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低音強化大全! その1 カーオーディオで“サブウーファー”が必要な理由

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“サブウーファー”の装着例。全 1 枚写真をすべて見る

カーオーディオでは低音再生のスペシャリストである“サブウーファー”が大活躍する。その楽しみ方のすべてを、1から10まで解説していくシリーズ連載をスタートさせる。記念すべき第1回目となる今回は、「“サブウーファー”が必要な理由」を、じっくりと考察していく。

■ドアに取り付けられるスピーカーには、低音再生能力に限界がある…。

ところで、ホームオーディオでは、“サブウーファー”が使われるケースはそれほど多くはない。ホームシアターを楽しもうとするときには、ソフトの中の音声にサブウーファーch(0.1ch)が存在しているので、それを再生する専用のスピーカーが必要となるが、ホームシアターのシステムを組まないのであれば、左右2本のスピーカーがあればOKだ。

ではなぜ、カーオーディオでは“サブウーファー”が使われることが多いのだろうか。

理由は主に2つある。1つは、「フロントスピーカーには、低音の再生能力に限界があるから」。

低音を再生するためには、スピーカーにはある程度の大きさ(口径)が求められる。しかしながら、ドアに装着できるスピーカーの大きさには限りがある。せいぜい17cm程度が限界だ(楕円型スピーカーを除く)。その大きさでは、良質な重低音を再生しにくいのである。

大きなスピーカーが装着できないのにも理由がある。無理をすれば付けられないこともないのだが、難易度は相当に高い。まず問題となるのは、ドア内部の鉄板に開けられている穴の大きさ。純正スピーカーが取り付けられていた場所にスピーカーを付けるのが常套手段となるが、もともと開いているその穴の大きさが、それほど大きくはないのだ。鉄板をカットするという荒ワザに踏み切るのは、あまり現実的ではない。

鉄板から奥側のクリアランスも問題となる。スピーカーの口径が大きくなれば、奥行き寸法も長くなりがちだ。取り付け穴を無理やり大きくできたとしても、奥側のクリアランスを確保できなければアウトだ。

さらには、ドアの強度にも限界がある。大きなスピーカーを取り付けようと思えば、それを支える土台にはそれなりの強度が必要となる。そして、背圧(スピーカーの裏側から放たれる音エネルギー)も大きくなるので、それに対処するためにも、ある程度の強度が確保されていなければならない。よって、ドアに取り付けられるスピーカーは17cm程度が限界、というわけなのだ。

そして、カーオーディオにおいて“サブウーファー”が必要な理由もう1つの理由とは…。それは、「ロードノイズで低音の“マスキング現象”が起こるから」。

クルマは走る道具であるので、これはいたしかたないことなのだが、走行すると、タイヤが路面を蹴ることによってノイズが発生する。これが“ロードノイズ”なのだが、クルマが走り出し“ロードノイズ”が響き始めると、主に音楽の低音に覆い被さり、それを聴こえにくくさせる。これが、“マスキング現象”だ。

しかし、“サブウーファー”を導入すれば、これへの対処が可能となる。目には目を、というわけである。

■低音が豊かに響くと、中高音も豊かに響く…。

であるなば、「低音はなくてもいい」、と割り切ればいいかというと、断じてそうではない。そもそも音楽に低音が入っているのに、それが聴こえなくていいはずがない。例えばロックでは、バスドラム、そして、ベースが、サウンドの要となる。それらの音にパンチがないと、ビートが生きてこない。

クラシックにおいてもしかりだ。コントラバスやティンパニー等の低音が聴こえてこないと、重厚感が半減する。そのようなサウンドが心地いいはずがない。いかなるジャンルであろうとも、低音は音楽の重要要素なのだ。

さらには、低音がしっかりと響くか否かは、中高音の響き方にも影響を与える。音は、「基音」と「倍音」で構成されている。「基音」とは、音程を決める要素であり、「倍音」とは、音色を決める要素だ。

なお「倍音」とは、「基音」に対して整数倍の周波数の音である。例えば、ギターをチューニングするときの「ラ」の音について考えてみよう。「ラ」の音の周波数は440Hzだ。この場合、基音は440Hz。それに対して倍音が乗ってギターの音となるのだが、この場合の倍音は、2倍の880Hz、3倍の1320Hz、4倍の1760Hz…、これらが倍音だ。

そして「倍音」は、「基音」がなければ乗っていかない。「基音」が脆弱だと、「倍音」も豊かに響かないのだ。

であるので“サブウーファー”を足して低音を増強すると、中高音が豊かに響いてくることが確認できる。もしもカーオーディオ・プロショップ等で、“サブウーファー”の有る無しを体験できる機会があれば、中高音の聴こえ方の違いにも耳を澄ませてみてほしい。誰が聴いてもそれを感じ取れるはずである。

以上のような理由で、カーオーディオには“サブウーファー”が必要となるのだ。

さて、“サブウーファー”が必要である理由がわかったところで、続いては、“サブウーファー”の導入の仕方のいろいろについて解説していこうと思う。それについては、次回以降で解説していく。

次回の当特集も、お読み逃しなきように。第2回目の記事は、明日、掲載予定だ。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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