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カーオーディオをもっと身近に感じるための、『ザ・用語解説!』 Part3 スピーカー編 lll

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高性能なAV一体型ナビの一例(ダイヤトーンサウンドナビ・NR-MZ300PREMI)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオに興味を抱きつつも、「なんとなく難解そうだ…」とこれを敬遠している方々に向けて、『ザ・用語解説』をお贈りしている。重要度、そして難易度の高いワードをピックアップして解説し、カーオーディオをより身近に感じてもらおうと試みている。

第3回目となる今回も、“スピーカー交換”に関連した用語を解説していく。今回はこれまで以上に難易度の高いワード、『マルチアンプ接続』を大フィーチャーする。

01・『マルチアンプ接続』とは?

前回、『バイアンプ接続』について詳しく解説したので、今回はそれとの関連性が深いこの『マルチアンプ接続』を取り上げようと思う。

まずはこれが何なのかをひと言で説明すると…。『マルチアンプ接続』とは、「スピーカーユニット1つ1つにパワーアンプの1chずつをあてがう接続方法」ということになる。

なお『バイアンプ接続』も、1つのスピーカーユニットに対してパワーアンプの1chずつをあてがう方式であると説明した。その点では『バイアンプ接続』と『マルチアンプ接続』は同様だ。なので得られるメリットも似ている。『バイアンプ接続』では、各スピーカーをダイレクトに制御できる(余裕を持って鳴らせる)こと等がメリットだと解説したが、『マルチアンプ接続』でも各スピーカーをダイレクトに制御できることもメリットの1つだ。

しかしこの2つの接続方法には大きく異なる部分が1つある。それは、“クロスオーバー”にある。『バイアンプ接続』では音楽信号の“帯域分割(クロスオーバー)”を“パッシブクロスオーバーネットワーク”を用いて行うのだが、『マルチアンプ接続』ではこれを用いず、代わりに“プロセッサー”と呼ばれるユニットを活用する。その中に搭載されている“クロスオーバー”機能を使って、信号の“帯域分割”を行うのだ。

ところで、多くの“パワーアンプ”には実は、“クロスオーバー”機能が搭載されている。なので、それを使って『マルチアンプ接続』を実行することも可能だ。

しかしながら実際は、パワーアンプに内蔵されている“クロスオーバー”機能を使う方式はあまり採用されてはいない。“プロセッサー”を用いて『マルチアンプ接続』が構成されることの方が、圧倒的に多くなっている。

02・“プロセッサー”を用いての『マルチアンプ接続』が実行されることの方が多いのはなぜ?

続いては、“プロセッサー”を用いて『マルチアンプ接続』が構成されることの方が多い、その理由を解説していこう。理由はズバリ、「音楽信号を自在にコントロールできるようになるから」だ。

“プロセッサー”にはさまざまなサウンドチューニング機能が搭載されている。それが使えることで得られるメリットが多々あり、だからこそ“プロセッサー”が重宝されている、というわけなのだ。

そして、“プロセッサー”で緻密にサウンドをコントロールするためには、『マルチアンプ接続』というシステムレイアウトが必須となってくる。

というのも、緻密にサウンドを制御しよう思ったら、各スピーカーから発せられる音を個別にコントロールできた方が有利だ。ツィーターとミッドウーファーを1つのスピーカーとみなして制御しようと思っても限界がある。なのでまず“プロセッサー”内部で、“クロスオーバー”機能を使って音楽信号を“帯域分割”し、その上で分割された各chの音を個別に、かつ詳細に制御する。そして個別に制御された音楽信号は、別chのままパワーアンプに送り込まれ個別に増幅され、その後別々に各スピーカーユニットへと伝送される。

つまり、“プロセッサー”を使いたいから、そして“プロセッサー”の効果を十分に発揮させたいから『マルチアンプ接続』が実行されている、というわけなのだ。『マルチアンプ接続』をするために“プロセッサー”が必要、なのではないのだ。

03・『マルチアンプ接続』を手軽に導入する方法とは?

ところで、ハイエンドカーオーディオにおいては、高機能な単体“プロセッサー”がシステムに組み込まれ、そしてスピーカーユニットの数と同数のch数を持つ外部パワーアンプが用意されることなる。結果、システムは大がかりになり、コストも多く掛かってしまう。つまり『マルチアンプシステム』は、「難易度の高い方式」となっている。

しかし実は、手軽にこれを導入する方法も存在している。

手軽な導入方法は主に2つある。1つは「高度なAV一体型ナビを導入する」という方法で、もう1つは「パワーアンプ内蔵型DSPを使う」というものだ。

AV一体型ナビの中には、“ハイエンドカーオーディオユニット”と呼ぶに相応しい機種がいくつかある。そういった機種には高度な“プロセッサー”が内蔵されていて、さらには内蔵パワーアンプを使っての『マルチアンプ接続』が実行できるようにもなっている。これ1台で高度な“プロセッサー”を組み込んだ『マルチアンプ接続』を完結できるのだ。

もしもカーナビの買い替えが視野に入っているのなら、この際“高度なAV一体型ナビ”の導入を検討されてはいがだろうか。これを選べば『マルチアンプ接続』の恩恵を得ることができ、スピーカーが純正のままでもより良い音で音楽が楽しめるようになる(“スピーカー交換”も同時に行えば、サウンドクオリティの上昇幅はさらに大きくなる)。

しかしながら、純正オーディオ(ナビ)が交換できないという車種もある。そのときには、2つ目の方法として取り上げた「パワーアンプ内蔵DSPを導入する」という方法が有効策となる。“DSP”とは“デジタル・シグナル・プロセッサー”のことで、“パワーアンプ内蔵DSP”とはつまり、「“プロセッサー”と“パワーアンプ”が一体化したユニット」である。純正オーディオのスピーカー出力をこれに入力すれば、詳細なサウンドチューニングを実行可能な『マルチアンプ接続』を完成できる。

なお、このタイプのユニットは今、多種多様にリリースされているので、低価格でかつコンパクトなモデルも増えてきた。そういったタイプの機種を選べば、取付工賃も含めて案外リーズナブルに『マルチアンプ接続』を実践できる。興味があればぜひ、お近くの“カーオーディオ・プロショップ”まで足を運び、具体的なシステム構築プランを教えてもらおう。

今回のレクチャーは以上で終了だ。次回も“スピーカー交換”に関連した『用語解説』を続行する。乞うご期待。

《text:太田祥三》

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