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『ザ・サウンドチューニング』 第1章・基礎編 その4「リスニングポジションが片寄ることの弊害とは?」

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「サウンドチューニング機能」を活用すると、スピーカーの発音タイミングもコントロールできるようになる。全 1 枚写真をすべて見る

カーオーディオの音を良くする手段はさまざまあるが、「サウンドチューニング」もそのうちの1つだ。当コーナーでは、これについての理解を深めていただこうと、その成り立ちから操作方法までを解説しようと試みている。まずは、これが必要である理由から考察している。

これまでは、「サウンドチューニング」が必要となる理由を2つ解説した。1つは「スピーカーの取り付け場所が都度異なるので、それに即した鳴らし方を探る必要があるから」であり、もう1つは「車室内が狭いがゆえに周波数特性の乱れが起こり得るから」だと説明した。そして、「サウンドチューニング」が必要となる理由はもう1つある。それは、「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄るから」だ。

さて、このことがどのような弊害を生むのだろうか。それを理解していただくために、まずは“ステレオ”の仕組みをおさらいしておきたい。

“ステレオ”の仕組みとは、以下のとおりだ。人間は、音を左右の耳でキャッチする。そうすることで音の出所がわかったり、音を立体的に感じ取れたりするわけなのだが、“ステレオ”はその理屈が応用されている。音楽を左右の2本のマイクで録音して、それを左右の2本のスピーカーで再生する。そうすることで、その演奏をその場所で、左右の耳で聴いているかのように感じ取れるのだ(実際は、2本のマイクで録音したかのように加工して音源化されている場合が多い)。

そして、この仕組みを成り立たせるためには、1つの決まりごとが存在している。それは、「左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取る」というものだ。そうすることで、左右のスピーカーから放たれる音が同時に耳に届く。そうでなければ“ステレオ”の仕組みが良好に成立しないのだ。

しかしクルマの中では、左右のスピーカーから等距離の場所で音楽を聴けない。

ところが、「サウンドチューニング」機能を駆使すると、これへの対処も可能となる。スピーカーの発音タイミングをコントロールできる機能が存在していて、この機能を活用すれば各スピーカーから放たれる音の到達タイミングを揃えられる。結果、“ステレオ”感をしっかりと感じ取れるようになる。目の前にサウンドステージが出現し、音楽を立体的にイメージできる、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回からはもう1歩踏み込み、チューニング機能の中身をより具体的に解説していく。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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