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達人直伝! 音質向上のためのワンポイント・テクニック! Part3「ケーブルで音の変化を楽しむ!」

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スピーカーケーブルの一例(M&Mデザイン)。全 3 枚写真をすべて見る

「音を進化させること」も、カーオーディオの楽しみどころの1つだ。とはいえ、スピーカーやパワーアンプを頻繁に買い替えるわけにはいかない…。でも、それ以外にできることがさまざまある。当特集では、それら“ワンポイント・テクニック”の1つ1つを紹介している。

今回は、“ケーブルを換える”ことで得られる面白さや注意事項等々をお伝えしていく。講師役を務めてくれたのは、有名店“AVカンサイ”の岩元さんだ。興味深い話がたくさん訊けた。じっくりとお読みいただきたい。

ケーブルで音が変わるのは事実。しかし注意すべき点もある!

最初に、“ケーブルを換える”という楽しみ方がアリなのか否かを教えてもらった。

「アリです。ケーブルを換えることでサウンドの風合いを変えることができますし、音を良くすることも可能です。しかし、注意しなくてはならない点も多々あります。

なお当店ではお客様に、ケーブルは余ったご予算の範囲内で手が届くもので良いですよ、とお伝えしています。まずはスピーカーやプロセッサーにご予算を注がれた方が良いからです。ケーブルにコストを掛けるのは最後で良いと思っています。また、チューニングを煮詰める作業も重要です。良いユニットを用意してそれを正しくチューニングする。ケーブルにこだわるよりも先に、サウンドの土台を築き上げるべきだと考えています。

それに、そもそも良い音が出ていないところでケーブルを換えても、変化は現れにくいです。例えばクルマで言うと、スピーカーがタイヤでパワーアンプがエンジンだとするとケーブルはドライブシャフトにあたりますが、もしもタイヤがつるつるに磨り減っていたら、ハイパワーなエンジンを積んでいてもそして高品質なドライブシャフトを使っていても意味がありません。

しかしシステムの完成度が上がってきたら、ケーブルにもそれなりのもを使うべきだとは思っています。高性能なタイヤを履いてエンジンもハイパワーなのに、ドライブシャフトがチープであったらねじ切れてしまいますから。とはいえ、超高級品である必要はないと思います。一定以上の水準のモデルであれば、使っていて問題はないはずです」

ラインケーブルの一例(オーディオテクニカ)。

タイプや素材が異なるモデルに交換すると、聴こえ方が変わる!

続いては、ケーブル選びのコツを教えてもらった。

「まず、ケーブルを換えても必ずしも音が良くなるわけではないことも、頭に入れておく必要があると思います。やり方を間違えると無駄にご予算を使うことになってしまいますから。

例えば同一メーカーの製品で、1mあたり500円のスピーカーケーブルから1mあたり1000円のものに換えたとしても、音の違いはほとんど現れません。なぜなら、ケーブルのタイプも素材も大きく変わらないからです。

しかしタイプや素材が異なる製品に変更すれば、聴こえ方は変わります。例えばスピーカーケーブルの場合、導体がひねってあるものと真っ直ぐなものとではサウンドの傾向が異なります。ひねってあるものはよりトルクフルなサウンドが得られやすくなりますし、真っ直ぐなものはストレートなサウンドになる傾向が強いです。

素材では、例えばシルバーは高域の情報量が特に多く伸びもあります。対してOFC(無酸素銅)はどちらかといえばマイルドでニュートラルな傾向です。また、製造の難易度の問題で現在は少数派ですが、PCOCC(単結晶状高純度無酸素銅)は硬質な音色傾向です。そしてさまざまな素材が複合的に使われているものでは、それぞれの良いとこどりができています。

このようなタイプや素材による特徴を把握して、今使っているものとは異なる特長を持つケーブルに交換すると、音の変化を楽しめます。

ただし、ご愛用のシステムの現状のサウンドを正しく把握できていることが前提になると思います。例えば、高音が強調気味のサウンドになっているシステムにシルバーが使われたケーブルを投入すると、そこがさらに増長されてしまいます。今のサウンドの足りないところを補う、もしくは良いところを伸ばすという観点を持つことが肝要だと思います」

パワーケーブルの一例(チェルノフケーブル)。

ハイエンドシステムでは、あともう少しの音質アップをケーブル交換で実現可能!

さらには、高級ケーブルの選び方も教えてもらった。

「高級ケーブルの選定は、慎重に行うべきだと思います。なぜなら、ケーブルはどちらかというと費用対効果が高くはないからです。さらには、システムのポテンシャルが高くなっていると、そもそもそこから劇的に音質アップさせることは困難です。なのである程度の上級ケーブルをお使いの場合は、高級ケーブルに交換しても伸びシロは大きくはありません。

とはいえ、こだわらなくて良いというわけではありません。ハイエンドシステムにおいては、あともう少しの進化をいかにして成し遂げるかというところに醍醐味があります。その観点では、ケーブル交換は有効策の1つと成り得ます。最後のひと伸びを、ケーブルを換えることで実現できることもあるでしょう。

ただしコストは掛かりますから、選定には熟慮を重ねられた方が良いと思います。

ところで、高級なケーブルになればなるほどサウンドはピュアになっていきます。なので、繊細なサウンドを楽しみたいという場合には特に、高級ケーブルは力を発揮してくれます。逆に、パンチ力や厚みが魅力の音楽を好まれる場合には、高級ケーブルである必要性は低くなると思います。ピュアであることよりも、充実感やトルク感を出せるケーブルの方が向いているからです。

あと、スピーカーとの相性も考えるべきです。高域の伸びが特長であるスピーカーにはそこのところを伸ばせるケーブルが向いていますし、全体のバランスや音の厚みで聴かせるスピーカーには、力強くそしてバランス良く聴かせられるケーブルが合っていると思います。

ご来店いただけたましたら、さらに詳しくご説明させていただきます。お待ちしています」

《text:太田祥三》

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