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ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part15 プロセッサー関連編 lV

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タイムアライメントの設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。全 1 枚写真をすべて見る

難解な専門用語が多々登場するカーオーディオ。言葉が難しいがゆえにこれを遠ざけているという方も少なくないようだ。そんな状況を打破すべく、当特集を展開している。第15回目となる今回は、前回に引き続いて「プロセッサー」に関連した用語をクローズアップする。

「クロスオーバー」を設定するその行為にも呼び名が付いている!?

前回は「クロスオーバー」機能に関する用語を解説したが、他にもまだピックアップすべきワードがあるので、今回はまずそれについて説明していく。

ところで「クロスオーバー」とは、音楽信号の“帯域分割”を行うための機能だ。例えばツイーターには高音再生だけに専念させたいわけなので、送り込む音楽信号の中域以下をカットする必要性が生じる。「クロスオーバー」ではこの作業が行われる。

で、不要な信号をカットするその行為にも名称が付けられている。例えばツイーターに送り込む音楽信号の下側をカットする行為は、「ハイパス」と呼ばれている。つまり、「ハイ(高音)をパスする(通す)作業」というわけだ。

なおこれについては、別の言い方がされることもある。「ハイパス」は別名「ローカット」とも呼ばれている。ところで、「ハイパス」よりも「ローカット」の方がしっくりくるという方も多いに違いない。「ローカット」の方が表現としてはストレートだ。

しかしながら実際は、「ハイパス」の方が使われる頻度が高い。例えば、信号の低域をカットする回路のことは「ハイパスフィルター」と呼ばれている。「ローカットフィルター」と呼ばれることは少ない。カットされるものよりも残されるものの方が重要だからということなのかもしれないが、理由はともかく、低音をカットすることは「ハイパス」と呼ばれ、高音をカットすることは「ローパス」と呼ばれている。覚えておこう。

ちなみに、ミッドウーファーに送られる音楽信号は、高音がカットされ、かつ超低音もカットされることもある(中低音だけが残される)。このように上側も下側もカットされることは「バンドパス」と呼ばれている。

クルマの中では「ステレオ」の原理が成り立ちにくい!?

さて、これまで「プロセッサー」に搭載されている機能として「イコライザー」と「クロスオーバー」について解説してきたが、「プロセッサー」にはもう1つ別の重要な機能が搭載されている。その機能とは、「タイムアライメント」だ。

当機能の役割をひと言でいうなら以下のとおりだ。「各スピーカーから発せられる音の到達タイミングを揃える機能」、である。

当機能が必要である理由を解説していこう。クルマでは、装着されているスピーカーがセパレート2ウェイであった場合、左右のツイーターと左右のミッドウーファーがそれぞれ別々の位置に設定されることとなる。結果、各スピーカーからリスナーまでの距離がそれぞれで異なる。この状況は実は、「ステレオ」を楽しもうとするときに弊害となる。

「ステレオ」とは、音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右2本のスピーカーで再生することで“その場にいるかのように音楽を再現できる”というものだ。人間の耳は左右に付いているがゆえに音を立体的に感じ取れるのだが、「ステレオ」はその原理をいわば逆手に取っているというわけなのだ。

で、その仕組みを成り立たせるためには、左右のスピーカーから等距離の場所に我が身を置く必要がある。そうすることで初めて「ステレオ」が成立する。

しかしクルマの中では、すべてのスピーカーから等距離の場所に位置することは基本的に不可能だ。そのような状況を物理的に作り出そうとするのなら、ハンドルとシートをセンターに設定するかない。

「タイムアライメント」を活用すると、近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせられる!

しかし「タイムアライメント」を活用すれば、シートをセンターに移動するような大改造をしなくても、それと同じような状況を擬似的に作り出せる。

そのようにできる仕組みを解説しよう。「タイムアライメント」では、各スピーカーの発音タイミングを遅らせることが可能となる。近くにあるスピーカーほど発音タイミングを遅らせて、結果、すべてのスピーカーから発せられる音を同時にリスナーの耳に届かせられるのだ。

なお、「タイムアライメント」はこのように高度なチューニング機能であるのだが、設定方法は案外にシンプルだ。リスニングポジションを取り、その姿勢のままで左右の耳から各スピーカーまでの距離を測り(鼻先が起点にされることもある)、その数字を入力すれば取り敢えずの設定を完了できる。

しかしながら、厳密な設定を行おうとする場合は、それだけでは調整作業を完了できない。“カーオーディオ・プロショップ”ではそこからさらに微調整を施し、当機能の効果を最大限上げられるように煮詰めていく。なぜなら、距離以外の要因(例えば「クロスオーバー」を掛ける等の電気的な要因)によっても信号の到達タイミングのズレが生じたりもするからだ。プロはそういった要因によるズレも緻密に補正していく。

「タイムアライメント」は、なかなかに奥深い機能なのである。

今回はここまでとさせていただく。次回も専門用語の解説を続行する。乞うご期待。

《text:太田祥三》

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