DIATONEスピーカーのフラッグシップ『DS-SA1000』。その“凄さ”とは…。 名手に訊く。 | Push on! Mycar-life

DIATONEスピーカーのフラッグシップ『DS-SA1000』。その“凄さ”とは…。 名手に訊く。

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『DIATONE・DS-SA1000』が搭載されたアンティフォン・デモカー。
『DIATONE・DS-SA1000』が搭載されたアンティフォン・デモカー。全 6 枚拡大写真

三菱電機の車載用スピーカーの旗艦モデル、『DIATONE・DS-SA1000』。その魅力を改めて浮き彫りにするべく、同機の“使い手”として知られる石川県金沢市の実力店“アンティフォン”の松居さんに話を訊いた。当機が名機たるゆえんとは…。

高校生のときのDIATONEとの出会いが原体験

“アンティフォン”では、長きにわたってDIATONEスピーカーをデモカーに装着してきた。そして全国レベルのカーオーディオコンテストにそのデモカーでたびたび参戦し、コンスタントに好成績を収めてきた。記憶に新しいところでは、昨年の夏に開催された『第5回ハイエンドカーオーディオコンテスト』のディーラーデモカー部門 ディーラーデモカークラスにて、優勝を果たしている。

さてまずは松居さんに、DIATONEスピーカーを使い続けている理由から教えてもらった。

「信頼を置いているからです。信頼することとなった発端は高校生の頃にまで遡ります。当時僕は吹奏楽部に所属していてその吹奏楽部が地元のNHKに取り上げられたことがあり、そのときにスタジオを訪れてそこで初めてDIATONEスピーカーの音を体験したんです。そして衝撃を受けました。あまりに音が正確で。それが原体験となっています。

そして2006年に、DIATONEが車載用スピーカー『DS-SA3』を発売して復活を果たし翌年には最上位機種『DS-SA1』を登場させると聞き、その時点でデモカーに使おうと決めました。コンセプトに興味を抱き可能性を感じたからです。そして実際に使用し、DIATONEに対する信頼感は揺るぎないものとなりました。

それからまた10年が経過し、2016年に新たなフラッグシップスピーカー『DS-SA1000』が登場することが発表されるわけですが、そのニュースは『DS-SA1』の登場を知ったとき以上のインパクトがありました。

なぜなら、とてもチャレンジングなモデルだと思えたからです。『DS-SA1』が従来からの高級DIATONEスピーカーの復刻版だったのに対して、『DS-SA1000』は新たなコンセプトをまとっていたんです」

画期的な新素材“NCV”をチューニングして生まれた“NCV-R”に、大いなる可能性を見言い出す

どのような部分が新たなチャレンジだったのだろうか。

「DIATONEは、2011年に発売した車載用スピーカー『DS-G50』で“NCV(カップ積層型カーボンナノチューブ)”を初めて採用し、以後それが使われた車載用スピーカーを次々に発表しました。僕はそれらをデモカーには装着しませんでしたが、お客様のクルマに何機も取り付けて、その素性の確かさに感心していたんです。

そして『DS-SA1000』ではトゥイーターの振動板は従来どおり“B4Cピュアボロン”なのですが、ミッドウーファーの振動板にはその“NCV”を特別にチューニングした“NCV-R”が使われると聞いて、これは、と思ったんです。

“B4Cピュアボロン”は、三菱電機が考えるところのスピーカーの振動板としてもっとも理想的な素材であるわけですが、“NCV-R”は“B4Cピュアボロン”の特性に限りなく近づけられていると言うんです。“伝搬速度”と“固有音の影響度”が“B4Cピュアボロン”に匹敵すると。さらには“NCV-R”が使われているミッドウーファーは、ピストンモーション領域が大幅に拡大されているとも説明されていました。

であるならば、トゥイーターとミッドウーファーの位相特性がスムーズに繋がるのではないかと思いました。そして従来からのDIATONEの、“音源どおりの音を出す”というコンセプトが高い水準で達成されているに違いないと確信しました。つまり、科学的に性能が突き詰められたスピーカーだと感じたんです。そこがチャレンジングであると思った最大のポイントです」

ステレオイメージが抜群に良い。並外れて正確!

