新型『ポロ』が出たとき、私の評価はいま一つだった。理由は、走りがだるいから。勝手に過大な期待を寄せた私が悪いのだが、でもだってポロだもの、足にする利用率が高い国産コンパクトとは違うんだもの、やっぱりきゅっと洒落こんで走りたい……のに、走りがだるいのは致命的だったのだ。そりゃ、スポーツモードに入れればきちんと反応してくれるけれど、でも、それじゃあねえ。
ところが、「R-Line」である。次世代を担うエンジンでっせ!と呼び声高い1.5リットル+ターボエンジンを搭載され、走りアピールのR-Lineは、外観デザインからして攻めているけれど、走りは目の前の悶々とした霧が晴れるかのような気持ちよさなのである。
これぞ私が期待していたポロ!
胸のすく走り。きびきびとした躍動感。令和の時代に、昭和の死語になりつつある表現をなんとかしろと言われようとも、知っている美辞麗句をすべて並べ立てたいくらいいいのだから許してほしい。
アクセルを踏んで、ここでこのくらい加速してほしい、トルク感が欲しいと願う部分で、すべて120%の完成度で期待に応えてくれる。気持ちよさは、信頼に変わり、安心感へとつながっていく。女性が(主語が大きくてすみません)望むコンパクトカーの走りって、こういうことなんじゃないのかなあ。
もちろんこれは、ノーマルモードでの実力。さらにもっと攻めて走りたい人は、ぜひ、スポーツモード、さらに、カスタムとあるので堪能してほしい。
めっちゃいい。これはいいぞー!と、叫びながら乗っていたら、どうやらこのエンジン、世界的に高評価&人気過ぎてすっかりタマ不足なんだとか。読みが甘いぞ、フォルクスワーゲン!ぜひ、とっとと増産して、日本にもどかどか運び入れてほしい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。
《text:岩貞るみこ》