「ロックフォード」、「グラウンドゼロ」といった、欧米の実力カーオーディオブランドの製品を正規輸入販売しているイース・コーポレーション。同社が発表した、『CAOTY(カーオーディオ・オブ・ザ・イヤー)2017』の結果を分析する週刊特集を展開している。
総部門数はなんと“26”。この一大ランキングの動向を見ながら、現在のカーオーディオ市場のトレンドも探っていこうと試みている。今週はその第4回目として、パワーアンプの残り4部門と、サブウーファーの2部門をクローズアップする。
【CAOTY(カーオーディオ・オブ・ザ・イヤー) 2017】
http://www.escorp.jp/special/caoty2017
◆第1位には「ロックフォード」が君臨するも、ランキングのほとんどを「JLオーディオ」が占有!
まずは、『多チャンネル・パワーアンプ部門』から見ていこう。当部門は価格でのくくりはなく、全モデルが“無差別級”の中でランクを競った。
ところでパワーアンプのもっともスタンダードな仕様は、4chアンプと言っていいだろう。1台で、フロント2ウェイ+サブウーファー(フロントスピーカーにはパッシブクロスオーバーネットワークを使用)システムや、フロント2ウェイスピーカーをマルチアンプ駆動するシステムを構築できる。そして、後からシステムを拡張していこうとするときには、2chアンプやモノラルアンプが追加されていくことになるのだが…。
しかしながら、最初からシステムが大がかりとなることが確定していて、かつ、インストールスペースを効率化したいと考えるならば、1台で5ch以上の出力を持つ『多chパワーアンプ』が頼れる存在となる。
そんな使い勝手の高い『多チャンネルパワーアンプ』のランキングは…。
ここでも「ロックフォード・フォズゲート」が安定した強さを発揮した。同社のサウンドを手軽に手にできるエントリーシリーズ『プライム』の『R600X5』が、5年連続での栄冠に輝いた。
さて、このようなリーズナブルな多chアンプは、どのような使い方をされているのだろうか。当機は4ch分がA/B級で、1chがサブウーファー用のD級という仕様となっているのだが、想像するに、A/B級の4chでフロント2ウェイスピーカーがマルチ駆動されることよりむしろ、フロントとリアの両方のスピーカーを鳴らすのに使われることのほうが多いに違いない。リアスピーカーも交換しそれも含めて気軽にかつしっかりと鳴らすには、当機のような手頃なモデルが望ましい。Hi-Fiを追求するシステムではリアスピーカーは不要とされる傾向が強くなるが、一般的にはリアスピーカーも必要とされている。そのことを、この結果で改めて再認識できた。
ランク分析に戻ろう。2位以下を見ると、「JLオーディオ」の独壇場となっている。同社は各グレードにおいて、ch数違いのモデルを多彩に用意している。『CAPTY2017』でも、“多chアンプと言えば「JLオーディオ」”という図式がキープされている。
◆1chパワーアンプの各部門の第1位を「ロックフォード・フォズゲート」が総ナメ!
