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リーズナブルで高性能!? 期待の“パワーアンプ内蔵DSP”登場! その実力を全方位検証! Part2「サウンドテスト」

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ミューディメンション・DSP-680AMP全 4 枚写真をすべて見る

パワードサブウーファーを筆頭に幅広く人気モデルを擁している国産カーオーディオブランド“ミューディメンション”。同社からこの1月に、大注目の“パワーアンプ内蔵DSP”が発売された。その実力を多角的に解析しようとする週刊特集をお贈りしている。

第2回目となる今回は、内蔵パワーアンプの“素”の音質性能を徹底検証したテストの模様を、詳細にリポートする。

もっとも気になるのは“音質性能”。価格から考えると多くを望めそうにない!?


前回の記事ではまず、スペックから読み取れる『DSP-680AMP』の特長解説をお届けした。その中で当機のストロングポイントは、価格がリーズナブルであることと、そしてそれにも関わらず“パワーアンプ内蔵DSP”に求められる特長や機能が間引かれることなく備えられていることにあると説明した。特に、内蔵パワーアンプに見どころが多い。出力的にも十分なスペックが確保されていて、かつ使い勝手も高い(ブリッジ接続にも対応しているのでサブウーファーを鳴らすのにも使える)。

とはいえ、もっとも重要なのは“音質性能”だ。そこのところに見るべきものがなければ、製品としての魅力は半減する。とは言え、“DSP”でもあり“6chパワーアンプ”でもありながら、価格はわずかに7万7000円。この価格から考えると、多くを望むのは酷なような気もするのだが…。

さて、実際のところはどうなのか。“素”の音質性能をじっくりと確認してきた。

最初に、試聴コンディションから紹介しておきたい。テストは“ミューディメンション”をプロデュースしている“イース・コーポレーション”の試聴室で行った。ノートPCをソースユニットとして使用し、“USB-DAC”を介して『DSP-680AMP』のAUX端子に音声信号をアナログ入力。そして『DSP-680AMP』内の“DSP”をスルーさせて(すべてのパラメーターをフラットのまま、または未使用で)2chアウトし、テスト用スピーカーに付属のパッシブクロスオーバーネットワークを用いてスピーカーをドライブさせた。

リファレンススピーカーとしてチョイスしたのは“RSオーディオ”の『RS Stream 165-2』(税抜価格:30万円)、RCAケーブルには“ゾノトーン”の『6NAC-Granster 3000α』(税抜価格:1万8900円、1m、ペア)を、スピーカーケーブルには同『6NSP-Granster 2200α』(税抜価格:1700円、1m)を、パワーケーブルには“チェルノフケーブル”の『STANDARD DCPOWER 8AWG』(税抜価格:1200円、1m)を、そしてUSBケーブルには“ゾノトーン”の『6N・USB-Grandio 2.0』(税抜価格:1万3000円、1.2m)をそれぞれ使用した。

ミューディメンション・DSP-680AMP

最初に別のパワーアンプで試聴システムの音をチェック。人気モデルらしい充実のサウンドが聴けた。


『DSP-680AMP』の音を確認する前に、別のパワーアンプを使って試聴システム全体のサウンドをチェックした。用意したパワーアンプは“グラウンドゼロ”の4chパワーアンプ『GZIA 4115HPX-II』(税抜価格:3万4000円)。ちなみにもしも『GZIA 4115HPX-II』が6chモデルであったなら、税抜価格はざっくりその1.5倍の5万1000円という計算になる。

であるので、当機の方が『DSP-680AMP』よりも“上級”と言って良いだろう。『DSP-680AMP』の方は“DSP”とパワーアンプが一体化しているわけなので、内蔵パワーアンプが5万1000円だとするならば、価格の残りは2万6000円。このクオリティの“DSP”をその金額で手にすることは不可能だ。つまり『DSP-680AMP』の内蔵パワーアンプは5万1000円よりもリーズナブル。そう考えるのが妥当だろう。

