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今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part3「パワーアンプ編」その3「ch数違いがあるのはなぜ?」

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外部パワーアンプの一例(モレル)。全 2 枚写真をすべて見る

とかく“分かりにくい”と思われがちなカーオーディオ。当特集では、そこのところを打破すべく、特に初心者にとって理解しづらいと思われるポイントについて1つ1つ解説している。現在は「パワーアンプ」にまつわる“分かりにくさ”の解消を目指して展開している。

カーオーディオ用の「外部パワーアンプ」には「ch数違い」がさまざまある!?

今回は「パワーアンプ」の「ch数」について考えていく。

ところで、ステレオ音源を聴くためのシステムであるのなら、「パワーアンプ」のchは2つあれば良いはずだ。なぜなら音源には右chと左chの音声しか入っていないからだ。

しかしカーオーディオ用の「外部パワーアンプ」には「ch数違い」がさざまざまある。ざっと挙げると、「1chモデル」「2chモデル」「4chモデル」、さらには「5ch」以上のモデルもいろいろとある(多くて「8ch」くらいまで)。

なお、もっとも使われることが多いのはズバリ、「4chモデル」だ。実際のところ他を大きく引き離しているという。

その理由はシンプルだ。「使い勝手が良いから」に他ならない。「4chパワーアンプ」はさまざまな使い方ができる。そのユーティリティさが支持されているというわけなのだ。具体的には主に以下のような使われ方がされている。1・フロント+リア、2・フロント+サブウーファー、3・フロントマルチ、この3パターンだ。

もっともスタンダードな使われ方は1の「フロント+リア」だ。純正スピーカーは普通、フロントにもリアにも付いている。なので、それらがすべて市販品に交換されることも多く、であるならそれらをすべて外部パワーアンプで鳴らしたくなる。そんなときには「4chパワーアンプ」が力を発揮する。

また、カーオーディオではサブウーファーが使われることも多い。ドアに取り付けられるスピーカーにはサイズ的な制約があり、低音再生力の限界点が案外に低いからだ。で、サブウーファーを導入しようとするときにも「4chパワーアンプ」は重宝する。これ1台でフロントスピーカーとサブウーファーの両方を鳴らせるからだ(機種によってはサブウーファーを鳴らせない場合もある)。

そしてさらには、フロントスピーカーがセパレート2ウェイ(ツイーターとミッドウーファーが別体になっているもの)である場合、「4chパワーアンプ」が1台あれば、その1chずつを使ってスピーカーユニットの1つ1つを鳴らす「マルチアンプシステム」も組める。

「2chパワーアンプ」には、音にこだわったモデルが多い!?

続いては「2chパワーアンプ」について説明していこう。「2chパワーアンプ」が選ばれるケースは、以下の2パターンのうちのいずれかであることが多い。1つは「合理的にシステムを完成させたいとき」で、もう1つは「できるだけ高性能なモデルが欲しいとき」、この2つだ。

例えば、今必要なch数が「2」であるのなら、わざわざ「4chパワーアンプ」を手にしなくても良い。「2chパワーアンプ」にしておけばよりコンパクトなモデルが見つかるかもしれないし(インストールがしやすくなる)、予算も少なくてすむ。仮に予算が5万円だったとして、5万円の「2chパワーアンプ」と性能的に同レベルの「4chパワーアンプ」を得ようとすると単純に10万円の予算が必要となる。というわけなので「2chパワーアンプ」を選べば、設置スペース的にもコスト的にも合理的にシステムメイクできる。

そして、「2chパワーアンプ」の中には音質性能にこだわったモデルも多くある。例えば、同一メーカーの同一シリーズに「2chパワーアンプ」と「4chパワーアンプ」の両方がラインナップされている場合、その2機種間での価格がほぼ同一であるパターンは結構多い。例えば両方が20万円だったとしたら、前者は1chあたりの価格は10万円で後者は1chあたりの価格は5万円だ。価格が倍も高くなれば性能もそれに応じて高くなる。

ただし、「2chパワーアンプの方が高性能」と一律に言えるわけではない。「4chパワーアンプ」の中にも高性能なモデルはたくさんある。要は「1chあたりにどれだけコストが掛かっているか」が問題となる。しかしながら特に高級なモデルにおいては、「2chパワーアンプ」には音へのこだわりが強いモデルが多い傾向があることも、また確かだ。

「1chパワーアンプ」は、サブウーファー用または高音質タイプ!?

次いでは「1chパワーアンプ」について説明していく。なお「1chパワーアンプ」には2タイプが存在している。1つは「サブウーファーを鳴らすことに特化したモデル」で、もう1つは「マルチアンプシステムを組むことを想定した高音質モデル」、この2つだ。

まずは前者について解説していこう。サブウーファーは磁気回路も振動板も大きいので、しっかり鳴らし切ろうと思えばハイパワーな「パワーアンプ」を使いたくなる。しかもステレオでは鳴らさずにモノラルでドライブされることも多い。であるならば最初からモノラル仕様で作ればハイパワーなモデルに仕上げやすくなる。なので、サブウーファー用のパワーアンプには「1ch」仕様である場合が多いのだ。

そして高音質を追求する際にも「1chパワーアンプ」は強みを発揮する。特に「マルチアンプシステム」を組もうとする場合には、「パワーアンプ」が「1chタイプ」であった方がch間での信号の干渉が減る。筐体がchごとで別々になるからだ。これが音に効いてくる。

そして最後、「5ch以上のパワーアンプ」についても説明しておこう。このようなモデルは「多chパワーアンプ」とひとくくりにして呼ばれているが、これらは大掛かりなシステムを効率良く構築したいときにチョイスされる。例えば、フロント2ウェイスピーカーをマルチドライブさせてしかもサブウーファーも導入したいと思ったときには、「5chパワーアンプ」もしくは「6chパワーアンプ」があれば、1台ですべてのスピーカーユニットを鳴らしきれる。

今回はここまでとさせていただく。次回もカーオーディオにおいての素朴な疑問を解消していただくための解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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