アクセスランキング

カーオーディオ製品の“取り付け”にまつわる疑問に答えます! Part1「スピーカー・インストール」においてすべきこととは?

カーオーディオカーオーディオ特集記事

スピーカーの取り付け例。スピーカーが固定されている黒色のパーツが「インナーバッフル」だ(製作ショップ:サウンドクオリティー<千葉県>)。全 1 枚写真をすべて見る

ホームオーディオでは製品が家に届いたら、置いて、配線を行えば音が出る。しかしカーオーディオではそうはいかない。「取り付け」という工程が必要だ。ゆえにシステム構築を行おうとする際には、「取り付け」にも予算を割く必要性が生じる。

そこのところがよく分からないがために、カーオーディオを遠ざけているドライバーも少なくないようだ。そういった現状を打破すべく、当特集をスタートさせる。ユニットを取り付けるにおいてはどのようなことが必要となるのかを明らかにすることで、カーオーディオを始めようと思ったときの不安材料を払拭してもらおう試みる。まず当回では、スピーカーを取り付ける際にどのようなことが必要となるのかを、じっくりと説明していく。

スピーカーを取り付けるためには「インナーバッフル」が必要!

まず今回は、ドアに取り付けるスピーカー(ミッドウーファー)を装着するときのことを考察していく。

さて、ドアにスピーカーを取り付けるときには、すべきことがざっくり3つある。1つは「インナーバッフルを用意すること」、2つ目が「デッドニングの実行」、そして3つ目が「配線作業」だ。最初に、「インナーバッフルを取り付けること」について解説していく。

ところでこの「インナーバッフル」とは何なのかと言うと…。これはつまりは、スピーカーを取り付けるためのスペーサーだ。スペーサーが必要となる理由は4つある。1つ目の理由は「スピーカーを鉄板に直接付けるべきではないから」、2つ目の理由は「ネジの“受け”が必要だから」、3つ目は「スピーカーの足場を固めたいから」、そして4つ目が「スピーカーを立ち上げる必要があるから」だ。

それぞれについて補足していこう。まず「鉄板に直接取り付けるべきではない」ことについて。もしもスピーカーをドア内部の鉄板に直接取り付けてしまうと、スピーカーの振動板が動くときに発生する振動が鉄板にもろに伝わってしまう。そうすると鉄板が共振し音を濁らせる。しかし「インナーバッフル」を間に挟めば、振動が伝わりにくくなる。結果、音が良くなる。

続いて「ネジの“受け”が必要となる」ことについては…。スピーカーにはそれぞれ取り付け用のネジ穴が設定されているのだが、純正スピーカーが取り付けられていたネジ穴とそれが合致する可能性は低い。しかし「インナーバッフル」をスピーカーと鉄板との間に挟み込めば、スピーカーのネジ穴がどこにあろうとも、「インナーバッフル」がネジを受けられる。

「インナーバッフル」は市販品を使ってもOK! しかし音のことを考えるならワンオフすべき!

「スピーカーの足場を固める」ことも重要だ。スピーカーをしっかり固定できないと、スピーカーはパワーをロスしてしまう。しかし、確実な固定ができていれば、力をロスすることなく振動版を動かせる。結果、再現すべき情報をフルに車内に放出できる。

そして、「スピーカーを立ち上げる」こともとても大事だ。ドア内部には窓ガラスが降りてくる。で、例えばドアの鉄板と窓ガラスまでのクリアランスが50mmしかなかったとすると、50mm以上の厚みのあるスピーカーは取り付けられない。しかし仮に15mm厚の「インナーバッフル」を用いれば、窓カラスまでのクリアランスが計65mmとなる。65mmあれば、取り付け可能となるスピーカーの数も増えてくる。

というわけで、「インナーバッフル」にはいろいろな役割がある。なのでスピーカーを交換しようと思った際には、これへの予算も計上すべきだ。

なお「インナーバッフル」は、市販もされている。車体メーカーごとに用意されているので、愛車に適合するものを選べばOKだ。そして市販の「インナーバッフル」は案外にリーズナブルなので、取り付け費用を抑えたいと思ったときには、これを用いればコストを縮小できる。

しかし、音のことを考えるのであれば、「インナーバッフル」はワンオフしたい。ワンオフすれば、取り付ける車種ごとで、そして使用するスピーカーごとでベストな「インナーバッフル」を用意できる。例えば、「市販インナーバッフル」を使った場合、スピーカーの取り付け面のフレームがそれよりも1mm大きかったとする。しかし「インナーバッフル」をワンオフすれば、スピーカーのフレームを100%受け止められる。そうできれば、スピーカーをより強固に固定できる。

また、ワンオフすれば厚みも最適化できる。スピーカーが内張りパネル内に収まる範囲の中でスピーカーをできる限り立ち上げられると、音的にメリットが得られる。スピーカーの奥側のクリアランスが稼げて、内張りパネル内に音が回り込む量を少なくできる。

入念な「デッドニング」は後から行っても良い。後から行えば、音が良くなる感動を改めて味わえる!

なお廉価なスピーカーの中には、取り付け費用を抑えるために取り付け用のスペーサーが同梱されている場合もある。しかし、もしもそれが簡易的なタイプだったら、それを使わずに何らかの「インナーバッフル」を用意しよう。ただし、車種専用スピーカーの中にはしっかりとした「インナーバッフル」が同梱されている場合もある。そうであればそれを使えばOKだ。

続いて、「デッドニング」について解説していく。「デッドニング」とは、つまりはクルマのドア内部の音響的なコンディションを上げるための作業だ。

クルマのドアは、スピーカーとしては設計されていない。なので音響的なコンディションを上げていく必要がある。それを目指す作業が「デッドニング」だ。

ゆえに「デッドニング」も、スピーカー交換をしようと思ったときには必要となる作業だと考え、これを実行するための予算も計上したい。ただ、どれくらい手を掛けるかは予算に応じて考えれば良い。取り付け費用を抑えたいと思うなら、取り敢えずは限定的な作業内容に留め、そして後から改めて作業を追加するのもアリだ。後から作業を追加すると、「デッドニング」の効果を改めて実感できる。

そして、スピーカーを交換するのであれば、スーピーカーケーブルの交換まで視野に入れたい。これについてはさらなる解説が必要なので、次回以降に改めて詳しく解説していく。

今回はここまでとさせていただく。続編にも乞うご期待!

《text:太田祥三》

編集部ピックアップ

TOP