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今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part3「パワーアンプ編」その2「価格差が生まれるのはなぜ?」

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外部パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ)。全 2 枚写真をすべて見る

カーオーディオに興味を持ち調べてみると、専門用語が頻出する。ゆえに「分かりにくい」と思われがちだ。当特集は、その「分かりにくさ」の解消を目指して展開している。今回は、前回に引き続いて「パワーアンプ」について解説していく。

「パワーアンプ」は、コストを掛ければ掛けるほど性能が向上する!

前回の記事では、メインユニットに内蔵されている「パワーアンプ」には、スペース的にもコスト的にも制約があるがゆえに多くを望めないと説明した。しかし市販の「外部パワーアンプ」ではその制約が取り払われるので、音質性能を追求した高級機も作られているとも記述した。

今回はそれを踏まえ、なぜに高級機が存在するのかについて深掘りしていく。

結論から入りたい。「パワーアンプ」は、パーツにコストを掛ければ掛けるほど高性能なモデルを作れる。そして各パーツはピンからキリまでさまざまある。ゆえに、豪華なパーツをふんだんに使うと超高級モデルが完成されるのだ。

というのも、「パワーアンプ」は基本的な仕組みが案外にシンプルだ。もちろん各社ごとでさまざまな最新技術が盛り込まれてはいるのだが、主要な仕組みは各モデルごとで大きく違ってはいない。そしてシンプルな工業製品ほどえてして、物量を投じれば投じるほどに品質は上がっていく。掛けたコストの差が、ダイレクトに性能に効いてくるのだ。なので「パワーアンプ」では大きな価格差が生じることとなっている。

ちなみに、スピーカーでも同様なことが言える。スピーカーは発明されてから100年ほどが経過しているが、基本的な構造はこの100年間で大きく変わってはいない。至ってシンプルな工業製品だ。そしてスピーカーも、各所にコストを掛ければ掛けるほど性能が上がっていく。結果、1万円台の製品もあれば100万円を超えるモデルも存在する、というわけなのだ。

「パワーアンプ」にはタイプ違いが存在している!?

ところで、「パワーアンプ」は各製品ごとで基本的な仕組みは大きく違わないと説明したが、そうは言いつつもタイプ違いが存在している。この機会に、そのことについても説明しておこうと思う。少々難しい話にもなるのだが、この解説をカーオーディオへの興味を深める1つのきっかけにしていただけたら幸いだ。

さて、さまざまな分類の仕方が有り得ているが、ここでは“動作方式”の違いについて説明していく。カーオーディオでは以下の3タイプがある。「A級」、「AB級」、「D級」、この3つだ。

なお、AとかDという表記は序列を表すものではなく、単なる名称だと思ってほしい。そしてそれぞれの特徴は以下のとおりだ。

「A級」は、効率はあまり良くないのだが音質性能においてはアドバンテージを発揮する。それに対して実は「B級アンプ」も存在していて、「B級」はいわば「A級」とは真逆の特徴を持っている。効率はすこぶる良いのだが音質性能的にはビハインドがある。ゆえに現代カーオーディオで「B級」モデルが使われることはほぼない。

そして「AB級」は、「A級」と「B級」の中間的な特徴を有している。つまりそれぞれの良いとこ取りをしたタイプだと思ってほしい。で、現代カーオーディオではこの「AB級」のモデルが使われることが多い。ほどほどに効率も良く、従って消費電力もそれほど多くなく、それでいて音質性能も良好だ。

なお、「AB級」のモデルにも高性能なモデルは多々ある。「A級」が絶対的に優れているというわけではないことも頭に入れておこう。

システムをコンパクトに仕上げたいと思ったら「D級アンプ」が狙い目!

続いては、もう1つの「D級」について解説していく。「D級」はそれ以外と相違点が多い。つまり独立した存在となっている。そして「D級」モデルは、「AB級」のモデル以上に効率が良く消費電力も少ない。なので小型化も効く。結果、相当にコンパクトなモデルも多々出ている。もしもシステムが大型化するのを嫌うのであれば、「D級」モデルにターゲットを絞るというのも1つの手だ。

ちなみに、かつては「D級」というと効率は良いものの音質性能的にはビハインドがあると言われていた。ゆえにフルレンジのモデルは少なく、より多くのパワーを必要とするサブウーファー用の「パワーアンプ」で「D級」の“動作方式”が採用されることが多かった。

しかし昨今、「D級」の技術は著しく進化した。なので性能的なビハインドはないと思って良い。こうして今や高性能な「D級」モデルが増え、ラインナップも一層の拡充が果たされている。

ところで、ホームオーデイオの「パワーアンプ」の中には「真空管アンプ」というものも存在している。これは、増幅素子に半導体ではなく「真空管」が使われたものであり、そのことにより音質的にも独特な特長を発揮する。なので多くの愛好家が「真空管アンプ」を愛用している。

しかし、カーオーディオでは「真空管アンプ」はあまり見かけない。その理由はいろいろと考えられるが、「真空管」は傾向としてはもろもろがデリケートだ。ゆえに、振動があったり温度変化の大きいクルマにおいては使いづらい、ということでもあるだろう。

さて次回も、初心者にとって分かりにくいと思われることの解説を続行する。乞うご期待♪

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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