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【アウディ A6アバント 新型試乗】高剛性ボディによる安心感と、数値以上のゆとり…島崎七生人

自動車試乗記

アウディ A6アバント 新型(55 TFSI quattro S line)全 8 枚写真をすべて見る

数値以上のゆとりを感じるアバント

『A6セダン』に対し『A6アバント』の室内空間は、幅方向と前席は共通だが、後席のシート座面から天井までの余裕が大きい。その差はカタログ記載の数値上は26mm。だが天井が後方まで水平に伸びるアバントの場合、感覚上のゆとりは数値以上だ。

さらに後席以降の“窓ガラス”の面積がセダンより圧倒的に広いことも、室内を視覚的にルーミーに思わせ、気分的、感覚的にもゆとりが体感できる。ゆとりという点では、もはや『A8』のアバントでは!?と錯覚するほどだ。

家族やペットや荷物とともに移動するためのクルマがアバント。だとしたら、ゆとりが大きければそのほうが嬉しいことは、そういう生活スタイルをお持ちのオーナーなら実感として理解できるはず。A6アバントは、そんな理想をカタチにしたクルマという訳だ。

デジタルパネルには物寂しさもあるが…


運転席まわりは、基本的にセダンと共通だ。カメラにしてもホームオーディオのプリメインアンプにしても、上質な操作感のスイッチがズラッと並ぶほうが嬉しいと思う古風な感覚のレポーターは、(アウディに限った話ではないが)タッチパネルが大半を占める最近のインパネの風景に物寂しさを覚えなくもない。メーターなど視認系も同様で、アナログの物理メーターだった頃のような、走行中、背後から差し込む夕陽が指針の影を文字盤の上に映して……といった風情も今は昔。ただしシフトポジションがクッキリと表示されるのは、誤操作抑制の効果があるはずだ。

4台の広角カメラで自車のまわり360度を映し出すサラウンドビューカメラ(オプション)は、俯瞰だけでなく、3Dビューで任意のアングルからも自車を見ることができ、便利で安心だ。


ラゲッジスペースは広さ、使い勝手のよさも去ることながら、歴代モデル同様の仕上げのよさが気持ちいい。床面、サイドトリム部には手触りのいい素材が用いられ、床板、後席背もたれなど可動部分の“アワセ”がピシッとしているのもいつもどおりだ。

ちなみに試乗車はオプションの“リヤコンフォートパッケージ”付き。サンブラインド(ドアとリヤ)が付き、空調(温度と風量)とシートヒーターが左右席個別に設定可能になっている。ただし空調パネルはタッチ式で、これは前席の操作系と歩調を揃えたのだと理解できるも、位置がセンターコンソール後端だから、着座姿勢から前かがみになり操作する必要がある。なのでタッチ式よりも物理スイッチのほうが確実に操作できるようにも思う。

ボディ剛性の高さがしっかり感じられる


試乗車は3リットルのV6ターボに4WDのクワトロを組み合わせた、いわば上級仕様だったが、走りはスムースそのものだった。車重1950kg(前:1040/後ろ:910kg=車検証記載値)のワゴンボディながら、ボディ剛性の高さがしっかり感じられるのも印象的で、とくにコーナリング時は4輪の接地感の高さとともに得も言えぬ安心感がある。

速度を問わず、乗り味もすっきりとしなやかなもの。100km/h時には7速で1000rpmのわずか1目盛り上(=1250rpm)という、きわめて穏やかな仕事ぶりのエンジンは、もちろんイザという時には切れ味のいい加速も示す。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《text:島崎七生人》

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