実際に使ってみて、どうだったのだろうか。

「期待どおりでした。『DS-SA1』から『DS-SA1000』へと変わり、ガラリとアプローチも変えられたわけなのですが、良さが変わることなくむしろ大きく進化していることを実感できました。例えるなら、ポルシェが空冷から水冷へと変わり、しかし良さは変わらずさらに進化を果たしたように(笑)。

ポイントはやはり“NCV-R”にあると思えました。“B4Cピュアボロン”に迫るような素性を携えられているからでしょう、トゥイーターの音とミッドウーファーの音の位相特性が合いやすく、トゥイーター帯域とミッドウーファー帯域とが至ってスムーズに繋がるんです。しかもロスが少ない。磁気回路で生まれたエネルギーがスポイルされることなく音へと変わっていくんです。

結果、ステレオイメージが抜群に良い。並外れて正確です。僕らはオーディオの音を聴くとき、いわば録音に使われたマイクの内側から演奏者を見つめることになるわけですが、その目の前にいる演奏者がどのように歌っているのか、演奏しているのかが手に取るように分かるんです。

ところで、スピーカーの音にはラグジュアリーであることが求められがちです。つまり、味わいが深く魅力的なサウンドであると評価が高くなる傾向があります。しかし実は僕は、そういう音は目指していないんですよ。そうではなく“純度”にこだわりたいと思っています。例えば、砂糖が入れられた水は確かに美味しいけれど、ピュアではない。それより真水であることの方が尊いと僕は思っていて。『DS-SA1000』はその意味において究極的なスピーカーだと思います。録音されたままの音を再現してくれるからです」

『DS-SA1000』ならフロント3ウェイにする必要がない。ここも大きな利点。

ところで、ハイエンドカーオーディオ愛好家の多くはフロントスピーカーを3ウェイ構成にしているが、アンティフォンの『DS-SA1000』を搭載したデモカーはフロントスピーカーは2ウェイ構成だ。その点についても訊いてみた。

「通常のカースピーカーは大抵、トゥイーターがスムーズに再生できる範囲の下限とミッドウーファーがスムーズに再生できる範囲の上限とがぎりぎりの場合が多いです。なのでそこにスコーカーを足せば中域の再生コンディションが上がりますから、3ウェイは1つの選択肢に成り得ます。

しかし『DS-SA1000』は、トゥイーターがスムーズに再生できる範囲の下限とミッドウーファーがスムーズに再生できる範囲の上限とか重なり合っていてそこにマージンを持てています。なので、フロント3ウェイにする必要がありません。この点も当機のストロングポイントです」

最後にまとめてもらった。

「『DS-SA1000』は、リアルに音楽を再現できるスピーカーです。スピーカーとしての1つの理想形であると言っていいのではないでしょうか。

機会があればぜひ1度、当店のデモカーの音をお聴きいただきたいですね。ひょっとしたら音が鳴った瞬間には“味気ない”と思われるかもしれません。しかし聴き込むと、演奏そのものをダイレクトに感じ取れます。そこに感動していただけるものと思っています。

なお『DS-SA1000』は、扱いが難しいスピーカーです。取り付けにおいてもチューニングにおいても。とても敏感なので、少しの変化で音が大きく変わるんです。例えばイコライザーの操作では、普通のスピーカーなら2dB上げて得られる音の変化が『DS-SA1000』では1dB上げただけで得られます。でも上手くコントロールできれば、何物にも代えがたいサウンドを奏でます。手にして後悔することはないはずです」

いかがだったろうか。おいそれと手を出せる代物でないことも事実だが、所有して得られる満足度が高いこともまた確かなようだ。『DS-SA1000』だからこそのピュアなサウンドに興味があれば、まずはお近くの「車載用DIATONEスピーカー SAシリーズが試聴できるお店のご案内」(車載用DIATONEのHPに掲載)にて、そのサウンドを体感すベシ。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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