アクセスランキング

プロなら、スピーカーの性能を引き出せる!? 「プロが頼りになるワケとは…?」 Part1「スピーカー交換」編 その1

カーオーディオカーオーディオ特集記事

市販スピーカーへの交換例。全 8 枚写真をすべて見る

コロナ禍ということもあり、クルマいじりを趣味とするドライバーが増えている。カーオーディオ機器についても、その取り付けを自ら行おうとする人が増加中だ。確かに自分で付ければコストを抑えられ、何より作業を楽しめる。

カーオーディオ製品の取り付けには、経験と技術が必要!?

しかしカーディオ製品の取り付けは、自分でやってみると案外難しい。というのも、カーオディオ製品は単に付けば良いというものでもないからだ。取り付け方の良し悪しで、出音のクオリティが変化する。

ゆえに「カーオーディオ・プロショップ」が存在している。プロは経験と技術を有しているので、製品の性能を引き出せる取り付けを実行できる。

もちろん、プロ顔負けの技術と経験を持つハンドメイダーもいる。そして現在は初級者でも、楽しみながら腕を磨いていこうとするのももちろんアリだ。しかし、クルマいじりに慣れていないというのなら、そしてより良い結果(より良い音)を得たい思うなら、プロに任せた方が安心で確実だ。

というわけで当特集では、プロに任せるべき理由をさまざま解説していこうと思う。それにてプロならではのバリューを知ってほしい。なおDIY派の人たちにも、当特集は参考になるはずだ。難しさのポイントを把握できるので、その知識が実作業に役立つに違いない。

さて、まず今回は「スピーカー交換」について説明していく。で、「スピーカー交換」においては、ドアパネルの取り外し作業が最初の関門として立ちはだかる。

ちなみにパネル類の取り外し作業のことは「バラシ」と呼ばれているのだが、このバラシ作業を行うのにもコツがいる。ポイントとなるのは、「手順」と「力加減」だ。パネル類が固定されているその構造は車種ごとで異なっていて、隠しネジが使われていたり、先に何かを外さないと外したいものを外せないというような部分も多々ある。なのであらかじめ構造的な情報を取得する必要がある。そうしないと外す手順が分からない。

純正スピーカーの装着例。スピーカーを固定してあるビスは壊さないと外せないようになっている。

プロなら、バラシ作業は“朝飯前”!

ちなみにプロも、作業したことのない車種については事前のリサーチを欠かさない。しかし作業したことのある車種なら、以後はスムーズにバラせる。

そして外すときには案外力がいるのだが、力を加えるべき場所と力を加える方向が初心者にはなかなか分からない。プロはその点においても慣れているので、誤ってパネルを破損するようなことはほぼない。

かくしてドアの内張りパネルを外せると、純正スピーカーと対面できる。なので後は簡単…、かというと実はそうでもない。まず、純正スピーカーは簡単には外せない場合が少なくない。細かな状況はケースバイケースだが、基本的に純正スピーカーは交換されることが前提となっていないので、取り外しにくくなっていることが多いのだ。例えばビスはいわゆる“はめ殺し”の状態になっていることが多く、そうであるとビスの部分を破壊しないと外せない。

ところで純正スピーカーは、土台となる部分と一体化されている場合が多いので、取り外すと土台も失うこととなる。なので「スピーカー交換」を行う際には、土台となるパーツも別途用意する必要性が生じる。ちなみに、簡単に取り付けられることがうたわれているモデルでは土台となるパーツも同梱されていたりするので、そうであればそれを使えば良いのだが…。

しかし、そうであっても土台となるパーツは別途用意した方が良い。なぜなら土台は、スピーカーの性能を引き出そうとするときに重要な役割を負うからだ。同梱されているパーツは簡易的なものである場合が多く、性能的に心許ない。

取り付け性の高さを特長とする市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-C1730Sll)。

プロなら、ベストな「インナーバッフル」をワンオフ可能!

ちなみに、その土台となるパーツのことは「インナーバッフル」と呼ばれている。そして市販品もいろいろと出ているので、コストを抑えようと思ったら手頃なものを選べば良い(愛車に適合するものの中で)。で、数社からタイプの異なるものがリリースされているので、何を選べば良いのかも、プロに仕事を任せる場合には相談できる。

なお、市販スピーカーをドアの鉄板に直付けするのはNGだ。まず、そもそも直付けするのは難しい。なぜならば、スピーカーの取り付け面に設けられているネジ穴の位置と、ドアの鉄板に空いているネジ穴の位置が一致しないケースが多いからだ。さらには土台を用いずに取り付けると、スピーカーの奥側がドア内部に降りてくる窓ガラスと干渉しがちだ。しかし「インナーバッフル」を用いれば、スピーカーを固定するためのネジを受けられ、スピーカーをある程度立ち上げられるので窓ガラスとの干渉も避けられる。

ところで、鉄板にネジ穴を新たに空ければスピーカーを直付けすることも不可能ではないが、そうすると振動板が動くときの振動が鉄板にダイレクトに伝わってしまうので、鉄板が共振しやすくなる。共振するとビビリ音が発生し、その音がスピーカーから放たれる音を濁してしまう。それを緩和するためにも「インナーバッフル」の使用はマストだ。

で、「カーオーディオ・プロショップ」にて「スピーカー交換」を行う際には、この「インナーバッフル」をワンオフしてもらうことも可能となる。ワンオフすると厚みを調整することで立ち上げ量をコントロールでき、サイズ的にもジャストなものを用意できるので、鉄板の共振を防ぐ効果も高められる。そして何よりスピーカーの足場が安定するので、振動板を動かすエネルギーをロスしにくくなる。結果、交換するスピーカーの性能を一層引き出せる。

今回は以上だ。次回は「スピーカー交換」におけるその他のポイントについて説明していく。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心

《text:太田祥三》

編集部ピックアップ

TOP