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【ランドローバー ディフェンダー 新型試乗】偉大な古典からの“現代語訳版”…島崎七生人

自動車試乗記

ランドローバー ディフェンダー110 SE全 16 枚写真をすべて見る

さしずめ偉大な古典的ルーツたちの“現代語訳版”といったところか。たとえば『レンジローバー』は初代登場から50年/4世代にわたり連綿と進化を遂げてきたが、『ディフェンダー』は、1948年の『ランドローバー』がモーフィングで一気に姿を変えた……そんな風にも思える。

“大きなクルマ”を実感するサイズ感

試乗車は「110 SE」と呼ぶ4ドアボディで全長×全幅×全高は4945×1995×1970mm、ホイールベースは3020mm。あのメルセデスベンツ『Gクラス』の「G550」と較べると、130mm長く、65mm幅広く、5mm低い(ホイールベースは130mm長い)。

が、先代までのボディの平たいパネル感を今に蘇らせたデザインは、サイドウインドはルーフに向かって僅かに絞られていたり、曲率のかかったドア断面など使用しつつも、モダンなうえ、とにかくシンプルだから、とにかく大柄に感じる。110は車高の設定を変化させられるエアサスペンション付きだが、これを利用せずにクルマに乗り込もうとすると、SUVの試乗がかなり日常的になった最近でも、エイヤッ!とよじ登る感覚が新鮮に思えるほど。


路上で2tトラックと並べばアチラのドライバーと目線が変わらぬ高さに感じるし、その意味でも“大きなクルマ”を実感する。ただし最小回転半径はカタログ上は6.1mだが、これはホイールベースのせい(ショート版は5.3mとグッと短い)で、面取りされた短いフロントオーバーハングのおかげで、取り回しはあまり苦にならない。

『レンジローバー』とは対照的なインテリア


インテリアは過剰な加飾がいっさいない、クリーンなムード。上級感で納得させられる『レンジローバー』とは対照的だ。とはいえ見落とす訳にはいかないのは造りの上質さ、丁寧さで、インパネは手前の横一文字のグリップ部はもちろん、アッパーフェイシアやドアキャップまで、ほとんどの部分が、ただの樹脂ではなくソフトな素材で作られている。

またセンターコンソールやインパネのポケット部はもちろん、グローブボックスの底、頭上のサングラスポケットの内側全面など、ことごとくラバーが敷き詰められているのにも感心する。


後席は座面が高めで背もたれも起きていて、十分なスペースで窓も大きい。ラゲッジスペースも使い勝手はよさそうで、右ヒンジの横開きでドアを開けると、地面から87cm(以下すべてレポーターのおおよその実測値)ほどの高さに床面があり、ラゲッジスペースの床面は幅114cm、奥行き90cm、天井までの高さは93cmほど。後席を立たむと奥行きは155cmに伸びる。床には(型で作ったのではなく)素材をカットして形を合わせたと思われるラバーシートが敷かれている。

ひたすらスムースで悠然とした走り


走りはオンロードではひたすらスムースで悠然としたもの。ボディは2.3tを超えるが、その車重をしっかりと支え不快、不要な揺れを消し自然なフラットライドを保つエアサスペンションの仕事ぶりには感心するし、高速走行時の安定感もまったく不安なし。

試乗車は2リットルのガソリンターボ搭載車だったが、動力性能も不足はなく、高速走行時には余裕を感じるほど。また街中や、発進時の歩くようなスピードからアクセルで自在なコントロールが可能なのも嬉しいところ。

ショートボディの「90」や、3リットルの6気筒ディーゼル(マイルドハイブリッド)の走りも機会をとらえてぜひ試してみたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《text:島崎七生人》

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