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春だ! カーオーディオ・プロショップに行こう! Part3「サウンドチューニングはプロにお任せ!」

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『フォーカル・FSP-8』の「クロスオーバー」の設定画面。全 3 枚写真をすべて見る

「純正オーディオの音に物足りなさを感じている」というのなら、カーオーディオ・プロショップの門を叩こう。そこに行けば、愛車のサウンドシステムのグレードアップを確実に果たせる。当特集では、その理由からプロショップの活用方法までを多角的に解説している。

高度な「チューニング機能」は、ユーザーには操作が難しい…。

今回は、カーオーディオ・プロショップに行けば「サウンドチューニング」を安心して任せられることについて説明していく。

なおカーオーディオでは、ハイエンドメインユニットやプロセッサーを導入すると、以下のような機能が使えるようになる。「クロスオーバー」、「イコライザー」、「タイムアライメント」、この3つが主要機能だ。で、これらはどれも、操作が相当に難しい。やり方を間違えれば例えばツイーターを破損させてしまう、なんてことも起こり得る。自分でも操作できるようになれば楽しみの幅が広がるのは確かだが、自分でやるにしても本命のセッティングはプロに任せて、その上で自分でも触ってみるというようにした方が無難だ。

では、それぞれがどのような機能で、なぜに操作が難しいのかを説明していこう。まずは「クロスオーバー」から。これはつまりは、スピーカーがマルチウェイタイプ(複数のスピーカーユニットを用いるシステム)だった場合に、各スピーカーユニットの“再生担当範囲”を設定するための機能だ。例えばフロントスピーカーがセパレート2ウェイのときに、音楽信号をツイーター用の高音とミッドウーファー用の中低音とに“帯域分割”する機能、というわけだ。

ちなみに、ホームオーディオ用のスピーカーもマルチウェイタイプである場合が多い。しかしその「クロスオーバー」の設定をユーザーの手によって変えられることはほとんどない。スピーカーの内部には音楽信号を帯域分割する装置である「パッシブクロスオーバーネットワーク」が備えられているのだが、その設定内容を変更できるようにはなっていないのだ。

『三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ』の「タイムアライメント」の設定画面。

スピーカーの取り付け状況により、ベストな「クロスオーバー」の値が変化する!?

なおカー用のスピーカーにも基本的に「パッシブクロスオーバーネットワーク」が付属されていて、それを使う場合には「クロスオーバー」の設定値の変更は基本的には行えない。

しかしカーオーディオでは音楽信号の帯域分割のさせ方を、任意に変えた方がスピーカーの性能を引き出しやすくなる。なぜなら「スピーカーの取り付け条件が都度異なるから」だ。ツイーターとミッドウーファーの取り付け位置は車種によって、そしてオーナーの好みによって変化し、そして各スピーカーの取り付けコンディションもケースバイケースとなる。

そうであると音楽信号の帯域分割のさせ方も、ベストな形が都度異なる。例えば、ツイーターとミッドウーファーの位置が大きく離れる場合には、帯域分割する境目付近の音が厚くなるような設定にした方が良かったりする。このような変化がさまざま起こる。なので「パッシブクロスオーバーネットワーク」は敢えて使わずにプロセッサーに搭載されている「クロスオーバー」が使われることとなるのだ。

しかし、どのような設定がベストなのかを探るのは簡単ではない。知識と経験と技術がないと、最適な「クロスオーバー値」を見つけ出し難い。

続いては「イコライザー」について説明しよう。まず「イコライザー」が必要となる理由は以下のとおりだ。車内は狭くそして形状も案外複雑だ。メーターフードがあったりセンターコンソールがあったりと突起物もいろいろとある。ゆえにスピーカーから放たれた音がさまざまな場所で反射する。

この反射音が実は、なかなかのくせ者だ。特に、平行面の間で音が行ったり来たりを繰り返す状況が発生すると周波数特性があっさり乱れる。その並行面間の距離と音波の長さがぴたりと合ってしまったり、または2倍や3倍といった整数倍、さらには1/2、1/3といった整数で割り切れる関係になると、その波長の音が増幅したり減衰したりするのだ。

でも「イコライザー」を駆使すれば、そのような周波数特性の乱れをある程度補正できるようになる。

『クラリオン・フルデジタルサウンド』の「イコライザー」の設定画面。

「サウンドチューニング機能」を駆使すれば、スピーカーの発音タイミングも操れる!

とはいえ、そもそも周波数特性がどのように乱れているのかを把握するのが難しい。そしてそれが分からなければ補正のしようもない。しかしプロは周波数特性がどのように乱れているのかを把握できる。高度な測定器を使ってそれを探ったり、または音楽を流して音色の乱れ方を感じ取りどの周波数帯に異常があるのかを察知できる。

そしてもう1つの機能である「タイムアライメント」が必要となる理由は、以下のとおりだ。車内では、リスニングポジションが左右のどちらかに片寄る。この状況は実を言うとステレオを楽しもうとするときの障害となる。というのも、ステレオ音源では演奏が左右のchに分けて録音されていて、それを左右のスピーカーで再生すると演奏を立体的に感じ取れるようになるのだが、この仕組みは左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取れていないと成り立たない。左右のスピーカーから発せられる音をバランス良く聴けなくなるからだ。

しかし「タイムアライメント」という機能を使えば、あたかもすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。近くにあるスピーカーほど発音タイミングを遅らせることで、各スピーカーから放たれる音がすべて同時に耳に届くような状態を作り出せるのだ。

なお「タイムアライメント」の操作は仮設定まではそれほど難しくはない。リスナーから各スピーカーまでの距離を正確に測ってその値を入力すればOKだ。しかしそこから微調整を掛けていくのが難しい。しかも「クロスオーバー」や「イコライザー」を変更した際にもズレが生じる。正確にアジャストさせるのはひと筋縄では行き難い。

しかし「カーオーディオ・プロショップ」なら、「タイムアライメント」設定の煮詰めも的確に行える。結果、ステレオイメージがリアルなサウンドに仕上げてくれる。ボーカルがセンターにすっくと立ち、その他の楽器があるべき位置に配置される生々しいサウンドステージを再現してくれるのだ。

今回は以上だ。次回も「カーオーディオ・プロショップ」のバリュー解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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