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内蔵? パッシブ? マルチ? 『システム構築術研究』その9「“ダイヤトーン”システム」編

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カーオーディオの方法論(システム)について、1つ1つ、特長から楽しむためのコツまでを紹介してきた。今回はその最終回として、「ダイヤトーン・システム」について解説していく。「ダイヤトーン」といえば、ハイエンドナビ『ダイヤトーンサウンドナビ』を擁している。

これを用いると、これならではのスペシャルなシステムを組むことが可能となる。それがどのようなものなのか、そして『ダイヤトーンサウンドナビ』を使ったシステムをより楽しむためにはどうすれば良いのかを、詳細に解説していく。

■『ダイヤトーンサウンドナビ』の“タイムアライメント”は、ひと味違う…。

まずは、『ダイヤトーンサウンドナビ』ならばなぜに独特なシステムを構築できるのか、その理由から説明していこう。

答はズバリ、「“マルチウェイタイムアライメント”を搭載しているから」、である。

ところで一般的な“タイムアライメント”とは、近くにあるスピーカーに対して音を発するタイミングに遅延をかける機能である。これを運用することで、左右のスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を擬似的に作り出せる。

その状況が作り出せると、「ステレオイメージ」を、よりリアルに感じ取れるようになる。ステレオとは、音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右のスピーカーで再生することで、音楽を立体的に再現しようとするものであるのだが、その仕組みを成立させるためには、左右のスピーカーから等距離の地点にリスニングポジションを取る必要がある。しかしクルマの中ではそうはいかない。シートが左右のどちらかに寄っているからだ。しかし「タイムアライメント」があれば話が違ってくる。擬似的に自らの体を、スイートスポットにポジションさせることが可能となるのだ。

ただし…。装着しているスピーカーが“セパレートタイプ”だった場合、トゥイーターとミッドウーファーの取り付け位置も異なっている。ということは「タイムアライメント」をばっちりと効かせるためには、各スピーカーに対して個別に「タイムアライメント」をかけたくなるのだが…。

■ナビを換えただけで、純正スピーカーを高度に操れるシステムが構築可能に。

そう考えるならば、各スピーカーを個別にコントロールできるシステムレイアウトを組む必要が出てくる。つまり、プロセッサーを用いて、音楽信号をパワーアンプに送り込む前段で帯域分割する、という形のシステムを構築しなくてはならないのだ。

となると、パワーアンプのch数が、スピーカーと同数必要となる。プロセッサーで各スピーカー用に音楽信号を帯域分割し、それぞれに対して個別に「タイムアライメント」をかける。そしてそれぞれを別々のパワーアンプのchに送り込み、個別に増幅。その後各スピーカーにそれぞれの信号を送り込むという、“マルチアンプシステム”を構築する必要が出てくるのだ。

しかしながら、『ダイヤトーンサウンドナビ』に搭載されている“マルチウェイタイムアライメント”ならば、トゥイーターとミッドウーファーに対して個別に「タイムアライメント」をかけた後、その信号を同一chで伝送することが可能だ。各スピーカーを個別にコントロールできるにもかかわらず、パワーアンプのch数は、左右の2ch分だけあればいいのだ。

このような仕組みを持っているのは、「ダイヤトーン」だけである。

続いては、『ダイヤトーンサウンドナビ』ではどのようなシステムが構築可能なのかを解説していこう。

もっともライトなシステムは、「純正スピーカーのままで、各スピーカーを詳細にコントロールするシステム」である。ナビを換えただけで(配線も純正のままで)、ハイエンドシステムと同じように、各スピーカーに対しての「タイムアライメント」を、個別に詳細にコントロールできるシステムを組めるのだ(当然ながら、スピーカーを市販品に交換すれば、さらに音質は向上する)。

■『ダイヤトーンサウンドナビ』ならば、高度なシステムを合理的に構築可能。

“ブレミアムモデル”を用いると、構築可能なシステムのバリエーションがさらに増える。

具体的に挙げていこう。1つ目は「フロント2ウェイスピーカーを内蔵パワーアンプを使って“マルチアンプ”駆動するシステム」(通常の“マルチアンプシステム”)、2つ目は、「フロント3ウェイスピーカーを内蔵パワーアンプの2chだけでドライブするシステム」(しかしながら“マルチウェイタイムアライメント”を活用して、3ウェイを詳細にコントロール可能)、3つ目は「フロント3ウェイを、内蔵の4chすべてを使ってドライブするシステム」(マルチ+パッシブシステム。もちろん、各スピーカーを詳細にコントロール可能)、以上だ。

そしてさらに、ここまでで紹介したすべてのシステムを、内蔵パワーアンプから外部パワーアンプに置き換えて運用することも可能だ。

つまり『ダイヤトーンサウンドナビ』ならば、高度なシステムを合理的に構築することが可能であり、構築できるシステムタイプの選択肢の幅が広いのである。つまりは楽しみ方の幅が広い、というわけだ。

さて、特長解説だけで多くの文字数を割いてしまったが、ここからはいよいよ『ダイヤトーンサウンドナビ』を用いるときの、楽しむためのコツの紹介に入っていこう。

さまざまなコツが存在しているのだが、今回は的を絞り、とっておきのコツのみを紹介しておく。それは、「“仮想2ウェイ”調整、または“仮想3ウェイ”調整を行う」、というものだ。

『ダイヤトーンサウンドナビ』では、フロントスピーカーが“フルレンジ”タイプのときに、それをあたかも“2ウェイスピーカー”であるかのようにコントロールすることが可能で、さらに“プレミアムモデル”では、“2ウェイスピーカー”をあたかも“3ウェイスピーカー”であるかのようにコントロールすることも可能となる。

仕組みを詳しく解説しようとすると話が長くなり過ぎるので割愛させていただくが、これらも“マルチウェイタイムアライメント”があればこそ。そして“仮想”調整を行うことで、もう1ランク上のステレオ表現が可能となる。これを駆使するためにはノウハウが必要なので、その操作はカーオーディオプロショップに委ねるべきだが、このようなコツがあることを、記憶にとどめておいていただきたい。

さて、計9回に分けてお贈りしてきた当特集は参考になっただろうか。カーオーディオにはさまざまな楽しみ方がある。段階を踏んでシステムを発展させていくと、より深く、この趣味を満喫できる。カーオーディオを始めたらぜひとも、いろいろシステムにトライを♪

《text:太田祥三》

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