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“CDTオーディオ”から登場した新作パワーアンプを緊急テスト! その実力と魅力を徹底リポート!

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CDTオーディオ・ACD-4090全 6 枚写真をすべて見る

Hi-Fiカースピーカーメーカーとして知られているアメリカンブランド“CDTオーディオ”。同社から、新たなパワーアンプが登場する。それはどのような特長を有し、どんなサウンドを奏でるのか。それらを知るために、早速のテストを実行した。

スピーカーを豊富にラインナップする個性派“CDTオーディオ”から、久々にパワーアンプが登場!


“CDTオーディオ”は個性的なカーオーディオブランドだ。アメリカンブランドでありながらも、製品のデザインとサウンドからは欧州的な香りも漂う。力強さとエレガントさが絶妙にブレンドされた独特の音世界を楽しめるのだ。

そのようなテイストを醸し出せる理由は、会社のルーツに隠されている。というのもCEOのKenneth Persson氏は、スウェーデン生まれで、キャリアも母国でスタートさせている。氏がアメリカ合衆国に移り住んだのは1987年。そうしてさらに技術力を高め、現在の“CDTオーディオ”の礎を築いた。北欧と北米の両方の文化の中で、同社のサウンドは育まれてきた。

製品ラインナップにも独自性がある。スピーカーはハイエンドモデルからエントリー機まで幅広く取り揃えられているのだが、コンポーネントキットも用意しつつも、単品での品揃えが至って豊富だ。結果ユーザーは、自分だけのオリジナルなマルチウェイスピーカーシステムを構築できる。セレクトの妙が楽しめるのだ。

なお同社はかねてから、パワーアンプもリリースしていた。スピーカー専業ブランドではないのだ。しかしここ数年は新作が登場していなかった。そこに今回久々に、パワーアンプのニューモデルが投入されることと相成った。その名は『ACDシリーズ』だ。

小型でありながらもハイパワー。機能も充実し使い勝手も良好!


シリーズは2モデルで構成されている。まずは各機の主要スペックから紹介しよう。CDTオーディオ・ACD-4090

(写真)CDTオーディオ・ACD-4090

☆ACD-4090(税抜価格:8万6000円)
●仕様:Class-D 4ch(4/3/2ch)パワーアンプ
●定格出力:90W×4(4Ω)125W×4(2Ω)250W×2(4Ωブリッジ) ●周波数特性:7Hz~33kHz(-3dB) ●S/N比:82dB ●クロスオーバー: CH1-2 ローパス 50Hz~250Hz(-12dB/oct)CH3-4 ローパス 56Hz~3.2kHz ●ベースブースト CH1-2(0dB or +12dB@45Hz) ●サイズ(幅×奥行×高さ):238×157×56mm ●2ch/4ch入力切替スイッチ装備
CDTオーディオ・ACD-1501

(写真)CDTオーディオ・ACD-1501

☆ACD-1501(税抜価格:6万5000円)
●仕様:Class-D 1ch パワーアンプ
●定格出力:150W×1(4Ω)300W×1(2Ω)600W×1(1Ω) ●S/N比:92dB ●クロスオーバー:ローパス 50Hz~150Hz(-12dB/oct) ●サブソニックフィルター:10Hz~50Hz(-12dB/oct) ●ベースブースト:0dB~+12dB@45Hz ●フェイズコントロール:0°~180° ●サイズ(幅×奥行×高さ):238×157×56mm ●パススルーRCA出力端子装備 ●ベースリモートコントローラー付属
ともに、動作方式は“Class-D”だ。ゆえに小型化が達成されつつも、出力的には十二分なスペックが確保されている。サイズは2機種とも同一で、最長の辺で23.8cm。この大きさならば多くの車種でシート下に無理なく収められる。

4chモデルでは、“周波数特性”の広さも特長となっている。高域側は33kHzまで確保され、低域側は7Hzからの再生が可能だ。上下とも可聴帯域を超えてカバーされている。また、2Ω接続、4Ωブリッジ接続にも対応しているので、使い勝手も良さそうだ。4Ωブリッジ接続時には250Wを叩き出すので、サブウーファーも余裕で鳴らせる。また、ベースブースト機能やクロスオーバーといった便利機能も過不足なく搭載されている。

ルックスは基本的にはシンプル路線だ。ヒートシンクが設定されたトッププレートは、ヘアライン・ブラックアルマイト仕上げのシックな風貌。しかしサイドパネルはロゴが入れられかつ立体的なシルエットを見せ、なかなかのデザイン性を発揮する。整然と並ぶ端子類からは作りの確かさが伝わってくる。

CDTオーディオ・CRM-62KBe

(写真)CDTオーディオ・CRM-62KBe

昨年登場したフラッグシップスピーカー『Chrome High-Rez Audioシリーズ』でテスト!


