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【三菱 eKクロス 新型試乗】軽の枠を超えた質感は、まるで「デリカ・ミニ」…島崎七生人

自動車試乗記

三菱 ekクロス(T 4WD)全 10 枚写真をすべて見る

さしずめ“デリカD:5ミニ”か。実車を2台並べたカットを載せておいたのでご覧いただきたいが、まるでスケールモデルのような相似形のフロントマスクは、お見事というほかない出来である。

とはいえ決して嫌みがないのも事実。かつての『パジェロミニ』がそうだったように、実にサマになっている。『eKクロス』でいうと、すでに賛否両論の“否”を打ち負かした感のある『デリカD:5』のデザインを受け継ぐことで、軽のスケールを超えた力強さ、存在感をモノにすることに成功したのかも。縦に並んで発光するLEDヘッドランプも『eKクロス 』ユニークなデザインとして消化している。

レポーターはマスクだけでなくカラーリングにも注目した。広告などで打ち出しの白/黄色よりも先にオレンジのルーフに上品なアイボリーメタリックの組み合わせに目が釘付けになった。あたかもイタリアのランチアか何かのセンスのよさで、それは内装(シート表皮)のまるでミッソーニのようなカラーデザインとも連携している。

内装でいえばオプション(+5万4000円ではあるが)の“プレミアムインテリアパッケージ”を選ぶと、ソフトパッドで裏打ちされたPVCのパッド(メーターナセルとナビ画面の間は非PVC)仕上げのインパネになる。リアルステッチ付きで風合いも格別で、軽のレベルを超えた豊かな気持ちになれるのがいい。

“クロス ”はいわばカスタム系だが決してヤンチャ系ではなく、大人のユーザーがパーソナルに乗りこなすのにも適したこだわり派向けのシリーズ、という訳だ。

ステアリングは本革巻きで質感は上々、メーター内のマルチインフォメーションディスプレイはカラー、空調の操作パネルはタッチ式(風量調節は“逆コの字”だが、角のない“Cの字”のほうがよりスラッと操作できる気がする)と、脱軽自動車の意思を感じるような出来栄えだ。

走りはターボ(モーターアシスト付き)+4WDということで、力強い印象。ただし940kgと車重がそれなりにあり、しっかりとアクセルを踏み込み、エンジン性能を十分に引き出しながら走らせたほうがスムースだった。乗り味はフワつくことなく、ステアリングの味付けも安心感のある操舵フィールになっている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《text:島崎七生人》

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