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「外部パワーアンプ」の使いこなし術を徹底解説! 第3回 “内蔵クロスオーバー”を使いこなす

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パワーアンプの一例。マッツプロオーディオ MPA4150。全 1 枚写真をすべて見る

「外部パワーアンプ」の導入をおすすめする短期集中連載をお贈りしている。ここまではこれを導入する利点と、ch数違いがあることを解説してきたが、第3回目となる今回からはいよいよ、具体的な“使いこなし術”の解説に入って行く。

まずは、多くのモデルに内蔵されている「クロスオーバー機能」の使いこなし方から紹介していく。

■「クロスオーバー」とは、音楽信号の“帯域分割”を行う機能である。

市販の「外部パワーアンプ」にはほとんど、「クロスオーバー機能」が内蔵されている。まずは、これがどのような機能なのかを、端的に解説していこう。

カーオーディオにおいての「クロスオーバー」とは、信号の“帯域分割”を行う機能のことを指す。スピーカーが“フルレンジ”タイプであれば「クロスオーバー」は必要ないのだが、“マルチウェイ”スピーカーを使う場合には、なんらかの「クロスオーバー」機能を搭載した機器をシステムに組み込む必要がある。

なお、“マルチウェイ”スピーカーとは、“セパレート2ウェイ”とか“セパレート3ウェイ”といった、タイプの異なるスピーカーユニットを用意するシステムのことを指す。例えば“セパレート2ウェイ”スピーカーでは、高音の再生が得意なスピーカー(ツィーター)と、中低音の再生が得意なスピーカー(ミッドウーファー)とを用意して、それぞれが得意な仕事だけに専念できるような状況を作り、全体をスムーズにクリアに再生しようとするのである。

そして、得意な仕事に専念できるような状況を作り出すためには、信号を“帯域分割”する「クロスオーバー」が必要、という次第なのだ。

ちなみに、もっともシンプルなカーオーディオシステムにおいては、「クロスオーバー」は、スピーカーに付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク」で行われる。「パワーアンプ」から出力される“Lch”の信号を左の「パッシブクロスオーバーネットワーク」に繋ぎ、その中で音楽信号を2つに分け、高域側の信号を左側に取り付けられたツィーターに、中低域側の信号を左ドアに取り付けられたミッドウーファーへと送り込む。“Rch”でも同じことが行われる。

というわけで、「パッシブクロスオーバーネットワーク」があればそれでいいのだが、「外部パワーアンプ」にも「クロスオーバー」機能が搭載されている。せっかくなのでこれも使いこなすと、「外部パワーアンプ」を導入したメリットが、さらに活きてくる…。

■「クロスオーバー」機能を使うことで、ドアのビビリを緩和できる!?

では早速、どのような使い方があるのか、具体的に解説していこう。

1つ目として取り上げるのは、「ドアのビビリ対策に、クロスオーバーが効く」というものだ。

クルマの中では、自分の好きな音楽を目一杯のボリュームで聴くことができる。そんなところもカーオーディオの魅力の1つだが、音量を上げるとドア内の鉄板がビビることがある。かなりの確率でこれは起こる。

これに対策するには、ドア内部に“デッドニング”という加工をするのが早道なのだが、もしも「外部パワーアンプ」を導入しているのなら、アンプに搭載されている「クロスオーバー」機能を使うことでも、これへの対処が可能になる。

ビビリは、スピーカーの裏側から発せられる音によって引き起こされる。その中でも特に、低音成分によって共振が起こり、鉄板がビビる。しかしながら「クロスオーバー」機能を使うと、その低音成分をカットすることが可能となるのだ。

操作の手順は以下のとおりだ。フロントスピーカーに接続しているchの「クロスオーバー」機能を“ハイパス”に切り替える。そしてカットする範囲を決めればOKだ。

ただし、カットし過ぎには注意が必要だ。ドラムスのバスドラムや、ベースギターのラインが聴こえなくなってしまってはつまらない。であるので、どのあたりから下をカットするのかの見極めは慎重に行いたい。音楽を聴きながらいろいろと試し、ポイントを探っていこう。

なお、ドアが目立ってビビっていなくても、この操作をすることで音がすっきりすることがある。ドアのスピーカーは低音再生能力に限界があるので、低い音が濁っている場合も少なくない。であるので「クロスオーバー」機能を使って低域側をちょっとだけカットしてみると、サウンドが全体的にスッキリすることがあるのだ。試す価値は大きい。

■フロントスピーカーを“マルチドライブ”することで、スピーカーの性能をさらに引き出せる。

そしてもう1つ、とっておきの方法を紹介したい。それは「内蔵クロスオーバーを使ったフロント2ウェイのマルチドライブ」という方法である。

これを行うためには、導入してある「外部パワーアンプ」が「4chタイプ」で、かつ、内蔵クロスオーバーが高域側でも使用可能なタイプである必要がある。もしもそうだったなら、この手が使えるということを、ぜひとも覚えておいていただきたい。

メインユニットは通常のモデルでOKだ。メインユニットの外部音声出力を1系統(LとRの2ch分)繋いで、もしもお使いのパワーアンプに“入力切替スイッチ”が付いていればそのスイッチ”を4chに設定する。“入力切替スイッチ”が付いていなければ、2ch分の外部音声出力を分岐ケーブルを使って4ch分入力する。

そして「4chパワーアンプ」の、フロント側のLch出力を左ツィーターに、同Rch出力を右のツィーターにそれぞれ接続。そしてリア側のLch出力を左のミッドウーファーに、同Rch出力を右のミッドウーファーにそれぞれを接続する。このように、「4chパワーアンプ」の1chずつを、フロントの計4つのスピーカーに個別に割り当てる。そうした上で、内蔵「クロスオーバー」を付属のパッシブクロスオーバーネットワークの設定値を参考にセットする。これでフロントスピーカーを“マルチドライブ”させるシステムが完成できる。

なおこれをするときには、「クロスオーバー」をセットする前に音を出さないように気を付けよう。ツィーターにフルレンジの信号を流すとツィーターが壊れてしまうからだ。

このシステムを構築すると、フロントスピーカーを「パワーアンプ」の4ch分を使って贅沢に鳴らせるようになるので、その贅沢さが音にも現れる。さらには各スピーカーが別回路に分けられるメリットも活きて、クリア感や情報量等々も上がってくる。「クロスオーバー」の設定は簡単ではないが、音楽を聴きながら慎重に行い上手にキマると、スピーカーを1ランク上げたような音質向上を体感できる。

今回の解説は以上で終了だ。次回もまた、実践的な「外部パワーアンプ」の使いこなし術を詳細に解説していく。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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