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【トヨタ アクア 新型試乗】欧州車にも負けないライド&ドライブフィーリング…飯田裕子

自動車試乗記

トヨタ アクア(e-Four)全 11 枚写真をすべて見る

「アップグレード感」すら抱く進化

新型『アクア』は5ナンバーサイズながら室内は特に後席スペースを拡大させ、お世辞抜きでこのサイズにして十分な広さを持つ実用性の高いコンパクトカーへとますます進化した。

またハイブリッド車の良さを走行性能はもちろん、非常時などに給電も行えるシステムを新採用するなど機能面でも向上したことで「アップグレード感」すら抱く。インテリアの機能別の操作類の配置や使いやすさ、それにシートのサポート性も「優しいのよー」というのがまずは率直な感想だ。

新型アクアは直列3気筒1.5リットル+モーターを組み合わせたハイブリッドに大電流を一気に流すことのできる新型バッテリー(バイポーラ型ニッケル水素電池)を駆動用電池として世界初搭載。これによりアクセルペダルの踏み込み量にも、よりリニアに応答できるように。コンパクトなアクアの走りがより“スイスイ”になり、静かさとともに洗練された。

さらにこれまではEV走行領域が20km/h以下だったのに対して、40km/hを超える速度でも積極的にEV走行が可能になったことで、必然的に街中での燃費も向上している。

欧州車にも負けないライド&ドライブフィーリング

FF(2WD)の「Zグレード」に標準装備されるフロントショックアブソーバー(スイングバルブを採用)の働きによって細かな路面のコツコツをかなり払拭。足元からステアリングに伝わる感触も含め、欧州車にも負けないライド&ドライブフィーリングを実現していた。

一方、4WD(e-Four)の制御は主に滑りやすい路面での発進や加速時のサポートがメイン。降雪エリアに住むユーザーのニーズを汲んだこの4WD、ドライ路面では発進時以外は基本的にFFで、スマートな走行をしてくれた。滑りやすい路面での走行の安心と燃費性の両立ぶりも新型アクアの4WDモデルならではと言えそう。

新たな性能としては「快感ペダル」もある。新型アクアに用意された4つのドライブモードのうち「POWER+(プラス)モード」を選択するとトヨタが「快感ペダル」と呼ぶ走りを体感できる。アクセルペダルを緩める量で回生ブレーキの強さが変わり、例えばアクセルをたくさん緩めると強めの回生ブレーキがかかる。これを使えばブレーキペダルの操作が減るので、特に街中の走行速度域ではアクセルの強弱で速度調整をしながら走ることができる。

走りにもちょっとこだわりたい、という人にも

安全運転をサポートする機能の搭載にも抜かりなく、トヨタセーフティセンスを標準搭載。また新たに枠のないところでも場所を決めてスイッチを押し、アクセル、ブレーキ、前進/後退もアベレージドライバー並のスマートさでやってくれる「アドバンスト パーク」をオプション採用。これはレクサス『LS』とトヨタ『ミライ』から採用された技術だけど、もっと多くの人がユーザーになるアクアのような「身近なモデルにこそ必用」と考えるトヨタの運転支援技術の普及への取り組みも好感を抱くことができる。

デザインや質感も2WDの最上位グレードのZで240万円(ベースモデルは198万円~)とすれば、満足度はかなり高いのではないか。

総合的な印象は日常で扱いやすさを武器とする便利なパートナーながら、筆者のような走りの質にもちょっと(スポーティという表現はしませんが)こだわりを持ちたいという方にも満足度の得られるモデルと言えるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

飯田裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。

《text:飯田裕子》

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