ちなみに、1chあたりの定格出力(4Ω)も『GZIA 4115HPX-II』の方が上回っている。『DSP-680AMP』が55Wなのに対して、『GZIA 4115HPX-II』は70W。しかも『GZIA 4115HPX-II』は、“イース・コーポレーション”が新年早々に発表した実売ランキング『CATY2018』の『4chパワーアンプ6万円未満部門』で、堂々の第1位に輝いている人気モデルだ。実力が備わっているからこそ高い人気が得られているわけで、スペック、実績ともに、『GZIA 4115HPX-II』の方が分が良い。

実際に音を出してみると、なるほどパワー感が十二分で、聴き応えも上々だ。音色は至ってナチュラルで正確。低域にはしっかり感があり、ある程度タイトで心地良いグルーブ感が味わえる。高域もキリッとしていて粒立ちが良く、中域の厚み感にも不足はない。

重箱のスミを敢えてつつけば多少の粗さがあることは否めないが、価格から考えての総合的な判断の中では、その点は気になるレベルではない。トータルの性能はむしろ優秀だ。腰の据わった“グラウンドゼロ”らしい充実感あるサウンドが楽しめた。

ミューディメンション・DSP-680AMP/DSP-680AMP REMOTE

不満に思う部分は皆無。価格からは想像つかない上質なサウンドが目前に展開。


続いて『DSP-680AMP』に繋ぎ換え、早速同様のテストトラックを流し始めると…。

価格やスペック的には分が悪いと思っていたのだが、印象はむしろ逆だった。これだけを聴いている上で、不満に思う部分が見つからない。なかなかの聴き心地が味わえた。

高域の緻密さも十分感じられるし、低域には一層のタイト感があり、中域にも瑞々しさが加わっている。例えば管楽器の音など、音色にきらびやかさが加わり余韻の消え際も好印象だ。

レスポンスも上々だ。その上で制動力も高くしっかりと音を止めてくれるので、ノリも軽快。かつ、ダイナミックレンジもしっかりと確保されていて抑揚感の再現性も良好だ。

もしもこれがパワーアンプのみの製品であったとしても、税抜7万7000円は安い、そう思わせるサウンドが目前で展開されていた。

なお、上記の試聴コンディションでテストした傾向としては少々ハイ上がりなサウンドと言えなくもなかったのだが、気になるレベルではない。それ以外ではクセっぽい感じはなく、総合的にはニュートラルなサウンドと言っていい。また、パッシブクロスオーバーネットワークを使う接続方法ではなく、2ウェイスピーカーをマルチ接続し当機の“DSP”で細かく調整すれば音質は格段に向上するだろうし、さらにはサブウーファーを加えて低域を補強するなどサウンドアップの手段は多々ある。ここからいかようにも好みの方向へと持って行けるはずだ。

“ハイレゾ音源”の良さもしっかりと再現。高解像度で緻密なサウンドが楽しめた。


さらには、『DSP-680AMP』に備えられているオプティカルデジタル入力(TOSLINK)を使い、そこに“DAP”を接続して“ハイレゾ音源”を聴いてみた。

なるほど、“ハイレゾ音源”ならではの良さをしっかり再現できている。質感がぐっと向上し、高解像度で緻密なサウンドが楽しめた。ボーカルの生々しさも向上し、音楽に引き込む力も上がっている。切ない楽曲では切なさが一層伸長され、思わずしんみりと聴き入ってしまうほどだった。

テストに用いたリファレンススピーカーの性能が高いからこそでもあるが、そうであってもパワーアンプの実力がしっかりと担保されていなければ、音源の違いをしっかりと表現することは難しい。また、『DSP-680AMP』がこの価格のスピーカーをもしっかりとドライブできている、ということでもある。

音を聴いてより一層、『DSP-680AMP』のコストパフォーマンスの高さを思い知らされた。お買い得感は相当に高い。普通、“パワーアンプ内蔵DSP”の音質性能はある程度価格に比例するものだが、当機の場合は良い意味で、音質性能が価格相応ではなかった。『DSP-680AMP』の内蔵パアーアンプは侮れない。

さて次週は、『DSP-680AMP』を搭載したメーカーデモカーのシステム & サウンドのリポートをお届けする。デモカーでは当機がどのような使われ方をしていて、そしてどんな音を聴かせてくれたのか、詳細にお伝えしていく。乞うご期待。

《text:太田祥三》

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