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人気ハイエンド4chパワーアンプの魅力と実力を探る! 4ブランド4モデルを徹底テスト!

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昨今、プレミアムな価格帯のパワーアンプが勢力を拡大しているが、伸ばせば手が届きそうな範囲に収まっている“現実的なハイエンドモデル”の中にも、優秀機は多々ある。今回はそれらにスポットを当て、それぞれの実力を、改めてじっくりと検証していく。

今回フィーチャーするのは、本体価格が20万円前後の4ブランド4モデル。そのインプレッションリポートを2週にわけてお届けする。

本編に入る前に、ざっと試聴環境をご紹介しておきたい。テストは、取り上げる4ブランドの正規輸入代理店であるイース・コーポレーションの試聴室で行った。試聴システムは以下のとおりだ。PCをソースユニットとして活用し、USB DACを介して音楽信号を伝送。リファレンススピーカーとして使ったのは、スロヴェニアのスーパーハイエンドブランド「ZRスピーカーラボ」の、『ZR エントリーライン』(税抜価格:38万8000円)だ。

使用ケーブルはすべて「チェルノフケーブル」で統一した。パワーケーブルが『スタンダード DC Power 4AWG』(税抜価格:2600円/1m)、スピーカーケーブルが『クラシック MKll SC/1』(税抜価格:9300円/1m)、ラインケーブルが『クラシック MKll IC 165』(税抜価格:8万7000円/1.65m)。そしてPCとUSB-DAC間に『クラシック USB A-B IC165』(税抜価格:2万円/1.65m)を使っている。さらにバッテリーには、USA発の新鋭「XSパワーバッテリー」を使用した。

バランスの良いニュートラルなサウンド。原音をそのまま再生することに徹している。


それではインプレッションリポートを開始する。トップバッターはこちらだ。

JLオーディオ HD600/4

☆JLオーディオ HD600/4(税抜価格:19万2000円)
●仕様:Class-D 4ch(4/3/2ch)パワーアンプ
●定格出力:150W×4(1.5Ω-4Ω)、300Wx2(3Ω-8Ωブリッジ) ●周波数特性:6Hz-30kHz(±1dB) ●S/N比:110dB ●入力感度:200mV-2V(ローレベル)、800mV-8V(ハイレベル) ●クロスオーバー:ハイパス50Hz-500Hz(-12dB/oct or -24dB/oct)、ローパス50Hz-500Hz(-12dB/oct or -24dB/oct) ●サイズ(幅×奥行×高さ):273×200×49mm ●質量:3.12kg ●ハイレベルインプット対応(オプション品:XB-CLRAIC2-SW) ●推奨ヒューズ容量:50A◎2ch/4ch入力切替スイッチ装備◎ローレベル/ハイレベル入力切替スイッチ装備◎プリアウト(パススルー出力端子)装備◎リモートレベルコントローラー対応(オプション品:HD-RLC)
老舗アメリカンブランドの1つである「JLオーディオ」。製品ラインナップも幅広く、パワーアンプからフロントスピーカー、サブウーファーまで、それぞれでグレードもタイプも多彩に用意されている。パワーアンプについては、計6シリーズを持ち、その中で今回取り上げる『HD600/4』が属する『HDシリーズ』が、トップエンドグレードだ。

なおこの『HDシリーズ』は、フルレンジD級アンプの“走り”とも言えるシリーズである。日本上陸を果たした2008年12月当時は、D級アンプといえばサブウーファー用という傾向が強かったが、「JLオーディオ」は果敢に、フラッグシップシリーズにD級アンプを投入。以来、「JLオーディオ」の看板アンプとしてロングセラーを続けている、というわけだ。

当機は、D級であることを武器に、コンパクトに仕上げられていることもストロングポイント。ハイエンドアンプでありながら、シート下へのインストールが可能な車種も多そうで、使い勝手の良さが光る1台となっている。

機能も充実している。「2ch/4ch入力切替スイッチ」、「プリアウト(パススルー出力端子)」等を装備し、さまざまなシステムレイアウトの中で利便性高く使うことができる。

JLオーディオ HD600/4JLオーディオ HD600/4JLオーディオ HD600/4

さて、音のほうはどうだったのかというと…。

試聴トラックを再生し、最初に思ったのは「バランスの良さ」だった。至ってニュートラルで、生真面目なサウンドである。どこかを誇張することなく、淡々と“原音再生”に徹している、という印象だ。

