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【スズキ ジムニー 新型試乗】「自然児状態」が女ゴコロをくすぐる…岩貞るみこ

自動車試乗記

スズキ ジムニー 新型全 14 枚写真をすべて見る

全高1725mm。ほかにも背の高い軽自動車はあるけれど、ほかのクルマたちのシート位置は乗り降りしやすい高さにまとめてくれているものだ。ところが『ジムニー』ときたら、かなり高い。

乗り込むときは久々に「よっこいしょ」と声が出そうになるのをあわててこらえたくらいだ。こんな高さにして、どういうつもりだと一瞬、むっとするものの、運転席で前を向いたとたん、そんな気持ちはどこかへ吹っ飛んでいる。だって、視点の高さからくる優越感ったらないんだもの。

今回の試乗車は5MTである。シフトレバーをぐっと押し込んで一速に入れて走り出すと、あまりの荒々しさに口元がゆるむ。まず、音。エンジン音と排気音が、直接、車内に入り込んでいるんじゃないかってくらい騒がしい。アクセルを踏むたびに、唸らんばかりの音が襲い掛かってくるのだ。

そして振動。ボディ全体が震え、アスファルトの舗装された路面だというのに、道路表面の気配が野性味たっぷりに伝わってくる。これまでの人生、すべてのメーカーの技術者から「音振(おとしん。音と振動。クルマ開発のキーポイントの一つ)を抑えるために、こんなことをやりました」という説明を受けてきたけれど、ジムニーはそんなこと、知ったこっちゃないらしい。

でも、この「自然児状態」が女ゴコロをくすぐり、とてつもなく心地いいのである。野生って素敵、と、ワケのわからない妄想に走りそうだ。

ふたたび左手でシフトレバーを握り、ギアを上げていくたびに軽々と加速するさまは、まるで二輪車である。山やラフロードで本領を発揮して活躍するジムニーではあるけれど、走ったときの爽快感はアスファルトの上でも十分に堪能できる。シンプルに生きると大切なものが見えてくるっていうけれど、ジムニーに乗っているとその言葉の意味がものすごくよくわかるのである。感激のあまり、★は満点だよ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《text:岩貞るみこ》

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