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【VW アルテオン 新型試乗】ちょっとのお化粧直し、でもコスパは十分高い…中村孝仁

自動車試乗記

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VW『アルテオン』に初試乗したのは2018年のこと。このクルマは当時から280psという抜きん出たエンジンパワーや7速DSGを備えていたから、今回は言わば化粧直しである。

といっても目玉は他にあって、今回の変更で新たに「シューティングブレーク」と呼ばれるワゴンタイプのバリエーションが追加された。どうも美味しいものは最後に食べる癖があって、今回は敢えてセダンタイプ(クーペ風だが)に試乗。目当てのシューティングブレークは夏休みにゆっくりと乗せて頂くことにした。

パサートよりも俄然乗り味が良い


さて、新しくなったアルテオン、コスメティックチェンジの他は新たなデジタルコックピットの導入で、最新の運転支援システムやインフォテイメントシステムが装備された。メカニズム的にはほとんど変わっていない。

前回まで最高出力は280psと表記されていたが、今回は200kw/272psと表記される。若干パワーダウンしたのか、それとも単純に表記の志方が違うのか定かではないが、いずれにしても大した差ではない。前回試乗した時は少しDSGの振る舞いに問題を感じたが、3年たったマイナーチェンジではその辺りが見事に解決されている印象で、発進に関する不満は皆無であった。


一言で言って、同じMQBと呼ばれるプラットフォームを用いているアルテオンと『パサート』だが、開発時期の関係からか(アルテオンの方が新しい)、乗り味が俄然こちらの方が良く、どっしり感や路面入力を吸収する感覚が、確実にパサートよりも良い。もっともこちらはDCCが標準装備というアドバンスがあるし、さらに言えば4MOTIONも全車共通である。つまり全車4WDだ。

ドライブモードを持っているという点ではどちらも同じなのだがDCC装備の場合、コンフォートというモードが追加され、エコ、ノーマル、スポーツ、カスタム(ここまではパサートも同じ)にコンフォートが付いた5種のモード切り替えを可能にする。ただし、コンフォートとノーマルをあれこれ試してみたが、その差は限りなく小さくまあ似たようなものであった。

20インチでもゴツゴツ感なし


装着タイヤはピレリ・Pゼロ245/35R20という巨大なタイヤだ。そんなタイヤを履く割にはとても快適だし、俗に言うゴツゴツ感も皆無。もっとも、2018年当時も全く同じタイヤを履いていたし、今や35扁平率などを履きこなすのは、クルマにとっても当たり前。タイヤの常識も今と昔では大違いになってきているということだろう。

272ps、350Nmという2リットルエンジンを搭載しているのだがパフォーマンス的には平均的というか、ドカンと来るパンチ力はない。同時に試乗したパサートには1.5リットルの新しいTSIが搭載されていて、そちらと比べて(あちらは150ps、250Nm)それほど大きな差があるようには感じなかった。もっとも重量差は200kgもあるから、それで相殺されたところは大きいかもしれない。

費用対効果は十分に高い


このところ相次いで投入しているVWの新しい通信モジュール付きのインフォテイメントシステムとデジタルコックピットプロ。それによって色々なことが出来るようになった点や、情報量が多くなった点はメリットである。

一方で、階層は深くなり、例えばエンジン始動後にナビを呼び出すにしても、普通なら始動後にはナビはディスプレイに表示されているのが当たり前のところが、どうしても最低1度は画面にタッチしないと出てこないとか、画面の拡大縮小はピンチイン、ピンチアウトでしかできず、余計なところにタッチする操作ミスが誘発されるなど、まだまだ改善の余地があるように感じられた。ガラケー時代の携帯電話ではないが、あれやこれや装備を満載すると使わない機能のために使い勝手が悪くなるというジレンマに陥っている印象がなくもない。

「エレガンス」というグレードは、アルテオンの最上級グレードで価格的にも車両本体価格が624万6000円と結構なプライスになる。ベース車両は567万9000円で、それでも4MOTIONだし通信モジュール付きのインフォテイメントやデジタルコックピットプロなどはすべて標準装備。さらにDCCも標準装備となるから、パサートとの価格差が限りなく小さくなる。

ということで、アルテオンの費用対効果は十分に高い印象を受ける。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《text:中村 孝仁》

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