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【スバル WRX S4 新型試乗】「FA24型」は歴代ボクサーの中でもトップクラスの吹き上がり…丸山誠

自動車試乗記

スバル WRX S4 STIスポーツR EX全 16 枚写真をすべて見る

新型『WRX S4』には、ある不安を抱いていた。FA型エンジンのことだ。

FA型はフリクションロスを少なくし、高い熱効率を追求した、スバルの主力ユニット。だが基本的にFA型はターボであっても低回転域のトルクが細い印象があったため、新型WRXを2.4リットルに拡大してもWRXらしいフィールが感じられるのか心配だった。

だが、サーキットを走るとそんな不安は一気に吹き飛んだ。

歴代ボクサーエンジンのなかでもトップクラス

このFA24型は低回転域からトルクが太く、それでいてレッドゾーンまで気持ちよく一気に吹き上がる。WRXファンは「EJ」信者が多いが、このFA24型を体験すれば、FA型を受け入れられるユーザーが多くなるだろう。なにしろ切れ味が鋭くなっていて気持ちいいエンジンフィールに仕上げられている。

特に走行モードのS#を選ぶと、さらにアクセルレスポンスがよくなり切れ味が増す。この吹き上がり感はスバルの歴代ボクサーエンジンのなかでもトップクラスといえるフィーリングで、低回転域から沸き上がるトルク感と中高速回転にかけて弾みがつくように回る感じはダイナミックでスポーツユニットらしい。

特に5000回転前後はさらに切れ味が増す感じで鋭いアクセルレスポンスが楽しめる。アクセルの微妙な操作を受け付けるためクルマの姿勢コントールのよさにも結び付いている。このエンジンフィーリングだけでも、ハイパフォーマンスマシンを操っているという満足感に浸ることが可能だ。

スポーツ走行の洗練度を高めた電子制御ダンパー

エンジンだけではなくサスペンションの出来がいいのも魅力的だ。特に「STIスポーツR」に装着されている電子制御ダンパーは、スポーツ走行の洗練度を高めている。同サスは『レヴォーグ』にも採用されているが、WRXは専用特性で減衰力を全体的に高めた設定。これに合わせて2ピニオンの電動パワーステアリングと制御されているから、操舵感と姿勢変化に一体感があり、ドライビングのリニアリティが高い。

セミウエットというコース状況だったが、コントロール性が高いため存分にWRXの走りを楽しめた。下りながらブレーキング行うタイトなコーナーでもノーズが入りやすく、アンダーステアを感じさせない。Gが高まるコーナーではロールがよく抑えられていてスタビリティが高く、アクセルを踏んでいける。サスの出来がよくないと、このコーナーでアクセルを踏んで行くのは難しい。

大きく回り込むコーナーでは、アプローチのブレーキングで少しブレーキを残してやると、リヤがゆっくりとスライドしていき姿勢をコントロールしやすい。コーナー立ち上がりでアクセルを踏むとリヤタイヤにしっかりとトラクションがかかり、ほぼニュートラルステアでコーナーを脱出できる。ドライバーの意思どおりに動くためドライビングしていてとても楽しい。

この性能を400万円前後で手に入れられるのは魅力的

この気持ちよさは、新採用のスバルパフォーマンストランスミッションの効果もある。CVTであることに変わりないが変速制御のレスポンスが大幅に向上しているため、ATであってもスポーツ走行が存分に楽しめる。

正直、新型WRX S4のパフォーマンスの高さに驚いた。この性能を400万円前後で手に入れられるのはかなり魅力的。国産スポーツセダンが少なくなるなかで、ファミリーユースが可能なWRX S4は貴重な存在だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

《text:丸山 誠》

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