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今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part1「スピーカー編」その4「価格差」が大きいのはなぜ?

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市販カー用スピーカーの一例(モレル・マキシモ ウルトラ 602)。全 1 枚写真をすべて見る

クルマの中で“良い音”を聴くことに興味を持ちつつも「最初の一歩が踏み出せない」という方も少なくないようだ。で、そうである主たる理由は、「分かりにくいから」だという声も度々聞かれる。そういった印象を拭い去る一助になればと、当特集をお贈りしている。

スピーカーは、掛けたコストに比例して性能が向上する!?

今回は、スピーカーの“価格差”について解説していく。

カー用の市販スピーカーは、もっとも手軽なモデルでは1万円を切るものもあるが、その一方で100万円を優に超えるモデルもいくつかある。さて、ここまでの価格差が生じるその理由は何なのだろうか。

答は、「コストを掛ければ掛けるほど性能を上げられるから」だ。スピーカーの性能は、掛けたコストに概ね比例する。ゆえに高性能なモデルを作り上げようとすれば自然と価格も上がっていき、価格差が大きく開いていくというわけなのだ。

もう少し詳しく説明しよう。まず、スピーカーは約100年前に発明されてから、基本的な構造をほとんど変えていない。その意味では極めてローテクな工業製品だ。

しかし、高級モデルになればなるほど細部にはさまざまなハイテク技術が注ぎ込まれ、高級素材がおごられる。例えば、多額の開発費を掛けて生み出された振動板素材が用いられていたり、希少な素材を特殊な製法でパーツ化したり、超精密な技術を用いて磁気回路が作り上げられていたりというように。

つまり構造がシンプルだからこそ、細かな部分の品質を上げていくとそのことが音の良さにダイレクトに効いてくる。そして手を掛けるべきポイントも多々ある。なのでより良い結果を得ようとするときには、個々のポイントにたっぷり技術とコストが注ぎ込まれることとなる。ゆえに超高額なモデルも存在することとなるのだ。

低価格帯のモデルでは特に、価格差が性能差となって現れやすい…。

ちなみにいうと、低価格帯のモデルほど価格差による性能差が大きく開くこととなる。例えば、100万円のスピーカーと110万円のスピーカーとの価格差の比率は10%ほどしかないが、1万5000円のモデルと3万円のモデルとでは金額の差は1万5000円でありながらも比率的には倍も違う。掛けられているコストが倍も違えば、音質性能の差も推して知るべしだ。

なので、廉価な製品の中から好みのモデルを選ぼうとする場合には、ちょっと背伸びをしてみることが製品選びのコツとなる。

ただ、スピーカー選びにおいての最終的な着目点は“好みの音”かどうかだ。製品ごとに特長があるので、それが好きかどうかで判断したい。価格ですべてが決まるわけではない。とはいえ、グレードが異なると性能のレベルが変わってくることもまた事実だ。掛けられているコストの違いはダテではない。このことは頭に入れておこう。

さて、価格差がどのように違いとなって現れるのかも説明しておこう。まず価格帯が低いモデルの場合には、根本的な部分が異なってくる傾向が強い。解像度やS/N(信号とノイズの割合)といった基本的なポテンシャルに差が現れがちとなる。対して高額なモデルにおいては基本性能はどれも高いので、違いは“音楽性”に現れてきたりする。聴き手を感動させる能力に差が出てくるというわけだ。単に良い悪いということではなくて、再現力の方向性が異なってきたりもするのだ。

コストを掛けて性能を上げると、スピーカーは大型化する!?

ところで、高額なモデルになればなるほどボディも大型化する傾向が強い。磁気回路は大きくなりフレームも頑丈に作られるので、厚みが増してくる場合が多い。

結果、ドアパネル内に収まりきらないケースも増えてくる。つまり高額なスピーカーは、取り付け性のことはあまり考慮されていない。大掛かりな改造が必要になろうがそこのところはおかまいなしに、ただただスピーカーユニットとしての性能だけが追い求められて作られる。

なので、もしも将来的に高級なスピーカーを使ってみたいと思うなら、そのときには取り付け費用も相応に掛かってくるということも頭に入れておくべきだ。高級なモデルを使うなら、そのスピーカーユニットの性能を引き出せなければもったいない。覚えておこう。

というわけで、このようにハイエンドカーオーディオの世界に足を踏み入れるともろもろと費用がかさんでくる。とはいえ必ずしもそのレベルまで足を踏み入れなくてもカーオーディオは楽しめる。リーズナブルなモデルであっても純正スピーカーと比べて高性能であることは間違いなく、低予算でも十分に良い音が楽しめる。

ただ、先述したように、ちょっと背伸びをしてみると得られる満足度がグッと高まることもまた確かだ。そこのところは頭のすみに置いておきつつ、まずは気軽に始めよう。「案ずるより産むが易し」だ。ぜひともトライを♪

《text:太田祥三》

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