さて、サウンドインプレッションをお伝えしていこう。今回は4chモデルである『ACD-4090』の音をじっくりと検証してきた(CH1-2を使用してテストした)。

最初に試聴環境を紹介しておこう。テストは“CDTオーディオ”のディストリビューターである“イース・コーポレーション”の試聴室で行った。PCをソースユニットとするシステムを組み(PC→USB DAC→パワーアンプ→パッシブクロスオーバーネットワーク→スピーカー)、リファレンススピーカーには同じく“CDTオーディオ”のフラッグシップライン『Chrome(クローム)High-Rez Audioシリーズ』の2ウェイコンポーネント、『CRM-62KBe』(税抜価格:32万円)を使用した。ケーブル類はロシア発のチェルノフケーブルで統一した。

なおこの『Chrome High-Rez Audioシリーズ』は、2018年に発売された比較的新しいシリーズだ。これまでも試聴の機会をうかがっていたのだが、“イース・コーポレーション”を訪れる度に試聴機が、“CDTオーディオ”に注目する全国のさまざまなカーオーディオプロショップに貸し出されていて、対面する機会が巡ってこなかった。

しかしながら運良くこの日は、試聴機が戻って来ていた。これはチャンスと、合わせてその音も確認してきた。

ところでこの『Chrome High-Rez Audioシリーズ』は、“CDTオーディオ”の40年に及ぶ経験が随所に注入されている集大成的なモデルとなっている。製作コストには制限を設けず、素材にはベストなものが選定されている。例えば、ツイーターの振動板にはベリリウムをチョイスし50kHzまでの再生を可能としている。ミッドウーファーにはダイキャストのバスケットとケプラーコーンがおごられ、“マルチフレキシブルデザイン”で組み上げられている。

結果、「高解像度でリアルなサウンド」を奏でることができるというこのスピーカーを、『ACD-4090』はどのようにドライブするのだろうか。

CDTオーディオ・CRM-62KBeCDTオーディオ・CRM-62KBe

(写真)CDTオーディオ・CRM-62KBe

高級スピーカーの性能を引き出し切る! 正統的でハイレベルなHi-Fiサウンドを堪能!


さて、システムの電源を入れPC画面のスタートボタンをクリックすると…。

テストトラックのイントロが流れ出しまず感じたのは、「高域の滑らかさ」だ。音数が多く1音1音が繊細。実にスムーズで耳当たりが至極心地良い。ベリリウム振動板の良さが存分に引き出されている。

低域の力強さにも特長が感じられた。エレキベースの音には芯があり、かつよく引き締まっていて弾力性も高い。躍動感たっぷりにベースラインが再現される。このあたりは『ACD-4090』の実力が発揮されてのことだろう。ミッドウーファーの振動板をパワフルに駆動でき、制動力にも不足がない。振動板を止めるべきときにはしっかりと止められるので、結果、ハギレ良くそしてグルーブ感たっぷりにリズムを刻む。

リアルさにも唸らされた。声は凛として生々しく、実在感が高い。なるほど解像度も高く、各楽器の分離感も上々。S/N感も良好で、ステージの見通しも良い。音色の素直さにも好感が持てた。誇張感は一切なく、しかし響きが美しく余韻も可憐。自然でかつ美しく聴かせてくれる。

正統的でハイレベルなHi-Fiサウンドを楽しめた。スピーカーの素性の高さも十二分に感じ取れた。そしてその性能をパワーアンプがしっかりと引き出し切れている。『ACD-4090』は、10万円を余裕で切る価格帯にありながらここまでの再現性を見せるのだからあっぱれだ。実力は確かだ。

ドライブ能力の高い手頃な小型パワーアンプを探しているのなら、『ACD-4090』は有力な候補になりそうだ。検討の価値は大いにある。

そして、理想のサウンドを奏でられるハイエンドスピーカーを探しているという方は、『Chrome High-Rez Audioシリーズ』にもご注目を。“CDTオーディオ”ならではのリアルサウンドを満喫できる。試聴の機会に巡り会えたら、それを逃すことのなきように。

《text:太田祥三》

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