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低音の鳴り方を自身でプロデュース! スピーカーの性能をさらに引き出す“次の一手”を詳細解説! Part4「ユニットサブウーファーの追加!」

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「ユニットサブウーファーボックスの取り付け例(製作ショップ:パラダ<福井県>)。全 5 枚写真をすべて見る

純正カーオーディオの音を良くしたいと思ったら、スピーカー交換が最善手となる。ゆえにこれを実践しているドライバーは多いが、そのスピーカーの音を一層良くする手段があるとしたらどうだろう。それを実践しない手はないはずだ。当特集ではその具体策を紹介している。

低音を増強すると、臨場感が増しサウンドが豊かに響く!

今回は、「ユニットサブウーファー」の導入について考えていく。「ユニットサブウーファー」とは、サブウーファーが裸の状態で製品となっているものだ。

ところで当特集の第1回目で、「パワードサブウーファー」の追加について解説した。低音の増強をより手軽に行いたいときには「パワードサブウーファー」が最良のチョイスとなるので、まずはその実践方法をじっくりと説明した。しかし、より本格的な重低音を得たいと思うのであればこの、「ユニットサブウーファー」がお薦めだ。

なお、「パワードサブウーファー」の説明をする中で低音を増強することの意義を解説したが、最初にそれについて簡単におさらいしておきたい。「サブウーファー」を導入するその最大の目的はズバリ、「ドアスピーカーでは再生しきれない超低音を鳴らせるようにすること」だ。ドアに取り付けられるスピーカーは基本的に17cmクラスが最大サイズだ。しかしこの大きさでは、物理的に超低音のスムーズな再生が難しい。低音を再生するにはある程度大きな振動板が必要だからだ。

なので「サブウーファー」を導入すると、それまでクリアに聴こえていなかった超低音がしっかり聴こえるようになる。特に、クラシック音楽のようなホールの残響音が多く含まれる録音では、それを再現できるようになるので迫力が増す。残響音は超低音が中心だからだ。そしてビート感が効いた曲ではノリが良くなる。さらには低音がしっかり鳴ることで中音から高音までも好影響を受け、音楽全体が豊かに響く。これらが低音を強化することで得られるメリットだ。こうして、交換したスピーカーの性能が一層引き出されることとなるのだ。

「ユニットサブウーファーボックスの取り付け例(製作ショップ:オートステーションK2<大阪府>)。

導入のハードルは低くはないが、だからこそやり甲斐が大!

続いては、「ユニットサブウーファー」の導入方法を説明していこう。なお、これをシステムに組み込むためには、「ユニットサブウーファー」のみならず、それを装着するボックスと、駆動するためのパワーアンプとが別途必要となる。

ゆえに導入のハードルが上がるのだが、だからこそ自分が望む低音を得られやすくなる。「ユニットサブウーファー」は多彩にリリースされているので、どんな製品が望むサウンドに向いているのかを十分に吟味でき、またどんなボックスを用意するかでも音が変わってくる。さらには、パワーアンプのチョイスでもサウンドが変化する。そういったもろもろを、楽しみながら検討できる。つまり、超低音の鳴り方を自分自身でプロデュースできるのだ。

なお、導入のハードルを多少なりとも下げる方法は存在している。まず、ボックスは必ずしもワンオフしなければならないというものではない。汎用的なボックスも売られているので、それを活用すると予算を縮小できる。または、「ユニットサブウーファー」とボックスが一体化した「ボックスサブウーファー」をチョイスするという手もある。ちなみに「ボックスサブウーファー」は、「ユニットサブウーファー」を開発したメーカーがそれに合ったボックスをこしらえているわけなので、ユニットとボックスの相性は抜群だ。その意味では失敗がなく安心して使える。

そしてパワーアンプも、最近はリーズナブルで優秀なモデルも多くある。ちなみに「ユニットサブウーファー」には、D級パワーアンプを組み合わせると好結果が得られやすくなるのだが、D級パワーアンプは他の動作方式のパワーアンプよりもコストパフォーマンスが高い傾向がある。D級パワーアンプは構造上、物量を投じなくてもある程度高性能なモデルを作りやすいからだ。なので、廉価なモデルであっても案外良いアンプが見つかりやすい。

D級アンプが「サブウーファー」用アンプとして向いている理由は以下のとおりだ。D級アンプは往々にして駆動力が高く、振動板を止める制動力も高い。なので、「サブウーファー」を鳴らすためのアンプとして持ってこいなのだ。

市販「ユニットサブウーファー」の一例(フォーカル・E 25 KX)。

ボックスにはタイプ違いがさまざまある! どんな箱にするかを思案することも楽しみどころ!

ところで、サブウーファーボックスにはタイプ違いがいくつかある。まず構造的には主には2タイプがある。「密閉型(シールドタイプ)」と「位相反転型(バスレフタイプ)」、この2つだ。ちなみにスタンダードなのは前者だ。こちらの方が比較的にボックスサイズを小さく作れることと設計がやや容易であることがメリットで、特にこれらが好感されて支持率が高い。そして、キレ味の良い低音を鳴らしやすいという特徴も持つ。設計次第ではゆったりとした低音を鳴らすことも可能だが、ちょっと小さめに作るとハギレの良い低音を鳴らしやすくなる。

対して「バスレフタイプ」は、ポート(ダクト)と呼ばれる“穴”が設けられていて、そこから「ユニットサブウーファー」の裏側から放たれる音を放出する仕組みが備えられている。なお、裏側の音がそのまま外に漏れると表側の音との打ち消し合いが起こるので、位相を反転して放出される。位相とは音波のタイミングだとイメージしてほしい。つまり波形を真逆の形にしてから放出するのだ。そうすることで狙った帯域の音を増強する効果が得られる。ここが「バスレフタイプ」の最大のメリットだ。

そしてスタイル的には、「箱載せタイプ」と「埋め込みタイプ」とがある。前者はトランク等にポンと置くように設置でき、後者はトランクフロア等に埋め込まれることとなる。なお、製作コストを下げたい場合には前者が向いている。

対して「埋め込みタイプ」は、トランクの積載性をほとんど落とさずにすむことが利点だ。しかしながら製作コストは上がってしまう。複雑な形になることがあり、さらには隠すためのフタも作らなければならないからだ。

このようにボックスにはさまざまなタイプがあり得ているので、どんな箱を作るか、そこを思案することも楽しみながら行いたい。そこも「ユニットサブウーファー」を使うことの醍醐味の1つだ。

今回は以上だ。次回以降も交換したスピーカーの良さをさらに引き出すため“次の一手”を紹介していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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