新型スバル『レヴォーグ』のデザインで大きく変わったのは、エクステリアよりもむしろインテリアだと思う人は多いだろう。インパネ中央に11.6インチという大型の縦長インフォメーションディスプレイが備わっているからである。
スマホのように扱えることを目指したインフォメーションディスプレイ
テスラやボルボを思わせるこのディスプレイ、実は北米で先行発売した新型『レガシィ』に搭載しているものと基本的に同じだ。しかしデザインを担当した中村真一氏(商品企画本部 デザイン部 主査)によると、当初はレヴォーグへの採用予定はなかったという。
「レガシィに比べると全幅が狭いので、デザイナーにとってはリスクの大きい仕事でした。スバルのインテリアはこれまで、水平基調で圧迫感を出さない方向でデザインしてきました。そのフィロソフィを守れるかどうか不安だったのです。室内設計を工夫して前席間を20mm拡大し(全幅拡大は15mm)、ギリギリで収めることができました。ディスプレイが主張しすぎないような工夫も込めました」。
たとえばセンターコンソールを旧型より高くしたのは、囲まれ感をアップする意味もあるが、ディスプレイのボリュームを小さく見せるテクニックでもあるという。角度についても、見やすさと操作のしやすさを両立するために、ミリ単位で調整していったとのことだ。
縦長にした理由としては、ナビの進行方向を広く表示してくれることを挙げていた。両脇の操作系はあえてダイヤル式とすることで、瞬間的な操作を安全に行えるよう心がけた。独自の安全哲学が伝わってくるエピソードだ。
運転中の視認性を考慮したフル液晶メーター
「もっと多彩な表示も可能ですし、先進的な演出もできますが、ユーザーが戸惑うので3種類に絞り込み、たとえば地図を出すモードでも速度計などの情報が瞬時に読み取れることに配慮しました。静的な視認性と動的な視認性は違いますから」。
ホイールベースの延長によって得られた後席のゆとり
《text:森口将之》