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【VW T-Roc 新型試乗】「We Connect」体験、時代が求めるクルマだからこそ…中村孝仁

自動車試乗記

VW T-Roc TDI スタイル デザインパッケージ全 20 枚写真をすべて見る

VW『T-Roc』は今年日本に上陸したモデル。だから、つい最近乗ったじゃない…というツッコミを頂きそうだが、新たなサービスが展開され、そちらの体験がてら再試乗である。

もっとも前回レポートしたのは最上級の「Rライン」。今回はスタイルデザインパッケージということで、タイヤサイズが異なる点とDCCが装備されない点が異なっている。といってもまずは最新のVWインフォテイメントシステム、「We Connect」の話から始めよう。

大きくグレードアップしたナビゲーション


正直言って以前のVWナビゲーションはとても使いづらかった。そんな使いづらさを今回のナビは一気に改善している点と、同時にインフォテイメントシステムとしても大きくグレードアップした印象である。

まず、最も手っ取り早いナビの入力はスマホにWe Connectのアプリをインストールして、そこに行き先を入力、それを車載ナビに飛ばす(オンライン)方法のように思えた。今回はあくまでも実際に使っての操作ではなく、止まっている車内でのシミュレーションではあったものの、操作性が良いだけでなく、その設定までの時間もだいぶ短く感じられる。この点が今回感じた一番の改善点。

もちろん他にもいっぱいあって、アプリを使えばスマホから車両ドアのロック、アンロックなども行えるし、さらには近隣のガソリンスタンドの位置やコインパーキングの位置情報も教えてくれるのだが、ここまでならまあ普通。実はそこからさらにそれぞれのスタンドの軽油の値段(T-Rocはディーゼルなので)や、コインパーキングの時間当たりの値段なども教えてくれるという優れモノ。


まあ、コインパーキングは場所によっては争奪戦になるから値段の安い順に埋まっちゃうよね…なんて思っていたら、何と空き数まで教えてくれる。これだと相当に便利だ。

というわけで、使い勝手まで含めて再度検証する必要はあるのだが、とりあえず、輸入ブランドのインフォテイメントシステムとしてはかなりのレベルまで到達している。ただし、広報のY氏曰く、音声入力の認知性はイマイチだと正直に教えてくれた。メルセデスやBMWではそのあたりを売りにしているが、VWでは方向性が異なっているようである。

時代が求めているクルマだからこそ


今回試乗した「TDI スタイル デザインパッケージ」というモデルはRラインとは異なり、タイヤサイズは18インチ。Rライン試乗時に装着されていたのが19インチのBSポテンザだったのだが、18インチはファルケンのフラッグシップタイヤ、アゼニスFK453と呼ばれるものだった。

あくまでも個人的な印象であるとお断りするが、路面から入力される音振のイメージはポテンザに試乗した時よりもやや劣る印象だった。もっとも、正直に告白すると、T-Rocの遮音レベルは決して高くなく、それ故にエンジン透過音も大きいし、路面からのロードノイズ入力も決して小さくはない。すべてタイヤに起因するものではないと思うが、全体的にドタバタ感は否めず、実は同時にもうこれが最後と思って試乗した『ゴルフ7』の乗り味の方が俄然優れモノだった。

それだけにゴルフの良さが改めて光ってしまったので、T-Rocについていえば、もう少し遮音性とサスペンションのチューニングを改めて頂きたいと思う。それに時代が求めているクルマは間違いなくゴルフよりもT-Rocであって、ニーズもこちらの方が高いと思える。

というわけで、費用対効果も含めT-Rocのブラッシュアップをお願いしたいものだ。因みにベーシックのT-Rocでも価格は400万円を超える。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《text:中村 孝仁》

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