プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第2回「ゲイン調整と基本設定」 | Push on! Mycar-life

プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第2回「ゲイン調整と基本設定」

本命のサウンドチューニングはカーオーディオ・プロショップに任せたほうが良い。しかしその上で自分でもあれこれいじってみると、カーオーディオライフが一層充実するのもまた事実だ。実際、自分でもトライして、それも楽しみどころとしているユーザーは多い。

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『グラウンドゼロ・GZIA 2080HPX-ll』のサイドパネル。
『グラウンドゼロ・GZIA 2080HPX-ll』のサイドパネル。 全 5 枚 拡大写真
本命のサウンドチューニングはカーオーディオ・プロショップに任せたほうが良い。しかしその上で自分でもあれこれいじってみると、カーオーディオライフが一層充実するのもまた事実だ。実際、自分でもトライして、それも楽しみどころとしているユーザーは多い。

しかし…。これがなかなかに難しい。壁にぶち当たっている方も少なくないはずだ。そんな方々に向けて、当短期集中連載をお届けしている。サウンドチューニングを自ら行おうとするときのヒントとしていただくべく、プロショップのテクニックをお伝えしていこうと試みている。

今回は、東京の気鋭ショップ、“モービルサウンドテクノロジー”の小川さんにご登場願い、主に“ゲイン”調整と“基本設定”のやり方について詳しく教えてもらった。

なお、サウンチューニングのやり方は、各プロショップごとでさまざまだ。ここで紹介するやり方とは別の方法も多々ある。いろいろなやり方を知り、その中からもっとも自分にとってしっくりくるスタイルを見つけ出すことが肝要となる。当特集が、その参考になれば幸いだ。


■「パワーアンプの“ゲイン”設定は、chごとに厳密に設定したい」

今回は、“プロセッサー”を使って調整する以前にやっておくべき項目である、パワーアンプの“ゲイン”調整の仕方から教えてもらった。

「“ゲイン”調整は、重要項目です。設定方法は簡単なのですが、正しく行えていないと、根本が崩れてしまいかねません。

設定するにおいてポイントとなるのは、メインユニットのライン出力の“歪まない(クリップしない)範囲”を見極めること、そして、その範囲内の信号をパワーアンプに入力したときの、アンプの“許容範囲”を知ることです。まずはそれぞれを把握して、その範囲内での最大値に“ゲイン”を設定していきます。

注意したいのは、限界値を超えて設定してしまうことですね。そうするとそれが原因でサウンドが歪んでしまいますから。

逆に、低過ぎるのも得策ではないと考えています。せっかくのパワーアンプですから、そのパワーをできるだけ使い切りたいと思うんです。

設定方法はシンプルです。まずはメインユニット(プロセッサーを使う場合にはプロセッサー)の出力がクリップする限界点をフルレンジのテスト信号を流してチェックします。当店では測定器で測っています。続いてクリップしない最大量のフルレンジのテスト信号をパワーアンプに送り、“ゲイン”を変化させてどこで歪むのかをチェックします。測定器を使わないときは、音量が大きくなり過ぎないように気を付けましょう。スピーカーを破損しかねません。なので、“ゲイン”調整は自分では触らないほうが無難かもしれません。プロショップに設定してもらった状態のままにしておくほうが賢明ですね。

なお当店では、多chのパワーアンプでは、各chごとで厳密に設定していきます。パワーアンプはアナログ機器ですし、製品ごと、そしてchごとで個体差があります。ですので1台1台、そしてchごとに、厳密に設定していくべきだと考えています」


■“クロスオーバー”の仮設定はパッシブの値を参考に。しかし“スロープ”は-12dB/octでOK。

続いては、ベーシックな設定を行うための、“クロスオーバー”と“タイムアライメント”の仮設定の方法を教えてもらった。

「まず、“クロスオーバー”の“スロープ”は、-12dB/octに設定しておくのが基本形となります。そして“カットオフ周波数”は、スピーカーに付属しているパッシブクロスオーバーネットワークの値に合わせておけばOKです。

なお“スロープ”については、パッシブクロスオーバーネットワークの設定では-12dB/octになっていないこともありますが、そうであることを一応確認しておきつつ、とりあえずは-12dB/octに設定しておいたほうがいいと思います。スロープを変化させると、6dBごとで位相が90度回っていくわけですが、位相は0度、もしくは180度、このどちらかであるほうがコントロールしやすいですから。なので、180度反転する-12dB/octがもっとも無難で、その次は360度となる-24dB/octが使いやすい“スロープ”、ということになります。

