます!」第1回

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10万円以下の市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-C1730Sll)。全 8 枚写真をすべて見る

カーオーディオ製品のチョイスは、実は案外難しい。スペック比較だけでは製品の特長を読み切れないからだ。しかし、コツはある。当特集ではそこのところを全国の実力“カーオーディオ・プロショップ”から訊き出し、紹介していく。

第1回目となる当回では、“初めてのスピーカー”としてターゲットとされることが多い1万円台から10万円くらいまでのスピーカーの中から“マイベスト”を見つけ出す方法を解説する。アドバイスをくれたのは福岡県粕屋町の有名店、“エモーション”だ。さて、その話の中身とは…。

“総予算”を抑えたければ、まずは“取付性”を要チェック!

“初めての”スピーカー選びにおいて気にするべきポイントを、“エモーション”の代表を務める橋本さんに訊いてみた。

「まずは、“取付性”を気にされると良いと思います。“取付性”が高いと総費用を抑えやすくなりますから。なお、“取付穴口径”は気にされなくて大丈夫です。大方のサイズ(17cmクラスとか10cmクラスとか)が合っていれば問題ありません。ちなみに輸入モデルは国産品と比べて“取付穴口径”が大きめですが、プロショップにてインナーバッフルをワンオフするのなら適応したものを用意してもらえますし、市販品を使う場合でも木製のものなら内径を削れば対応できます。

気にするべきは、“取付奥行寸法”です。ドア内部のクリアランスは車種によって異なりますので、“取付奥行寸法”が大き過ぎると内張りパネル内に収まらないケースも出てきます。

なのでスピーカー選びをする前には、愛車のドア内部のクリアランスを確認すべきです。なお、専門店にてご相談される場合にはそこのところは最初に教えてもらえるはずです。専門店なら多くの車種のドア内部の状況を把握していますし、分からない車種であればパネルを外して調べてもらえると思います。

ちなみに“取付奥行寸法”が65mm以下であれば、多くの車種に装着できます。とはいえ事前確認はすべきですので、ご注意ください。

あと、ツイーターをダッシュボードの上にポンと置くようにして取り付けられる“マウント”が同梱されているかどうかも確認されると良いですね。それが付いていれば、ツイーターの取り付け費用を抑えやすくなりますから。なおこのような“マウント”には2タイプがあります。ツイーターがほぼ真上を向くタイプとリスナーの方に向けられるタイプ、この2つです。お薦めなのは後者です。その方が、ツイーターが発する音情報をより多く受け取れますから」

10万円以下の市販スピーカーの一例(フォーカル・ES 165 K)。

スピーカーは、価格差が性能差に直結しやすい!?

さて、いくらくらいのモデルが“初めてのスピーカー”として適しているのだろうか。

「もちろんご予算ありきなのですが、お薦めなのは3万円から3万5000円(税抜)クラス以上のモデルです。

というのもスピーカーとパワーアンプは特に、“物量”がものを言います。つまり製造コストをかければかけるほど(使用する部材により良いものを使えば使うほど)性能が上がっていくんです。ですのでクラスが異なると性能差が如実に表れます。例えば、1万5000円のモデルと3万円のモデルとでは価格が倍違いますので、性能差もぐっと開きます。なのでお使いになって後悔される可能性が低いのは、そのクラス以上のモデルです。

なおその上の価格の製品においても、性能が1ランク上がるボーダーラインが存在します。次は5万5000円から6万5000円、その次は8万円から9万円です。そのラインを超えるごとに性能もガラリと良くなります。なのでもしもご予算が許すのであれば、ワンランク上の製品に目を向けると良いかもしれません。得られる満足度が高まります。

ただし同価格帯の製品を比べる際には、少々の価格差は気にされない方が良いですね。重要なのは試聴の際の“第一印象”です。スピーカーには各製品ごとのキャラクターがあります。つまり絶対的に“良いもの”は存在せず、好きかどうか、ここを見極めるしか選びようがないんです。なので“どうせなら少しでも高いものを”という選び方は、あまりお薦めできません。クラスを絞り込んだら、その中から“好きなもの”をお選びください」

10万円以下の市販スピーカーの一例(モレル・マキシマス 602 V2)。

試聴の際には、“先入観”を持たないことが大事!

次いでは、“好きなもの”を見つけ出すコツを教えてもらった。

「“先入観を捨てること”、これが何より重要です。なぜなら、人間の耳の感度は人それぞれだからです。ゆえに心地良いと感じるポイントも人によって異なります。また、お好きな音楽もさまざまです。ビートの効いた音楽とゆったりとした音楽とでは、スピーカーの向き不向きも変わってきます。ですのでネット等で仕入れた他の人の評価は忘れるべきです。ご自分のお好きな曲をかけたときのファーストインプレッションを信じてください。それが失敗しないスピーカー選びの一番のコツだと思います。

ところで、高額なモデルになるほどクセの強いものが増えてきます。先述したとおり物量を投じると磁気回路の性能が上がり、だからこそ磁気回路が特に良く動いてしまう周波数帯が発生しやすくもなるんです。ですので高級モデルはサウンドのリアリティが上がる一方で個性が強まる傾向も強く、好みに合うか否かの見極めが一層重要になってきます。

なおスペックを気にされる必要はありません。しかし参考になるポイントも存在しますのでご紹介しましょう。それは、“能率(出力音圧レベル)”と“再生周波数帯域”の下側の値です。“能率”が高いほど大きな音を出しやすくなり、元気の良い音離れの良いサウンドが聴ける傾向が強まります。逆に“能率”が低いモデルほど余韻のある暖かみのあるサウンドになりやすいです。

そして“再生周波数帯域”の下側の数値が60Hzよりも低いモデルは柔らかな低音が出しやすく、逆に下側の数値が60Hzに届かない(それよりも上の)モデルは80Hzとか100Hzあたりの低音のパンチ力が上がります。硬くアタック感のある低音を奏でやすくなるんです。

とはいえこれらについても、参考程度に見るにとどめましょう。あくまでも、ご試聴の際の第一印象を優先してお選びいただきたいですね。

お近くでしたらぜひお気軽にお越しください。ご試聴可能なスピーカーをさまざまご用意しています。お待ちしています」

《text:太田祥三》

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