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スーパーハイエンドパワーアンプ『D'AMORE ENGINEERING・A1500シリーズ』が満を持して登場! その実力を詳細解説!! Part2

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D'AMORE ENGINEERING・A1500.2全 6 枚写真をすべて見る

USA発のスーパーハイエンドブランド“D'AMORE ENGINEERING(ダモーレエンジニアリング)”。同社から満を持して2020年の1月中旬より受注生産品として発売される超ド級パワーアンプ『A1500シリーズ』の、テスト取材を実行した。

その模様をお伝えする記事の“Part2”をお届けする。

リアリティと濃厚さと洗練性を引き出した要因は…。


前回の記事では、ラインナップする2台のプロフィールとスペックを紹介しながら、まずは4chモデル『A1500.4』(税抜価格:93万円)のファーストインプレッションをお伝えした。

今回は、その続報からリポートしていく。前回の記事の中で書いたように『A1500.4』の音からは、高いリアリティを感じ、かつ、濃厚さと洗練性の両立を強く印象付けられたのだが、テストトラックを聴き進めていくうちに、なぜにそのように聴こえたのかその理由が分かってきた。

『A1500.4』のサウンドのリアリティの高さ、濃密さ、洗練性は、つまるところ「S/Nの高さ」によって引き出されている。そしてそのレベルがすこぶる高い。

例えば、ボーカルとピアノとのデュオ演奏を聴いているときにそれを思い知れた。ピアノとボーカルそれらがともにブレイクした刹那、完全なる“無”を感じ取れたのだ。

超高級なオーディオユニットの音を聴いているとき、音の質に唸らされるのと同時に“静けさ”に驚かされることがあるが、『A1500.4』のテスト時に、そんなシーンが多出した。

そのような瞬間においては、楽器やボーカルの音が真空の中を漂う、そんな雰囲気を醸し出す。空気がなかったら音が伝わらないのでそう感じるのもおかしな話なのだが、「音以外には何もない」、そんな印象を強く抱かせるのだ。

ゆえに生々しく、そして味わいが深く、しかし余分なものは何もないのでとことんすっきりとしている。このパワーアンプが並みではないことを、聴けば聴くほど思い知らされた。

D'AMORE ENGINEERING・A1500.4

(写真)D’AMORE ENGINEERING・A1500.4

“ダモーレエンジニアリング”は、歴史的名機『T15kW』の設計者により設立。


続いては2chモデル『A1500.2』(税抜価格:90万円)のインプレッション・リポートをお伝えしていこうと思うのだが、その前に、“ダモーレエンジニアリング”についておさらいしておきたい。『A1500.2』のプロトタイプがお披露目されたことを伝える2016年の記事の中でも詳しくリポートしたのだが、それから時間も経過しているので、ここに来て同社の名前を初めて耳にしたという方も少なくないはずだ。そのような方に向けて、同社のルーツを紹介しよう。

“ダモーレエンジニアリング”は、2011年に設立されている。創業者はアンソニー・ダモーレ氏(通称:トニー氏)だ。なおこのトニー氏は、カーオーディオ史に燦然と輝く名パワーアンプ、“ロックフォード・フォズゲート”の『T15kW』の開発エンジニアでもある。

古くからのカーオーディオファンならば、その名前に記憶があるはずだ。これは2006年に登場したモデルで、価格は税別420万円。そして出力はなんと1万5000W。名前の“T”はシリーズ名を、そして“15kW”の方は出力の数値を表しているというわけだ。

で、当機には革新的な技術が搭載されていた。1つが“HT(ハイブリッド・テクノロジー)”、そしてもう1つが“大容量ナノテクノロジー・コンデンサー”だ。特に後者の傑出ぶりは際立っていた。当技術では、一般的な電解コンデンサーの5500%以上の蓄電が可能で、ゆえに『T15kW』は絶大なパワーハンドリングを誇るに至れたのだ。

当機を通常使用しての試聴をした記憶があるが、その音からは異次元の「S/Nの高さ」を感じ取れた。そんな歴史的な名機を生み出した張本人によって、“ダモーレエンジニアリング”は設立されている。

かくして『A1500シリーズ』にも、『T15kW』に注ぎ込まれた技術と思想とが注入されている。突然に誕生したわけではない。ベースがあって生み出されたモデルというわけなのだ。

D'AMORE ENGINEERING・A1500.2D'AMORE ENGINEERING・A1500.2D'AMORE ENGINEERING・A1500.2

(写真)D’AMORE ENGINEERING・A1500.2

ダイナミックで、静かで、質感も至って良好。そして“感動力”も凄まじい…。


ところで、“ダモーレエンジニアリング”によって『A1500シリーズ』が開発されることとなった直接のきっかけは、同社製品の日本およびアジアでのディストリビューターを務めている“イース・コーポレーション”の尾前社長によってもたらされている。尾前社長は、トニー氏との旧交を温めるべく氏の自宅を訪れた際に、ホーム用パワーアンプの試作機と出会う。実を言うとそれは、トニー氏が趣味で制作したものだったのだが、その音に感銘を受けた尾前社長は強くその製品化を熱望。こうして『A1500シリーズ』の開発はスタートしたのだ。

さて、そこから長い開発期間を経て遂に完成を見た『A1500シリーズ』の、もう1つの完成モデル『A1500.2』の音について記していこう。

インパクトは『A1500.4』以上だった。テストトラックが鳴り始めたその瞬間から、ただただ息を呑まされるのみだった。

特に印象深かったのは、“余裕があること”。サウンドには凄味があり、実にダイナミック。どこまでも緻密でかつ充実感がみなぎっている。芯があり、分厚く、密度感が高い。しかしパワーアンプはその音を、至って涼しげな顔をして紡ぎ出し続ける。

結果、「S/Nの高さ」も一層顕著だ。頑張り過ぎる必要がないので、音以外の信号が生み出されることもない。1音1音の実在感も高まり、静寂感もさらに増している。

その上で質感も実に良好だ。耳当たりの心地良さも紛れもなく最上級だ。また、尖り過ぎていないあたりにも好感が持てた。精度が極められるとえてして先鋭的になり過ぎる場合もあるが、『A1500.2』ではそうはならない。あくまでも原音をナチュラルに“そのまま”表現しきって見せている。

そして、感動力が凄まじい。楽曲の世界に強く引き込み、聴き手の感情を激しく揺さぶってくる。文句の付けようはまるでない。傑作と呼ぶに相応しい価値あるパワーアンプであることを確信できた。

このアンプは、とにかく凄い。もしも当シリーズの音を耳にする機会と巡り会えたら、その凄さをぜひ、自身の耳で確認してほしい。この音を聴かずして終わってはもったいない。チャンスを逃すことのなきように。

テスト風景(@イース・コーポレーション・試聴室)。

(写真)テスト風景(@イース・コーポレーション・試聴室)。

《text:太田祥三》

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