アクセスランキング

【アウディ A3スポーツバック 新型試乗】あくまでもスムースで快適な1Lエンジン…島崎七生人

自動車試乗記

アウディ A3スポーツバック 新型(1st edition)全 14 枚写真をすべて見る

小気味よく見えるスタイルに進化した

手持ちのiPadでQRコードを読み取り新型『A3』のデジタルカタログを見て初めて知ったのだが、試乗車のボディ色(アトールブルーMという)は、表紙から載せられているカタログの訴求色。なるほど実車で見ると鮮やかではあるが深みのあるブルーで、新型によく似合う。

新型のボディサイズは先代に対して全長+20mm、全幅+30mm。ホイールベースは2635mmと先代と変わらず、これらのことで、ことボディサイズ感にかけては新旧はほぼほぼ同じ印象。


ところが新型では、6ライトのサイドウインドゥの構成は同じながら、よく見るとCピラーがこれまでより“前傾”したデザインでバックドアのウインドも傾斜も強められたことで、Cセグメントの2ボックスタイプのモデルの中でも小気味よく見えるスタイルに進化した、と思う。

ルーフが長くショートワゴンなの?と一瞬思わせられていたこれまでのモヤモヤが解消された気がする。その意味からルーフレールは非装着のほうが、よりスッキリと“らしく”見える。

現代的な質感とデザインを得たインテリア


インテリアも、従来は丸型のエアベントが並ぶ、よく言えばシンプルなデザインだったが、新型では現代的な同セグメントのクルマらしい質感とデザインを得た。

インパネ中央に並ぶ物理スイッチが、操作方法をやや連想させにくいデザインではあるが、遂にスイッチ式となったシフトレバーは、実際の操作感は適度な手応えがあることもあり、クルマと初対面でもまごつくことはない。インパネ全体はデザインが遊び過ぎない印象で、アウディ車にはこのくらいのサジ加減がちょうどいい。


試乗車は“導入記念仕様”的なクルマで、フロント左右席が電動パワーシート。アウディ車らしく操作中のモーターの作動音は静かで動きもなめらか。後席スペースも着座状態でゆとりが十分で、とくに頭上空間はアーチ状のルーフのセダンよりも広い。確かに座面から天井までの図面上の数値は、セダンが933mmなのに対しスポーツバックは955mmと22mmのアドバンテージがある。

トランクルームはセダンの425リットルに対し380リットルと差があるものの、後席を倒せば最大で1200リットルまで拡大するから使い勝手はいいはずだ。導入仕様の試乗車は3分割可倒式リヤシートが備わっていた。

あくまでもスムースで快適な1リットルエンジン


走りは自然体のスムースさが印象に残った。試乗車は通常モデルの「30 TFSI」で、同じ呼称は先代の途中から採用され、それは4気筒の1.4リットルターボだったが、新型では新たに3気筒の1リットル(999cc)ターボとなる。さらに48Vのベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)が組み合わせられ、7速Sトロニックでドライブさせる。

可変ジオメトリーターボの採用を始め、技術的にはじつはかなり濃いめの内容のパワートレインなのだが、実車はそうした凝ったシステムは裏方に徹して、あくまでもスムースで快適なパフォーマンスを発揮してくれる。セダン同様に加速時やエンジン再始動時のスムースさはもちろんだし、一般道でも頻繁にお目にかかるコースティング状態も、その前後のショックなどは皆無。そもそも3気筒由来の音や振動も終始気にならない。

試乗車は18インチタイヤ(ピレリP7)だったが、このハッチバックボディとの組み合わせでバランスはよく、山道を駆け抜けるとクルマとの一体感が味わえるハンドリング、フィードバックがしっかりとあるステアリングフィールで好感がもてた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《text:島崎七生人》

関連記事

  1. 【アウディ A3 新型】全方位で進化、1LモデルにはマイルドHV搭載…価格は310万円から

    ニュース

編集部ピックアップ

TOP