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【BMW 318iツーリング 新型試乗】積極的にこのエントリーグレードを推したい…中村孝仁

自動車試乗記

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若い時は、複数のグレードが存在するモデルの場合、やはり上級モデルに目が行きがちで、エントリーモデルを積極的にチョイスするのはAセグメントやBセグメントのハッチバックだけのように気がした。

ところが世の中すっかり変わり、大型エンジンを搭載し高性能を標榜されても『時代はそこじゃないでしょ?』と、すっかりクルマ選びの価値基準が変わってしまった印象が強い。もちろんまだ車種によってはエントリーグレードの場合、装備内容がプアになるケースもあって一概には言えないのだが、今回試乗したBMW『318iツーリング』はむしろ積極的にエントリーグレードを推したい印象が強かった。

特筆すべきはトルク

まずエンジンである。先代即ちFのコードネームを持っていた時代の318iは、1.5リットルの3気筒エンジンを搭載していた。このエンジン、今も横置きのモデルには設定があるのだが、どうやらBMWはやはりFWDモデルとFRモデルの差別化を明確にするためか、新たなGのコードネームを持った今回のモデルでは2リットルの直4エンジンに改めてきた。勿論上級グレードとなる「320」とは性能的に差別化が図られていて、318iの場合は156ps、250Nmという設定。以前だったら2リットルターボエンジンならもっと遥かに強力だったが、正直これで十分という印象を受ける。

特筆すべきは1300rpmから4300rpmまでの広い範囲で最大トルクを発揮している点。だから、街乗りでも高速でも非常に乗り易く、日本の道路事情であればどこから踏んでも鋭い加速が得られるから、性能的な不満は全くなかった。

車両本体価格は523万円。これに試乗車の場合165万円のオプションが装備されて合計688万円となる。オプションの大半はいわゆるパッケージオプションだから、単独でこれだけ選びたいといった要望にはどうやら応えられない。どうしてもつけたいと思えたオプションは、コンフォートパッケージと呼ばれるラゲージスペースを中心に装備されるもので、特に電動式リモートバックレストリリースや、ラゲージコンパートメントパッケージなどは、ワゴンとして使う上でとても有用だし、欲しいと思える。

ワゴンとして優れた使い勝手

3シリーズツーリングを改めて試乗して、ワゴンとしてとても使い勝手が考慮されていると感じた。ひとつはテールゲートのみならず、ガラスハッチを備えている点。そしてもう一つはシートアレンジやそれに対するアクセスのしやすさである。

元々結構な広さを持っていて、シートを使った状態でも500リットルを確保、すべて倒すと1510リットルまで拡大できる。問題はここで、シートを倒すのがまず面倒なのだがこれがコンフォートパッケージの電動式リモートバックレストリリースを使えばテールゲート側から一発で倒せる。

次にトノカバーの処理。ドイツ製ワゴンのトノカバーはこれまでの経験だととても丈夫でしっかりと付いていて、だいたい外すのに結構めげるものが多い。そもそもその重さも相当なものだから、写真撮影でも取り外すのに苦労したりするのだが、この3シリーズのそれはリリースボタンをひとつ押して手前にスライドさせれば簡単に取り外せる。しかも重さも軽く作られていて拍子抜けするほどだった。

最後方のスペースは両サイドが抉られているから、ゴルフバックなども横にして入れられそうだ。しかも外したトノカバーは床下に収納できそうで、邪魔にならずに済む。ワゴンとしての機能をここまで考えたクルマも数少ないと感じた。

ステアフィールは本当に絶品である

その走りはセダンで感じたものと軌を一にしていて、とにかく隙が無く走りの良さを十分にドライバーに伝えてくれる。セダンに試乗した時にも書いたが、このクルマのステアフィールは本当に絶品である。

敢えて難点を記すと、最近のモデルは電動アシストが装備されたクルマが多い。いわゆるマイルドハイブリッドというやつで、クルマの走り始めを電気が司る。また、アイドリングストップからエンジンが目覚める時もシュルンとかかるのだが、完全な内燃機関のみの318iはアイドリングストップからエンジンが目覚める時に結構ボディを揺らすことだろうか。まあ正直言えばほとんど難点とは言えないものであるが。

いずれにしてもとても良く使い勝手が考慮されたワゴンで、今更ながらその良さに気付かされた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《text:中村 孝仁》

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