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【メルセデスベンツ Vクラス 新型試乗】しっかりした“運転している感”は「Gクラス」に近い…九島辰也

自動車試乗記

メルセデスベンツ V220(写真は欧州仕様)全 10 枚写真をすべて見る

1998年の日本導入から人気なのがこの『Vクラス』。ホテルの送迎用、プロカメラマンのカメラカーなどに使われてきた。もちろん、多趣味な人のプライベートカーとしても。

現行型は2015年にフルモデルチェンジしたモデルで、日本仕様は7名乗車の3列シートや左右の電動スライドドア、リアエンターテインメントシステムが好評を得ている。とはいえ、ファミリーユースを狙った日本製ミニバンとは違った質実剛健的な“味”の持ち主だ。

次世代型ならインテリアも最新になるだろう


今回試乗したのはその改良版で、昨年10月に発表された。そしてこの春デリバリーを開始したタイミングで、広報車両が用意され試乗となった。

新型の変更点はフロント周りのデザイン、パワートレーンの見直し、それとドライブアシスト機能や安全装備の進化などだ。要するにバージョンアップ的な要素となる。

例えばフロントマスクはまさにそうで、ダイヤモンドグリルやヘッドライトの造形など、イマドキのメルセデスらしさが強調される。プレミアムブランドがラインナップするミニバンといった色を濃くしたようだ。


ただ、インテリアはまだそこまではいかない。液晶モニターはセンターにガジェットを取り付けたようなもので、メルセデス的にはひと世代前となる。まぁ、そこも次の世代ではメーターから真横にズドンとモニターが伸びるシステムにスイッチされるであろうが。

今回ステアリングを握ったのはV220dアバンギャルド ロングである。エンジンは2.2リットル直4クリーンディーゼルターボで、最高出力は163psを発揮する。トランスミッションは7速ATだ。2リットル直4ガソリンターボを積んだV260アバンギャルド ロングも設定されるが、そちらは限定車となる。

このサイズでも安心して高速道路を走れる


では走らせた印象だが、これが想像以上にいい。というか個人的に好みだった。メルセデスらしい高級感があって…という感じではなく、少々荒々しさが残る。ディーゼルエンジンの音も風切り音もそれなりにキャビンに入ってくるし、路面によってはそれなりに振動も感じる。

もちろん、だからといってボディが柔(やわ)だったり、ステアリング操作に不安があるわけではない。ボディ剛性はしっかりしているし、ステアリング剛性も高く操作は正確だしハンドリングも楽しい。全長5170×全高1930mmというディメンションでこれだけ安心して高速道路を飛ばせるのはさすがだ。というか、そもそも商用車の乗用車版としてつくっていることを考えれば、ベースとなる商用車がどれだけクオリティが高いのかと思ってしまう。

好みなのは、“運転している感”が強いところ。ステアリングをはじめとする操作系からのレスポンスがしっかり感じられる。言うなれば『Gクラス』に近い感覚だ。長年ジープやGクラスなどを愛用してきた身にとって、Vクラスは好みの走り味である。

気になるVクラスのEV『EQV』の存在


この他の注目ポイントは2列目のシートヒーターやシートベンチレーター、オットマン、リラクゼーション機能などだ。そこは今回試せなかったが、VIP用に対応しているのは明らか。また、グレードにもよるが、歩行者検知機能付きアクティブブレーキアシストなどもしっかり装備されるのは嬉しい。

ところで、聞くところによるとこのVクラスをベースにした電気自動車『EQV』が開発中らしい。こんな世界状況で不透明だが、スケジュール的には今年後半に市販化されるとか。今回の走り味は置いておいて、そんなモデルも当然気になる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《text:九島辰也》

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