愛車のサウンドシステムのバージョンアップに興味を持っている方々に向けて、「カーオーディオの始め方」を解説している。前回からは“サブウーファー”の導入から入る楽しさを説いている。今回も2つのカーオーディオ・プロショップに取材し、同様のテーマで話を訊いた。
その2店舗とは、千葉県千葉市の“サウンドクオリティー”と岩手県一関市の“サウンドフリークス”だ。興味深い話がいろいろと訊けた。じっくりとお読みいただきたい。
サブウーファーを導入すると、フロントスピーカーの音も変わる!?
はじめに、千葉県千葉市の人気店、“サウンドクオリティー”の越野さんに訊いた話から紹介していく。
「初めてご来店される方の多くはスピーカー交換をご希望されますが、サブウーファーの導入から入る方もいらっしゃいます。それも始め方の1つとしてアリだと思います。
というのも、サブウーファーを導入するとフロントスピーカーでは再生できていなかった超低音が聴こえてくるので、聴こえ方がガラリと変わります。結果、得られる満足度も大きいです。
そして超低音がしっかり鳴るようになると、中高音の響き方も変わってきます。サウンドの土台が充実すると、それに倍音成分が上手く乗って中高音にも良い変化がもたらされます。フロントスピーカーは純正のままでも、それが再生するサウンドの質が上がります。純正スピーカーのポテンシャルを、一層引き出せるようになるんです。
また、走行中にはロードノイズやエンジン音、マフラー音で低音が聴こえにくくなりますが、サブウーファーを導入すると走行中でもしっかりと低音が聴き取れるようになります。このことも利点として大きいです」
サブウーファーの存在が目立ち過ぎないように鳴らすのがコツ!
「ただし、鳴らし方にはコツがあります。まず、サブウーファーの音量は上げ過ぎない方が良いと思います。上げ過ぎるとサブウーファーの音だけが目立ってしまい、フロントスピーカーの音をかき消してしまいます。そうではなく、サブウーファーの音にフロントスピーカーの音を上手く載せられると、全体の充実感が増すと思います。
あと、サブウーファーのクロスオーバーの数値を上げ過ぎるのも良くありません。そうすることでもサブウーファーの存在感が強くなり過ぎますから。なので例えば使用するのがパワードサブウーファーの場合、それに搭載されているクロスオーバーは、60Hzから80Hzくらいを目安に設定すると良いと思います。しかもその範囲の中でも低めに設定した方が、サウンドはまとまりやすいと思います。
なお選ぶべき製品ですが、手軽にサブウーファーの良さを楽しもうとされるのでしたら2、3万円クラスのパワードサブウーファーでも良いと思うのですが、後々のフロントスピーカーの交換までが視野に入る場合には、それなりのモデルを選ばれた方が良いと思います。
お薦めは、フォーカルの『Ibus 20』(税抜価格:6万円)です。当機ならフロントスピーカーに10万円を超えるモデルを選択されても、それとしっかりバランスします。
お近くでしたらぜひお気軽にご来店ください。さまざまなご提案ができると思います。お待ちしています」
サブウーファーから始めると、音が変わる楽しさを一層深く味わえる!?
続いては、岩手県一関市の実力店、“サウンドフリークス”の佐藤さんに訊いた話を紹介する。
「サブウーファーから入るのも、全然アリだと思います。低音の不足感を感じられていて今のサウンドを変えたいと思われたとき、まずはお試し的にリーズナブルなパワードサブウーファーを入れてみると、結構大きく聴こえ方が変わります。これを体験されると、カーオーディオへのご興味も一層高まると思います。
なお、もしもサブウーファーの導入から始めようと思われるのでしたら、ご使用のメインユニットに“サブウーファー出力”が備わっているかどうかをご確認いただきたいですね。そうであると、サブウーファーのサウンドのコントロールがしやすくなります。クロスオーバー機能が使えるようになるので、ドアスピーカーとサブウーファーとに役割分担をさせられるんです。
その機能を駆使すると、サブウーファーから放たれる超低音も目の前から聴こえてくるように調整できます。このようなチューニングができれば、楽しさが一層深まります。
で、問題となるのは“どのようなサブウーファーを選ぶか”なのですが。フロントスピーカーは当分純正のままで良いという場合には、リーズナブルなパワードサブウーファーで良いと思います。しかし将来的なスピーカー交換までが視野に入っている場合には、慎重に選ばれた方が良いかもしれません」
使用するフロントスピーカーによって、選ぶべきサブウーファーも変化!?
「なぜなら、フロントスピーカーのグレードが上がれば、それに組み合わせるべきサブウーファーの選択肢も増えてきます。小型・薄型のパワードタイプをシート下に積むという選択肢はもちろん、ボックスタイプのパワードサブウーファーをトランクに積むという手も有り得てきますし、ユニットサブウーファーを購入してボックスをワンオフすることまでを考えた方が良い場合も出てきます。
さらには、“それをどう鳴らすか“も慎重に考えたいですね。チューニングの仕方で鳴り方が変わってきますし、それ以前に“どこにどのように設置するか”でも得られるサウンドが変化します。
このようにサブウーファーは奥深く、そして楽しみ甲斐のあるユニットです。突き詰めていくことでさまざまな発見がありますし、得られるサウンドも都度変化します。まずはお試し的に導入してその片鱗を楽しまれて、そこからご興味が湧いたらさらに研究していくと、カーオーディオを存分に楽しめると思います。
サブウーファーの導入にご興味があればぜひお気軽にご来店ください。さまざまな楽しみ方をご提案できると思います。お待ちしています」
太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。
《text:太田祥三》