“タイムアライメント”については、ドライビングポジションを取った上で、耳からスピーカーの中心の距離を実測し、その数値を入力していきます。僕の場合は、左側のスピーカーは左耳から、右側のスピーカーは右耳から各スピーカーの中心までの距離を測るようにしています。

ただ、測定はそれほど厳密でなくても大丈夫です。ここでの数値入力はあくまでも“仮”です。厳密に追い込んでいくのは、後から微調整するときで大丈夫です」


■「“タイムアライメント”ではまず、“音が聴こえるタイミング”を合わせていきます」

次にはいよいよ、“タイムアライメント”の詳細設定に進んで行く。さて、その方法とは…。

「まずは、左右のツィーター間の微調整を行います。この時に考えるべきは、“定位する位置がどこか”よりも、“左右の音の出るタイミングを合わせること”だと思っています。定位がどこにくるかは後から主に“音量”を操作して決めていきますので、最初にすべきは、左右のツィーターの音が同時に耳に届く状態を作り出すこと、だと思うんです。音楽を聴きながら、左右のタイミングが合うように微調整していきます。

なのでこの時に使う音源は、打ち込み系の音楽が向いていると思います。打ち込み系の音源であれば基本的にはリズムはジャストです。演奏者ごとのリズムの揺らぎが発生しないので、タイミングを取りやすいんです。

そうして左右のツィーターの音が耳に届くタイミングを揃えられたら、今度は左右のミッドウーファー間で、同様の設定を行います。

その後には、ツィーターとミッドウーファー間の“タイムアライメント”を確認する作業に入ります。左右それぞれで確認していきます。この時に重視するのは、“左右で高さを合わせること”です。ツィーターとミッドウーファー間の定位しているポイントの高さが左右で異なると、全体で聴いたときのバランスが不自然になってしまいますから。

そこまでが終わったら、いよいよフロントスピーカーをすべて鳴らし、主に“音量”のバランスを整えながら、センター定位を有るべき場所へと移動させていきます。この時に心がけるのは、サウンドステージの右側が狭くならないことですね(右ハンドルの場合)。左右の広がり方が均等になるように調整していくと良いと思います」


■「“クロスオーバー”は、上から決めていくのがセオリー。まずはツィーターの“ハイパス”から」

その後は、“クロスオーバー”の微調整へと進んで行く。

「“クロスオーバー”については、上から決めていくのがセオリーだと考えています。つまり、最初にツィーターの“ハイパス(ローカット)”を決め、その後にミッドウーファーの“ローパス(ハイカット)”を決定していきます。そして設定においてのポイントは、“f0(エフゼロ、最低共振周波数)を意識すること”だと思っています。

“f0”とは、“そのスピーカーが出せるもっとも低い音”であるわけですが、そのあたりの音が聴こえて来ないようにすることが、実はとても重要だと考えています。

“カットオフ周波数”と“スロープ”の兼ね合いで下側の音がどこまで出てくるのかが決まってきますが、減衰していくそのスロープの中腹に“f0”が掛かってしまうのはNG、というわけです。

それを意識すると、“カットオフ周波数”は案外、上目になることが多いです。“カットオフ周波数”を低く取りたいと思うと“スロープ”を急峻にせざるを得なくなりますが、急峻にするほど中ヌケしやすくなりますので、それよりは“カットオフ周波数”を上目に取る方がベターだと考えています。

なお、“f0”はカタログ等々で確認できるのですが、取り付け状態によって変化しますので、装着状態での“f0”を正確に把握することは困難です。ここがやっかいではあるのですが。経験則で予測を立てていくしかないですね。

そうしてツィーターの“ハイパス”を決め、それとのバランスを考えて、ミッドウーファーの“ローパス”を設定していきます。その後にはミッドウーファーの“ハイパス”を設定するのですが、ここでもポイントとなるのはツィーターのときと同じく、“f0”を意識することだと思います。

最後にサブウーファーの調整を行うのですが、ここで注意すべきなのは、奥行き感です。サブウーファーがフロントスピーカーと上手く繋がると、サウンドステージの奥行き感が出てきます。“音量”、“タイムアライメント”、“クロスオーバー”を微調整させながら、もっとも奥行き感が出てくるポイントを探していくといいと思います」


いかがだったろうか。細かな部分は聴感上で合わせて行くことになるので簡単ではないのだが、実践するにあたっての考え方は示唆してもらえた。大いに参考にしていただきたい。

サウンドチューニング技術を上達させるには、とにもかくにもいろいろと触って、経験則を積み上げていくしかない。臆せずトライを♪

《太田祥三》

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