メモリカードで有名なサンディスクのブースに鎮座していたのは、何とSUPER GTの常勝マシン、「ニスモGT-R」。どちらも赤をイメージカラーにしているだけにスポンサーにでもなったとかと思い、話を聞いて見ると、意外な答えが……。
「2018年からSUPER GTのオフォシャルパートナーとして、車載カメラのメモリなどを提供することになりました。マシンにはロゴは入りませんが、表彰台のバックボードなどにはサンディスクやウエスタンデジタルのロゴが入ると思います」と語るのは、HGSTジャパンの広報、鈴木健二氏。
ウエスタンデジタルとHGST(日立グローバルストレージテクノロジー)、そしてサンディスクはM&Aにより、統合が進められている。今後もSDカードはサンディスクブランドで提供されていくそうだ。
展示されているSDカードもよく見ると2つのケースに分けられている。「右側はオートモーティブ(自動車)用、左側は産業用で両方とも小売りはしていないものです」。自動車用は動作温度範囲や書き込みや読み出しの速度が重視されるのに対し、産業用は耐久性や信頼性が重視されている。また相性の問題などが起きないように、同じスペックのものを長く生産して供給し続けることも要求されるそうだ。
「現在のマイクロSDカードは、内部基盤の微細化はもう限界に達しています。そこで積み重ねることで大容量化を実現しているんですが、今の最高レベルが96層で、これを128層にすることを目指しています」。あの薄いマイクロSDカードが、96層になっているとは! しかもさらに128層を可能にしようとしているのだ。理論上は2TBも可能だと言われているのも、そんなテクノロジーを聞けば納得してしまう。
SUPER GTのオンボード映像は、ライブ配信されているものと、後で確認用(レーシングアクシデントの判定など)や様々な解析のためにSDカードに記録されるものの2種類に分けられる。そんな映像データを確実に記録、解析するために、サンディスクのSDカードがすべてのSUPER GTマシンに使われるのだ。マシンの熟成やタイムアップ、そしてクリーンなレースを維持するために、身近なデバイスが貢献していることを教えられたのだった。
《text:高根英幸》