続いては、『1chパワーアンプ』の各部門を駆け足で見ていこう。こちらは価格別で3部門に分けられている。
まずは『1chパワーアンプ6万円未満部門』から。ベスト10に入っているモデルはすべて、サブウーファー用のモデルだ。
ここでも強さを発揮したのは、「ロックフォード・フォズゲート」の『プライムシリーズ』のモデル。『R250X1』が5年連続となる第1位を獲得し、第2位にも同シリーズの『R500X1D』が続いている(こちらも5年連続)。なお、『R250X1』はA/B級であり『R500X1D』はD級のモデルだ。出力は後者のほうが大きいのだが、価格の手頃さで前者が人気を博しているのだろう。
そしてこれに続く第3位となったのは、『CAOTY2016』では第10位だった「グラウンドゼロ」の『GZIA 1.600HPX-II』。2016年にマイナーチェンジされたばかりの機種で、『CAOTY2016』では販売期間が1か月間だけだったにもかかわらず第10位に食い込んで見せた当機。そのことを考えると『CAOTY2017』でのジャンプアップは順当な結果と言える。しかしながらそれでも「ロックフォード・フォズゲート」の2強を切り崩すまでには至らなかった。
続いて、1chパワーアンプのミドルグレードモデルで競われる『1chパワーアンプ6万円以上10万円未満部門』を見ていこう。ここでも第1位は「ロックフォード・フォズゲート」が確保した。『パンチシリーズ』の『P500X1bd』が4年連続での栄誉に輝いている。
それ以下では、終売になったモデルが消え、新発売されたモデルが顔を出しつつも、その他の顔ぶれはほぼ同様だ。「ロックフォード・フォズゲート」以外では、「JLオーディオ」、「グラウンドゼロ」、「MTXオーディオ」といった人気どころで順当にランキングが構成された。
次に、1chパワーアンプの最上位部門である『1chパワーアンプ10万円以上部門』を見ると…。
ここでも第1位は「ロックフォード・フォズゲート」の『T1500-1bdCP』。2位以下に大差をつけて、6年連続での受賞となった。『CAOTY』の集計がスタートして以来、1度たりともその地位を譲っていない。
第2位と第3位には昨年と同様に「グラウンドゼロ」の2機が続き、第4位も昨年と同じく「ロックフォード・フォズゲート」の『T500-1bdCP』がつけている。
当部門は全体のランキングが昨年と似かよっている傾向が他部門以上に強いが、その中にあって光を放ったのは、第10位にランクインした「RSオーディオ」の『RS Master T Mono』。当機は高級フルレンジパワーアンプ。この部門でも“スーパーハイエンド”アイテムが台頭した。
◆『サブウーファー3万円未満部門』では、「ロックフォード・フォズゲート」がひときわ存在感を示した!
さらには、サブウーファーの2部門も見ていこう。まずはエントリーモデルで競われる『サブウーファー3万円未満部門』から。
当部門では他部門以上に、「ロックフォード・フォズゲート」の強さが際立っている。第1位に輝いたのは、6年連続で『P1S(2/4)-12』。そして第2位から第4位までも同社の製品で占められ、第7位、第9位にもランクインしている。
善戦を見せたのは、イース・コーポレーションの自社ブランドである「ミューディメンション」だ。『CAOTY2016』では、第5位と第9位を確保するにとどまっていたが、『CAOTY2017』では、第5位、第6位、第8位と、3モデルをランクインさせている。
対して勢力を失ったのが「グラウンドゼロ」だ。『CAOTY2016』では、第7位と第10位にランクインしていたが、『CAOTY2017』では、ともにランクから姿を消した。終売となったわけではないので、この結果は少々寂しい。『CAOTY2018』での巻き返しを期待したい。
最後に、『サブウーファー3万円以上4万円未満部門』を見ていこう。
ここでも「ロックフォード・フォズゲート」がトップを取った。『P2D(2/4)-12』が6年連続で第1位をもぎ取っている。そして第2位が「グラウンドゼロ」の『GZRW 30XSPL-D2』。こちらも昨年の地位を死守した。『サブウーファー3万円未満部門』では苦戦を強いられた「グラウンドゼロ」だが、当部門ではしっかりと存在感を発揮した。
注目したいのは、第3位にランクインした「JLオーディオ」の『6W3v3-4』。『CAOTY2016』では第8位だったところから、一気に5ランクのジャンプアップを果たしている。
16.5cmというサブウーファーとしては異色の小口径モデルである当機が、ここまで人気を集めた理由は何なのだろうか。考えられるのは“省スペースへの意識のさらなる高まり”だ。低音強化は人気メニューであり続けているが、小口径モデルを使って効率的にそれを実行したいと考えるユーザーが増えているのだろう。この流れが今後どのようになっていくのか見守りたい。
今週の分析は以上だ。次週はいよいよ、残りの部門すべてを検証していく。乞うご期待。
《text:太田祥三》