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今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part4「ケーブル編」その1「ケーブルを換えると音が変わるのは本当?」

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ラインケーブルの一例(モンスターカーオーディオ)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオにおける“分かりにくさ”の解消を目指して展開している当特集。今回からは「ケーブル」をテーマにお贈りする。まずは「ケーブルを換えると音が変わること」について考えていく。さて、それは本当なのか…。

ケーブルは価格差が大きい。それが音の違いを生む!?

ところでホーム用カー用問わず、オーディオ用のケーブルにはグレード違いがさまざまある。そして、価格の差も相当にある。例えば、カーオーディオ用のラインケーブル(メインユニットとパワーアンプ間を繋ぐケーブル)の場合、1mで1500円くらいのモデルもあれば同じく1mで20万円を超えるモデルもある。その差はざっと130倍。とてつもない価格差だ。

しかしながら、この価格差はダテではない。価格に見合う価値がなければ、登場はしてもすぐにすたれてなくなるはずだが、なくなるどころか新たな高級品も登場してくるし、実際それらは愛好家に選ばれたりもする。高いものにはそれなりの理由があり、良い結果ももたらしてくれる。

というわけで、超高級なケーブルにはそれならではの価値があり、そしてそこに至るまで、ベーシックなモデルから1グレード上がるごとに着実に音が良くなっていく。価格差が小さい場合には音の違いも大きくはなく好みも分かれたりはするけれど、価格が上がるにつれ性能が上がっていくことは確かだ。

さて、性能が上がる要因は何なのだろうか。ケーブルは用途に応じてさまざまなタイプがありものによってコストが掛かる部分も細かく変わってはくるが、違いを生む大きな要因となるのはズバリ、“導体の質”だ。

ちなみにほとんどのケーブルの導体は銅だ。他の素材が少量混ぜられることもあるが、銅が大半を占めている。そしてこの質が、グレードが上がるほど高められていく。

ラインケーブルの一例(チェルノフケーブル)。

ラインケーブルの一例(チェルノフケーブル)。

高級ケーブルでは、純度が徹底的に高められた銅が使われている。

では、銅の質がどのように異なっていくのかを説明していこう。

なお、オーディオ用のケーブルに使われる銅は、「OCF(無酸素銅)」である場合が多い。そしてその純度は、リーズナブルなモデルで99.99%程度だ。これでも相当に高純度なのだが、超高級品ともなると99.99999%の純度を誇るものが使われていたりする。

ちなみに、この99.99999%の純度を誇る無酸素銅は「7N」とも呼ばれている。この「N」は、英語のナイン=9のことを指していて、その前の数字はその「9」がいくつあるのかを表している。99.99999%は「9」が7個並んでいる。ゆえに「7N」と呼ばれているというわけだ。

そしてこれほどの純度を得るためには、素材の生産に相当なコストが掛かる。もちろん、導体以外の部分にもさまざまコストが掛かってくるが、価格を決定づけるのに銅の質が与える影響はかなり大きい。

で、その純度の差は、音にも確実に効いてくる。その理由は以下のとおりだ。オーディオでは基本的に、音源に収められている情報をすべて出し切れるかどうかが問題となる。しかし、100%を出し切ることがなかなかに難しい。例えば、ソースユニットで信号を読み取るときにわずかな誤差や劣化が生じたり、パワーアンプで信号を増幅するときにわずかな歪みが生じたりする。そういったわずかなロスを限りなく減らすために、各製品にはコストが掛けられる。そうして高級化が進んでいく。

ケーブルにおいてもそれは同じだ。純度にこだわることで伝送中でのロスが減っていく。そして情報の欠落がなくなることで、音像の立体感が上がり1音1音のリアリティも向上する、というわけなのだ。

ラインケーブルの一例(モンスターカーオーディオ)。

ラインケーブルの一例(モンスターカーオーディオ)。

機会を見つけて、ケーブルの聴き比べを体験すベシ!

なお、ケーブルのグレードによって音が変わることは、体験すればすんなり納得できるはずだ。なので興味あれば、ケーブルの比較試聴をぜひ1度行ってみてほしい。カーオーディオ・プロショップでは、ケーブルの比較試聴ができるようにしている場合も少なくないので、まずはお近くの店舗に問い合わせてみよう。聴けば分かる。

ちなみに音の良し悪しは、オーディオ経験が少ない人でも感じ取れる。例えば料理は、美味しいものを口にすれば理屈抜きに感動する。良い音を耳にしたときにもそれと似た感動が味わえる。理屈抜きにただただ耳に心地良く、そしてさらには楽曲の感動力も上がってくる。再現性が高まると、癒し効果が上がりそして心を揺さぶる力が強くなるのだ。

ケーブルの比較試聴をするときにも、心地良さが増したり感動力が増したように感じられたら、それは音が良いということに他ならない。そしてケーブルの比較試聴で、そのような違いが理解できると、カーオーディオに対する興味もさらに深まっていくはずだ。

なお、いざシステムを組む段になったときには、ケーブル選びにおいて背伸びをし過ぎる必要はない。予算の許す範囲の中で、より良いものをチョイスしよう。または、最初は敢えて廉価なケーブルにしておいて、あとから1ランクずつ上げていっても面白い。

今回は以上だ。次回もケーブルに関する解説を続行する。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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