高域は、各音の輪郭をシャープに描き出しつつ、きめ細やかでスムーズ。中域には厚みがり、かつ、無駄な響きはなくクリアだ。低域も上質で、量感はしっかり確保され、その上でほど良くタイトで密度感も高い。

敢えて言うならば、音色の傾向はウォームというよりはドライな方向にあると思えた。とはいえ、冷た過ぎることはなく、ただ単に「誇張がない」ということでもあるのだが。

安定感あるサウンドが満喫できた。性能が高いことは間違いない。解像度も高く、情報量も多く、S/Nも高い。

余分な味付けは不要、そのままの音を再現させたいと考えるのなら、当アンプは有力な候補になりそうだ。安心して使えるパワーアンプをお探しなら、当機のチェックをお忘れなく。

キレ味鋭く、ソリッドな音色。しかし1音1音にはコクがある。


続いて聴いたのは、もう1つの老舗アメリカンブランド、「ロックフォード・フォズゲート」のこちらのモデル。

ロックフォード・フォズゲート T1000-4ad

☆ロックフォード・フォズゲート T1000-4ad(税抜価格:21万円)
●仕様:Class-A/D 4ch(4/3/2ch)パワーアンプ
●定格出力:250Wx4(1Ω-4Ω)、500Wx2(2Ω-4Ωブリッジ) ●周波数特性:20Hz-20kHz(±1dB) ●S/N比:95dB ●入力感度:150mV-5V ●クロスオーバー:ハイパス50Hz-500Hz(-24dB/oct)、 ローパス50Hz-500Hz(-24dB/oct) ●サイズ(幅x奥行x高さ):207x379x54mm ●質量:5.46kg ●推奨ヒューズ容量:150A◎2ch/4ch入力切替スイッチ装備◎プリアウト(パススルー出力端子)装備◎リモートパンチイコライザー対応(オプション品:PEQ)
こちらも言わずと知れたロングセラーシリーズである。初登場は2007年。以後、現在に至るまで、継続的に売れ続けている。

当シリーズはバリエーションが豊富であることも特長の1つとしていて、計9機種で構成されている。内訳は、2chモデル×2機、4chモデル×4機、1chモデル×3機。その中で当機は、4chモデル中の最上位機種である。

ちなみに、品番の最後に“ad”と付いている機種は、後から追加となったモデルで(2011年4月発売)、高音質なクラスA回路と、高効率なクラスD回路、双方の良さを併せ持つ、次世代増幅回路“クラスAD”が採用されていることをウリとしている。ハイパワーを確保しながらもコンパクトに仕上げられ、しかも高音質。死角がない。

機能面で注目したいのは、“PEQ(パンチEQ)”に対応していること。ロックフォード伝統の独特のサウンドエフェクトも楽しめる。その上で、「2ch/4ch入力切替スイッチ」、「プリアウト(パススルー出力端子)」等もそつなく装備。ユーザビリティも申し分ない。

なお、新技術“Constant Power”が搭載されていることも注目点。これにより、インピーダンス全域にわたって、従来のアンプよりも25%以上の出力アップに成功している。使い勝手が良く、使い方を変えても常に高性能が担保されている、というわけなのだ。

ロックフォード・フォズゲート T1000-4adロックフォード・フォズゲート T1000-4ad

その音を、改めてじっくりと聴いてみると…。

音が鳴り始めるやいなや、試聴室がロックフォードならではの、キレ味鋭いソリッドなサウンドで満たされた。だがしかし、ソリッドとはいいつつも、1音1音にはしっかりと味わいがあり、コクもある。リアル感も高く、当機が実力機であることがひしひしと感じられた。

そして、低音に“凄味”があるあたりもさすがだ。厚みがあり、重心は低く、それでいて適度にタイト。出過ぎているわけではないのだが、迫力が十二分に伝わってくる。

中域も密度感が高く、ほど良くツヤがあり深みもある。高域もスムーズで響きも豊かだ。全体的なバランスも整っている。

ロックフォードのパワーシリーズの4chアンプといえば、当初からラインナップしているクラスABモデル、『T400-4』(税抜価格:8万円)や『T600-4』(税抜価格:12万円)が人気だが、そこから予算を大きく上乗せできるならば、当機を選んでおいて後悔はしないだろう。この迫力は他ではなかなか味わえない。ロックフォードサウンドを極めようと思うなら、間違いなく買いだ。

さて、今週はここまでとささせていただく。次週はここでご紹介したモデルよりも少々価格的に上をいく、ヨーロピアンブランドの2モデルを取り上げる。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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