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車内の音を良くするために「チューニング機能」を導入せよ! Part.1「その理由とは?」

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写真は「ビーウィズ」のデモカーのインテリア。良い音を車内で楽しむためにはいろいろな要素を充実させなくてはならないが、「サウンドチューニング機能」もそのうちの1つ。全 1 枚写真をすべて見る

カーオーディオの音を今よりも良くしたいと考えるなら、「サウンドチューニング機能」の導入をお薦めしたい。スピーカー交換をしたり、“ハイレゾ音源”を聴けるようにしていたとしても、「チューニング機能」が未導入であるならば、音を良くする余力はかなり残っている。

それはなぜなのか、どうすれば良いのかを、詳細にお伝えしていく短期集中連載をお贈りする。第1回目となる今回は、「サウンドチューニング機能」がなぜ必要なのかを、じっくりと解説していく。

■「音の良さ」には2つの側面がある。“質”が良いか否か、そしてもう1つが…。

最初に、「音が良い」とはどのようなことなのか、から考えてみたい。

音が“良い”か否かには、2つの側面がある。1つは“質”が良いか否か、もう1つは、“ステレオイメージ”が正しく再現できているか否か、だ。

音の“質”とは、音色そのもののことであったり、録音された現場の空気感であったり、耳に入ってくる音、そのもののクオリティのことを指す。録音されたときのその場の音情報を余すことなく再生できるかどうか、そこを追求することで、音の“質”を上げることが可能となる。

具体的には例えば、より良い音源を使用することも音質アップのための1手段となる。圧縮音源より無圧縮音源のほうが有利であるし、さらには“ハイレゾ音源”ならばさらなる音質向上も期待できる。

そしてもちろん、オーディオ機器の性能を上げることでも、音質アップを図ることが可能だ。プレーヤー、パワーアンプ、そしてスピーカー等々を、それぞれシステムアップしていくことで、音の“質”を上昇させられる。特に、スピーカーに何を使うかは、音の“質”を確保する上での影響は多大だ。スピーカー選びがある意味、カーオーディオシステム構築のクライマックスだと言っていい。

このような手を打っていくことで、カーオーディオの音は確実に「良く」なっていくのだが、実はこれだけでは片手落ちだ。“ステレオイメージ”についてのケアが行われていなかったとすると、それはまだ、完全なる「良い音」を出せていない状況なのだ。

さて、“ステレオイメージ”とは、そもそも何なのか。

“ステレオイメージ”とは、ひと言で言うならば“立体的な音像”、ということになるだろう。ステレオとは、音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右のスピーカーで再生することで、音楽を立体的に感じ取れるようになる、というものだ。そうして感じ取れた立体的な音像がすなわち、“ステレオイメージ”と呼ばれているわけだ。

■“ステレオイメージ”を感じ取るために必要なものとは…。

しかしながら、カーオーディオ・リスニングでは、何も策を打たないと、“ステレオイメージ”が目の前に出現しない…。

その原因は、“リスニングポジション”にある。運転席で音楽を聴くにしても、助手席で音楽を聴くにしても、“リスニングポジション”は左右のどちらかに寄っている。これが原因で、“ステレオイメージ”を感じ取ることができなくなっているのである。

というのも、ステレオを正しく運用するためには、1つの大前提が存在している。それは「左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取ること」。右chと左chの音の聴こえ方のバランスが狂ってしまってはダメなのだ。にもかかわらずクルマの中では、この大前提が成立しない、というわけなのだ。

では、どうすれば良いのかというと…。

答はズバリ「サウンドチューニング機能を取り入れる」、である。

ただし、ある程度のレベルに達している「サウンドチューニング機能」でないと、“ステレオイメージ”の獲得は不可能だ。ある程度のレベルとは、「タイムアライメント機能が搭載されていること」である。この機能が運用できなければ、正しい“ステレオイメージ”を得ることはできない。

さて、「タイムアライメント」とはどのような機能であるのだろうか。これは、「近くにあるスピーカーの音を発するタイミングを、遅らせる」機能である。そうすることで、各スピーカーユニットから発せられる音の到着タイミングを揃えることが可能となる。つまり、左右のスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる、というわけなのだ。

■「チューニング機能」を導入すれば、音の“質”をさらに向上させることも可能に。

なお、「タイムアライメント」が搭載されているレベルの「サウンドチューニング機能」であるならば、他の機能も充実している。それは主に、「クロスオーバー」と、「イコライザー」だ。

まず「クロスオーバー」とは、音楽信号の“帯域分割”を行う機能である。セパレートスピーカーでは、各スピーカーユニットが自分の得意な仕事に専念できるようになるので、結果、音の“質”を上げることが可能となるのだが、このシステムを運用するにあたっては、音楽信号を帯域分割する必要が出てくる。

通常のスピーカーシステムでは、スピーカーに付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク」でこれを行うのだが、その場合、「クロスオーバー」の“させ方”を自在にコントールすることは、基本的にはできない。しかしながら「サウンドチューニング機能」に搭載されている「クロスオーバー」が使えるようになれば、状況に応じたより適切な“帯域分割”が可能となる。

そして、「イコライザー」もまた、クルマの中で“良い音”を聴くための必需品だ。その理由は、「車内の音響特性的なコンディションがよろしくないから」だ。車内は狭いので、音がガラスにあたって反射する。家でも反射の影響は少なからずあるのだが、しかしスピーカーから放たれる直接音を多く聴くことができるので、状況はそれほど複雑ではない。しかしカーオーディオでは、耳に届く音の中に反射音が多く含まれる。さらにはシートが音を吸収する。反射と吸収、この両方によって、特性が乱れてしまうのだ。

結果、ひどく盛り上がってしまう帯域ができたり、ひどく落ち込む帯域ができたりする。しかし「イコライザー」があれば、それらに対処することが可能となる。これを駆使することで、盛り上がり過ぎた部分を抑え込むことができるのだ。

というわけで「サウンドチューニング機能」は、“ステレオイメージ”を快適に感じ取れるようにするための必需品であり、さらには、音の“質”を上げるためにも重宝する。これがあるかないかの違いは、相当に大きい。

いかがだったろうか。「サウンドチューニング機能」の必要性をご理解いただけただろうか。

これを踏まえて次回からは、車内に「サウンドチューニング機能」を取り入れるための方法を、1つ1つ解説していこうと思う。カーオーディオの音を良くすることに興味をお持ちならば、次回以降の当連載記事を、お読み逃しなきように。

《text:太田祥三》

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